ガスコンロが点火しなくなりました。パチッと瞬間は火がつくのですがすぐ消えます。故障かな、そう思ってあわてて取扱説明書を取り出しました。「電池はありますか?」という記述があり、「あっ、電池が必要なんだ」とあらためて気づきました。そういえば、ガスコンロを業者に頼んで交換したとき、ガスコンロの設置の後のテストの際に、「新しい電池はありますか」と聞かれたことを思い出しました。新しいガスコンロに変えるときに、旧いガスコンロの電池がまだ使えるなら、テストでなくとも日常でそれを使ってよいわけですが、ガスコンロには電池が必要なのです。
ここでは、ガスコンロの電池の役目、どんな電池がよいか、電池の交換方法などを整理してみます。
ガスコンロにはなぜ電池が必要なのでしょうか?ガスコンロに使われる電池の役割を考えます。
ガスコンロの点火には火花放電を利用します。放電のためのエネルギー源として電池を使います。点火には外部からの火を用いていたことがありましたが、今はほとんどすべてガスコンロに内蔵する放電装置を利用しています。
ガスコンロには、調理油過熱防止装置や立ち消え安全装置などの安全装置が付いています。安全装置にはセンサーも含まれます。
調理油過熱防止装置とは温度を検知して温度上昇したときに自然発火を防止する機構です。立ち消え安全装置は煮こぼれや風などで火が消えたときに自動でガスを遮断する機構です。これらは法令で設置が定められています。この他にもガスコンロにより種々の安全装置が付いています。これらの安全装置の起動と制御のための電源として電池を用います。
点火操作をすると、パチパチという音が出ます。放電の音ですが、点火と同時に音を出して、発火の確認になります。これにより誤操作を防ぎます。
ガスコンロの電池が切れたらどうなるでしょうか?
先に述べた目的の動作ができなくなります。一番大きな障害は、点火できなくなることです。点火できないという故障の一番多い原因が電池切れです。
電池が少なくなってくると、安全装置が種々備わっているガスコンロでは、点火がなんとかできても安全装置がフルに働くなる心配が出てきます。
電池切れの徴候は、点火操作を正常に行っても点火しないということで発見でき、電池交換で点火ができれば電池切れであるとの確認がされることになります。いきなり電池切れにはなりませんから、点火がしにくくなったら、電池切れを疑ってよい頃であるとみなしてよいでしょう。
ガスコンロにはどんな種類の電池が適するでしょうか?
ガスコンロに用いる電池は乾電池です。乾電池には、大きくアルカリ電池とマンガン電池があります。乾電池の構成は、金属の正極端子/炭素棒の集電体/二酸化マンガンの正極/電解質/亜鉛の負極/金属の負極端子になっています。この構成は、アルカリ電池でもマンガン電池でも同じです。両者の違いは電解質の差です。
アルカリ電池は、電解質に強アルカリ性の水酸化カリウムを用いています。そのためにアルカリ電池と呼ばれるわけです。パワーと容量を大きくし、長寿命にするために、電極の二酸化マンガンと亜鉛の量をマンガン電池よりも多くしています。
電解質に弱酸性の塩化亜鉛を用いています。電流が弱くても使用できる、持続性が求められる電気器具あるいは電気機器に適します。
ガスコンロに用いているのは、多くはアルカリ電池です。マンガン電池でもガスコンロが作動には十分ですが、点火の他の安全装置の作動のためにパワーのあるアルカリ電池が適します。ただし、2本必要な場合に、アルカリ電池を1本、マンガン電池を1本という使い方は止めましょう。液漏れの原因になります。
韓電池のサイズには、単一、単二、単三、単四があります。大きさと電流容量が異なります。
パナソニック社の電池に関するQ&Aを参照しますと、電池のサイズによる電気容量の差は、100mAの放電持続時間を比較すると、以下のようになっています。
アルカリ電池; 単一電池130時間、単位電池55時間、単三電池20時間
マンガン電池; 単一電池 60時間、単位電池26時間、単三電池6.8時間
引用元:Panasonic HP
ガスコンロには、電池を搭載するスペースが電池収納部として特定されています。多くは単一サイズが入るスペースになっていて、電極部も対応しています。
ガスコンロには長時間持続する電池が求められますので、上記の電気容量の違いから、単一サイズが適当であることがわかるでしょう。単一が大半のガスコンロ用ですが、機種によっては単二を用いているものもあります。
ガスコンロの電池の設置場所はどこでしょうか?
ガスコンロを外から見てもどこが電池収納部なのかがはっきりとは見えません。それらしき場所の見当は、取っ手にあります。前面の下の部分に取っ手があります。取っ手が左右両方にあるものもあります。取っ手の部分を押すと、扉が開きます。左右のどちらかです。右に強力バーナーを有する機種では、左側が電池の設置場所になります。左に強力バーナーを有する機種では、右側が電池の設置場所になります。
ガスコンロのメーカーのうち、リンナイ、ノーリツ、パロマ、およびイワタニの4社が大手で、需要の大半を満たしていますが、4社とも大体が前部の下部が電池を入れる場所になっています。左側が電池の設置場所の機種では、同じような場所が右側にもありますが、ここは操作部で、電池の設置場所ではありません。電池の設置場所は1か所です。
扉を開けたときに電池がすぐ見える機種と見えない機種があります。電池がすぐ見えない機種では、扉を開けると操作パネルが出てきて、その操作パネルを一度戻したときに電池の設置場所が現れます。
一口のガスコンロでは、前面の中央部が押して開く構造になっていて、そこが電池の設置場所です。少ないですが、キャビネットの内部に電池の設置場所がある機種もあります。
電池は直列に2本入ります。
ガスコンロの電池の交換方法について述べます。一度やっておけば、二度目は簡単にできます。
アルカリ電池単一1.5Vを2本用意します。
電池の設置場所を見つけて扉を開けます。
旧い電池を取り出します。2本を一度に取り出せる機種もありますが、1本ずつ取り出す機種もあります。
新しい電池を入れます。旧い電池は捨てます。旧い電池と新しい電池を組み合わせて使うことはしないでください。液漏れにつながり、人体にも影響することがあります。
電池収納部の扉を閉めます。
ガスの点火を行い、点火するか確認します。点火すれば交換完了です。
ガスコンロの電池について述べてきましたが、この記事ではガスコンロの電池についてすべてを網羅しているというわけではありません。ガスコンロの電池について汎用的なことを記述しています。各メーカーの各機種により少し異なる使い方があります。使用前には使用される機種の取扱説明書に必ず一度目を通すようにしてください。特に電池の収納部は図解していますから、よく見てから設置、交換をするようにしてください。
また、機種によっては、電池の種類や大きさを指定しているものもありますので、購入前に業者に確認することが必要です。購入後でも電池を買う前には確認しておくことです。
電池を使わないで点火するという圧電方式のガスコンロがありますが、百発百中の点火とならない場合があって、今は安定な点火の火花放電は主流です。
火花放電には電池を使いますが、電池は安全装置にも必須です。ガスコンロの電池が切れると安全性にもマイナスになります。ガスコンロが原因の出火は、放火に次いで多いといわれていますので、安全装置の重要性が高まっています。電池切れにならないように気をつけることと電池の交換を速やかに行えるようにすることがますます求められます。