スピーカーの"能率"とは?計算方法や音質との関係性も解説!

この記事を執筆するにあたって

無線技術士の免許を持っていて、電気や信号について知識があります。

Written By kikuchi d

目次

スピーカーの能率について解説します

スピーカーのスペック表を見ると、多くの専門的な数字や記号が載っています。その中に含まれている項目の1つが「能率」についてのデータです。

今回は、難しくなりがちなスピーカーの能率の意味と計算方法などの知識を、分かりやすく解説します。

スピーカーの能率とは

スピーカーの能率について解説します

音響スピーカーの能率とは、端的に言えば「電気のエネルギーを音に変換する能力の高さ」を示していると言えます。

一定の電気信号を加えた時に、そのスピーカーがどの位大きな音を発するか、を示すデータです。

スピーカーの能率は、「感度」と言われる場合もあります。また、「出力音圧レベル」と記述しているカタログもあります。

スピーカーの性能は、JISで規定されている

JISとは「日本工業規格」のことです。

他の機械や装置と同様に、スピーカーについてもJISの規格(JISC5532 音響システム用スピーカ)があり、この中で、出力音圧レベルの測定方法が定められています。

この規格に従う事で、各社のスピーカーは同じ方法で能力の測定を行う事になり、そのデータの表示に一貫性が与えられています。

一定の条件で測定する

JIS規格(JISC5532 20 自由音場及び反自由音場における音圧)においては、スピーカーの能率(音圧)を測定するために、下記のような条件を明記しています。

  • ①スピーカーに加える信号は、一定帯域のピンクノイズ(ザーと言うノイズ音)とする
  • ②信号の電圧は電力が1W(ワット)となる値にする
  • ③測定は周囲の音の反射などが影響しない無響室などで行う
  • ④測定はスピーカーから1mの距離で行う
  • ⑤スピーカーの発する音圧(音量)は、基準音圧(20μPa)との比で計算する

この様に明確な規定の下で測定・評価が行われるので、消費者もその結果をもとに製品の選択を公平に行える事になります。

スピーカーの能率の計算方法

能率はスピーカーの性能の1つ

スピーカーの能率は、例えば「80db/W/m」といった表示をされます。これは、「スピーカーに1W(ワット)の電力を与えて1m(メートル)の距離で音圧レベルを計ったら80db(デシベル)だった」という意味です。

特殊な単位db

ここで、一番わかりづらいのが「db(デシベル)」という単位でしょう。これは、比率を掛け算ではなく足し算で表せるように換算した値の事です。

スピーカーの音圧レベルを表示する場合、2倍の比率をdbに換算すると6db、10倍の場合は20dbとなります。比率が1倍の場合は0dbです。

難しい事は抜きにして、前出の「JISC5532」に書かれている計算方法を使い、比率とdb、それぞれの表示を比べてみます。

  • 比率の場合 2×2=4(倍)
  • dbの場合 6+6=12(db)

これだとデシベルの良さが分かりませんが、比率がもっと大きなケースを考えるとはっきりしてきます。

  • 比率の場合 10×10×2=200(倍)
  • dbの場合 20+20+6=46(db)

この様に、比率の桁数が大きくなる広い範囲の数値は、db表示にすることで扱いやすくなるのです。ちなみに80dbを比率で表すと1万倍です。

参考までに「JISC5532」で規定されている音圧レベルの計算式は、以下の様なものとなります。

音圧レベル(db)= 20 × log10(測定音圧 / 基準音圧)

余談ですが、これは電力をデシベル換算する式と同じ形です。

引用元:日本工業規格 JISC5532

電力(ワット)とは

スピーカーの能率を測定するには、1W(ワット)の電力を持つ信号を加える事に決まっています。

この場合の電力は、他の家電製品などの消費電力と同じものです。

スピーカーに1Wを加えるための電圧は、公称インピーダンス(電気の流れにくさを示す数字)によってほぼ決まっていて、JISの規格によれば以下の様になります。

  • インピーダンス8Ω(オーム)の時、2.83V(ボルト)
  • インピーダンス4Ωの時、2V

スピーカーの能率の意味

同じ電力を与えても、能率を示す数値が大きいスピーカーは小さいスピーカーより大きな音量(音圧)発生します。

また、能率の値が同程度のスピーカー同士であれば、音量はおおむね同じと考えられます。

スピーカーの性能を定量的に見て比較が出来るように、JISでは一定の測定条件を決めているのです。

スピーカーの能率と音質は関係ある?

能率が良いスピーカーとは?

スピーカーの能率は、電力から音響への変換効率を表しているだけなので、この数字が大きければ必ず音質が良い、という話にはなりません。

音楽や人の声などは、非常に多くの波長(周波数)成分を含んでいます。一般に、スピーカーの音質の良し悪しは、広い範囲の周波数を均等に音として再現できるかどうか、が、大きな要素となります。

その意味では、能率が良い(数値が大きい)スピーカーは、測定用の信号(ピンクノイズ)が含む波長をより多く音に変換しているとも考えられ、音質を計る一つの目安とみる事も可能です。

ただし、スピーカーには「周波数特性」というスペックもあるので、そちらも同時にチェックする方が良いでしょう。

詳細な説明は省きますが、低音から高音まで、スピーカーが音として再生できる周波数の幅を示すのが、周波数特性です。

スピーカーの能率とアンプの出力のバランスが大切

一般論的には、与える電力を2倍にすれば、スピーカーが発生する音圧も2倍程度になると考えられます。

という事は、能率が小さいスピーカーでも、接続しているアンプのボリュームを上げさえすれば、音量の小ささを補える事になります。

ただし、アンプが出力する電力が大きくなると、通常、スピーカーの発生する音は歪み分を多く含むようになります。

当然、スピーカーが許容できる電力にも上限があるので、アンプから過剰な電力を加えてしまうと、スピーカー自体が破壊する事もあります。

したがって、能率が高くないスピーカーは、それに見合った用途で、強力過ぎないアンプを接続して使う方が好ましいでしょう。

引用元:オーディオと計測(スピーカを中心として)

まとめ

スピーカーの能率 正しく判断しよう

一定の条件で使用した場合、どの程度の音量をスピーカーが発生するかを示すのが、スピーカーの能率(出力音圧レベル)という数字です。

この性能を定量的に調べるために、日本工業規格には「JISC5532 音響システム用スピーカ」というものがあり、測定方法が明記されています。

スピーカーの能率は、db(デシベル)という特殊な単位で表示しますが、この数字が大きければ能率自体も高い事を示します。

スピーカーの能率は、音質の良さを直接的に意味するデータではありませんが、音を発する性能が良いという事は性能にゆとりがある事なので、音の歪みが少なめだとも言えるでしょう。

スピーカーには、その能率に見合った大きさのアンプを接続し、適切な使い方をしましょう。

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kikuchi d
実は深くて広い(?)家電の世界を探求しましょう!
家電やAV機器の中身や仕組みなども、できるだけ明確に解説できたら良いなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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