ご飯を炊くには炊飯器を使用する方が多いでしょうが、鍋や土鍋を使うという方もおられます。玄米には圧力鍋がよいといわれますので、圧力鍋は玄米用と考えている方もいるようですが、白米も圧力鍋で炊けます。しかもふっくらとおいしく炊けます。
この記事では、圧力鍋を使ってご飯を炊くメリット、おいしく炊ける方法や玄米の炊き方、および圧力鍋でご飯を炊くときに注意する点について述べ、圧力鍋を使っても失敗しないご飯の炊き方を披露します。さらに圧力鍋に焦げ付いたときの処理についてもふれます。
圧力鍋でご飯を炊くメリットを挙げてみましょう。
富士山で普通の鍋で炊いたご飯には芯があるといわれます。気圧が低いために水の沸点が低くなり、低い温度で炊けてしまうためです。これと逆に圧力鍋では圧力が高くなるので、沸点が高くなり、高温で炊きあがり、ふっくらとなります。
通常の炊飯器では、炊きあがるまで白米で50分くらいかかります。圧力鍋では、20分くらいで炊けます。密閉状態で高圧・高温を保てるためです。
炊けるまでの時間が通常の炊飯器の三分の一近くですので、その分光熱費が安くなります。
通常の炊飯器でも玄米が炊けるものがありますが、1時間20分くらいの時間がかかります。圧力鍋では、白米より15分くらい長いくらいの時間で、しかも通常の炊飯器よりもふっくらと炊けます。
赤飯も通常の炊飯器でも炊けますが、圧力鍋で炊くとよりおいしく炊けます。高温で炊く効果です。
通常の炊飯器では、1.5合くらいからでないとよく炊けません。少ないと焦げる場合が多くあります。圧力鍋では、量を問いません。
圧力鍋でご飯を炊くときはどんな注意が必要でしょうか。整理してみます。
高圧・高温になりますので、特に以下の点検を行います。
1. ふたの裏側にあるねじにゆるみがないか
2. ふたの裏側部にあるゴムのパッキングにキズやゆるみがないか
3. ふたの蒸気が出る口につまりがないか
4. おもり式の圧力鍋ではおもりがついているか
基本は、米1に対して水1の割合ですが、好みに応じて水の量を調整します。
米と水の内容物の総量は、せいぜい鍋の容量の三分の二までとし、内部に十分な空間を設ける必要があります。
必ず米と水の内容物を入れてから火にかけます。水を必ず入れます。
圧力鍋のピンが上がってからの時間管理とその後火を止めるまでの時間管理が重要です。
炊飯中も、炊飯後ふたを開ける際にも、出て来る蒸気が体にかからないように注意が必要です。
圧力鍋でのご飯の炊き方の手順を以下に示します。
米と水の量は1対1です。通常はこの後すぐ火にかけます。柔らかめのご飯を所望する方は、30分くらい漬け置きします。柔らかいのが嫌いで弾力的な粒が好きな方は、研いだ後米をざるにあけて水を切って30分くらい放置してから、水といっしょに鍋に入れるようにするとよいです。この操作は、圧力鍋に限りません。
ピンが上がるまで中火から強火にかけます。鍋から炎が出ない程度です。蒸気が出るまで5~15分くらいかかります。蒸気が出たら1~2分そのまま中火から強火でおいてから弱火にします。弱火に3~5分かけた後、火を止めます。時間は、圧力鍋の容量と米と水の容量、すなわち圧力鍋の内部空間の広さで変わってきます。
火を止めて10~15分待つとピンが下ります。ピンが下りたら減圧状態です。ふたを開けられます。
蒸気を少しずつ逃がしながら、蒸気が体にかからないように注意してふたを開けます。蒸気を逃がした後、ふたをして10分くらい蒸らします。その後、ご飯を取り出します。
圧力鍋の威力は玄米でよく表れます。玄米の炊き方の手順を追いましょう。
玄米をよく洗います。洗った後、水に浸漬させます。一晩放置して、その後、ざるにとって水を切ります。
玄米1に対して水を1.2~1.5入れます。玄米は胚芽がある分白米より水を多めにします。柔らかいのがよければさらに多めにします。塩をほんのひとつまみ入れると臭みが少なくなります。
中火くらいで蒸気が出るまで火にかけます。蒸気が出てきてピンが上がったら、1~2分そのままにしておいてから弱火にします。弱火を15~20分続けます。ピンは上がったままです。
火を止めて10~15分待つとピンが下ります。ピンが下りたら減圧状態です。ふたを開けられます。
蒸気を少しずつ逃がしながら、蒸気が体にかからないように注意してふたを開けます。蒸気を逃がした後、ふたをして10分くらい蒸らします。その後、ご飯を取り出します。
おコゲを食べたいと思うことがあると思います。圧力鍋でおいしいおコゲを作ってみましょう。
