トイレもウォシュレットが登場して以来、その機能の面を考慮して選択する商品となりました。
一度購入すると、ほぼ間違いなく長期に亘り使い続けることになるトイレ。そこで気になるのが日々のコストです。ウォシュレットの場合は水道代だけでなく電気代についても、購入前に知っておきたいポイントでしょう。
という訳で今回は、最近のウォシュレットについて、その仕組みと電気代の関係などを解説してみます。
温水の吹き出し機能に関心が行きがちなウォシュレットですが、実は、その温水の作り方には2種類のタイプがあり、便座の消費電力(つまり電気代)にも 関係しています。
その2種類とは「貯水式」と「瞬間式」です。
「貯水式」は、文字通り便座の中にあるタンクに温水を貯蔵しておき、洗浄の際にそこから温水を引っ張って来る方式です。
メリットとしては、常に温水が準備されているため即応性がある事ですが、デメリットは温水を常に保温しておくために電力が必要になる事でしょう。
ただし、ヒーターの大きさ(パワー)自体は瞬間式に比べて小さくてもOKです。
さて、貯水式ウォシュレットの一機種「TOTO S型」のヒーター容量をカタログで見ると250W(タンク容量は0.64L)となっています。仮にこのヒーターが1日3時間動作するとして、その時の電気代がどうなるか計算してみましょう。この時、1時間1,000W使い続けた電力(1kWh)の電気単価を27円と設定します(公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
の資料による)。
1日で使用するエネルギー量 (250 / 1,000) × 3 = 0.75kWh
電気代(3時間分) 0.75 × 27 = 20.3円
これを1ヵ月(30日)分とすると608円、年ではその12倍となって7、290円となります。
「瞬間式」のウォシュレットは、お湯を溜めるタンクは持たず、洗浄の時だけヒーターのパワーを使い温水を作る方式です。
つまり、待機時には保温の電力は不要ですが温水を作る電力はたくさん必要となります。
それでは、瞬間式ウォシュレットであるTOTOのアプリコットを例に、その電気代を計算します。1人の1度の洗浄が20秒間、一日10回使うものと考え温水用ヒーターはその時だけ動作するものとします。ヒーターは1,200Wです。
1日でヒーターを使う時間は
(20 × 10)÷ 3600 = 0.056時間
と考えられるので1日1人分の電気代金は
(1、200 ÷ 1,000)× 0.056 × 27 = 1.8円
家族4人だとするとこの4倍である7.2円が1日の電気代ということになります。1ヵ月では216円、1年分では2,592円です。
機能性も高くなりますます便利になったウォシュレットですが、もし節約する事で電気代が下げられるのなら、それにこした事はありません。
特に瞬間式のウォシュレットでは、温水を噴出させる時だけ強いヒーターが動作します。つまり、消費する電気は使う回数(時間)にほぼ比例すると考えてよい事になります。
もちろん、トイレを無理に我慢するなどは論外ですが、ウォシュレットの洗浄機能を使い過ぎないようにする事は、節電に直接効果があるという訳です。
また、ウォシュレットで洗い過ぎる事は、皮膚のバリア機能などを低下させるので、健康上もあまり良くないという説もあります。
トイレットペーパーとウォシュレットを上手く併用するなど、賢く適切に使うようにしましょう。
ウォシュレットの消費する電力は、洗浄用の温水を作るためだけではありません。便座の暖房用にも一定以上の電気を使っています。この温度設定を出来るだけ低めにしておく事で、もちろん消費する電力は少なくなります。
また、便座を温めている熱エネルギーは、常に空中に放出されています。その分の無駄を省くには便座のフタをまめに閉める事が効果的です。
貯水型のウォシュレットでは、使われていない時に温水を作って保温しています。一定以上の時間使わない事が分かっているのであれば、いっそうの事、電源プラグを抜いておくのも節約になります。
もちろん、一定の温水が溜まるまで時間がかかるので、使いはじめる前にあらかじめプラグを戻し、準備しておく必要があります。
瞬間式の場合は、温水が必要な時だけヒーターが動作するので、そのための前準備は必要ありません。
それでは、数あるシャワー付き便座(およびウォシュレット)の中から、電気代がお得な機種をピックアップしてみましょう。
選び方の基準は様々ありますが、できるだけ公正な考えで判断したい所です。
我が国では「省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)」によって、各種機器の消費エネルギーに公的な基準が設けられています。また、機器ごとにその基準値をどの程度クリアしているかを示す「省エネ基準達成率」も公表されています。
と言う訳で、今回は「ウォシュレット 比較 省エネ達成率」の検索ワードで出てきた、「[省エネ性能比較] 温水洗浄便座一覧表 (瞬間式)」というPDF資料を参照してみます。
省エネ基準達成率のNo1.は、Panasonicの「ビューティートワレWFシリーズ」で、達成率はなんと232%です。
カタログスペック上では、年間の消費電力は58kWhとなっており、電気代の目安は1年で1,540円です。
節電に役立つ機能としては、室温などに合わせ保温力を自動調整する「ECONAVI」。使わない時間帯には自動的にOFFとなる「8時間切タイマー」などを備えた機種となっています。
参考リンク : 価格コム
TOTOの「ウォシュレットアプリコット F3AWシリーズ」も、省エネ基準達成率が221%と節電に対応した機種です。
年間の消費電力は61kWh、その電気料金の目安は1,620円です。
こちらの機種には、保温した熱を無駄にしない「ダブル保温便座」や、自動で最適な節電運転をする「スーパーおまかせ節電」といった機能がついていて、電気代がお得になっています。
意外と無視できないウォシュレットの電気代。
ウォシュレットには、貯水型と瞬間型の2種類があり、それぞれに仕組みと電気の使い方も違います。
電気代節約の上では、常に温水を保温している貯水型より、使う瞬間だけヒーターを動作させる瞬間型が有利だと言えそうです。
ウォシュレットなどシャワー付き便座を発売している各社は、公的な基準に則った省エネ基準達成率という数値をカタログに載せているので、機種選択の際には参考になります。
一度購入すれば、長くお世話になるのがウォシュレット。電気代の事もしっかり考えて賢く選択したいものです。
またこちらの記事ではウォシュレットの寿命について解説しています。
電気代だけでなく故障や寿命が来ても維持コストがかかってしまいますよね。
今のうちに寿命を長くする方法などを知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。