通常は、米1に対して水1の割合ですが、水の量を四分の三くらいに減らします。あとは圧力鍋でのご飯の炊き方に準じます。
米1と水1の割合を変えないで、蒸気が出るまでの火の強さを強火にします。蒸気が出てから、すなわちピンが上がってから1~2分強火のままにしておいてから弱火にするのは、圧力鍋でのご飯の炊き方に準じます。
方法①と方法②を組み合わせた方法です。少し強めのおコゲになります。
米1と水1の割合を変えないで、蒸気が出るまでは圧力鍋でのご飯の炊き方に準じますが、蒸気が出てから、すなわちピンが上がってからの時間を少し長くします。通常の1~2分を2倍にします。また、通常は弱火にして3~5分かけますが、ここの時間を長くして2倍くらいすることでもおコゲになります。
米1と水1に対して醤油を少し、小さじ1くらい入れて、通常の圧力鍋でのご飯の炊き方に準じて炊きます。茶飯ほどの色にはなりませんが、鍋の底に醤油が沈んでおコゲになります。
圧力鍋でご飯を炊くとき米と水の量をどのように量ればよいでしょうか。
もっとも普通の量り方です。米の計量カップ1合に対して水の計量カップ180ccが、米1と水1の割合です。米の計量カップしかないとき、あるいは水の検量カップしかないときは、米、水とも同じ計量カップで量って構いません。米1合は180ccです。
米1合の重さは150gです。米1と水1の割合では、米150gに対する水の重さは180gです。
計量カップも計量器もないときは、普通のコップを容積量りの代用にします。普通のコップの大きさは約1合とみなしてよいです。
米1と水1の割合で行くと、米2合に対して、水は360ccになります。
米1と水1の割合で行くと、米3合に対して、水は540ccになります。
圧力鍋でご飯を炊いたときの失敗例の炊き方を紹介します。また、失敗を防ぐために気をつけることを整理します。
べちゃべちゃした感じのご飯は、水が多かったせいか、減圧後ふたを開ける際に蒸気を十分逃がしてやらないで置いたままにしたせいであることが考えられます。蒸気をよく逃がしてから蒸らすようにすればよいでしょう。
加圧が十分行き渡らなかったためでしょう。炊いているときに何らかの異常があったはずです。また、研いだ時に米が十分吸水しなかったせいも考えられます。このときは水に浸漬させてから炊き始めるとよくなります。
火が強すぎたせいか、炊く時間が長すぎたかによるものです。
程度が軽い場合、40~45℃のお湯を浸して1時間くらい放置すると、スポンジで取れます。
もう少し程度がひどいときは、中性洗剤を40~45℃のお湯に混ぜて1時間くらい放置すると、スポンジで取れます。
もっと程度がひどい場合は、アルカリ洗剤を用います。炭水化物や蛋白質には酸性洗剤でなく、アルカリ洗剤が適します。重曹も弱アルカリ性で適します。アルカリ洗剤を40~45℃のお湯に混ぜて1時間くらい放置すると、スポンジで取れます。長時間漬けると金属を傷めます注意してください。手袋が必要です。
ほとんどの圧力鍋は問題なく炊飯に使用できます。数ある圧力鍋を分類してみます。自分のニーズに合った圧力鍋を選ぶことになります。
圧力のかけ方でおもり式とスプリング式の2種類あります。おもり式は蒸気口を金属のおもりで塞ぎます。圧力がかかり蒸気が出始めると、蒸気の力でおもりが音をだし、合図になります。スプリング式は、蒸気口にスプリングがあり、圧力を調整します。音が出ません。合図がほしい方はおもり式が適当です。海外メーカーの圧力鍋はスプリング式が多いです。
ステンレス製が多いです。蓄熱のためには鉄製品がよいことからでしょう。アルミは熱の伝わり方が早いので、早炊きに適しますが、冷めやすい欠点があります。圧力値が低めです。
この他にステンレスとアルミの多層構造のものがあります。材質からいえば、もっともよい構成ですが、高価になります。ふたの重さはステンレス製が一番重いです。
ふっくらとしたご飯を炊くには、蓄熱と圧力維持の点から、土鍋か圧力鍋が適当です。圧力鍋は炊く時間が短くてすみます。炊飯器には土鍋に近づこうとする設計のものもあります。
圧力鍋は調理に時間がかからないメリットがありますが、20分は火のそばを離れられないという不便さを感じる方がいるかもしれません。各々に長所短所がありますので、自分の生活スタイルに合った製品を選ぶことがよいでしょう。
また、下記の記事では圧力鍋は炊飯器の代わりになるのかという視点から圧力鍋と炊飯器を比較しております。ぜひ、こちらも合わせてご覧ください。
記事:『圧力鍋は炊飯器の代わりになる?圧力鍋と炊飯器の違いや電気代を比較!』