エアコンの温度センサー"サーミスタ"!おかしい時の対処や位置は?

この記事を執筆するにあたって

ディジタル技術検定1級制御部門に合格しており、電気や制御の知識があります

Written By kikuchi d

目次

エアコンの温度センサーについて解説します

エアコンが部屋の温度を一定に保つため、大きな役割を担っているのが、温度センサーという部品です。

そこに不具合が生じると、エアコン自体がまともに動作しなくなってしまう温度センサー。省エネにも不可欠な電子部品でもあります。

今回は、エアコンの温度センサーの仕組みや、トラブル対処方などを解説します。

エアコンの温度センサーの仕組みは?

快適な室温に保つ仕組みとは

まず、エアコンの温度センサーについて、その原理などを簡単に解説します。

温度センサーはサーミスタという

世の中には、多くの種類のセンサーが存在しますが、エアコンの温度センサーは、サーミスタ(正式名:Thermal Sensitive Resistor)と呼ばれるものが使われています。

その素材は金属などの酸化物を焼成しセラミックにしたものであり、それに2本の電線を接続してセンサーを構成しています。

温度センサーは、電線を介してエアコンなど内部の電子回路へ接続されます。

サーミスタとは? | NTCサーミスタ | 村田製作所

温度センサーが温度を検知する仕組みは?

サーミスタは、『電気抵抗』と言われる性質が、温度に対して指数関数的に減少する部品です。

電気抵抗とは、電気の流れにくさの事です。

金属などの物質は、それぞれ個別に電気の流れやすさが決まっています。

電子工学では、電気の流れやすさより、その値を逆数にした値が良く使われます。これを電気抵抗と呼び、単位はΩ(オーム)で表す事になっています。

サーミスタに適当な電圧をかけると、電気抵抗との作用により、その時の温度に応じた電流が流れます。

その性質を利用してエアコンの制御システムなどが、周囲の温度を検知しているのです。

エアコンでは、サーミスタに流れる電流を増幅器に入力し、必要であれば指数関数の特性を補正した上で電圧に変換します。

この電圧値は、エアコン内の制御用マイクロコンピュータに入力されます。

そして、室温の時間的な変化などを制御ソフトが解析し、コンプレッサーの制御を行うというのが、エアコンの温度センサに関する一連の働きです。

エアコンの温度センサーの種類 どの位置についている?

温度センサーってどこにある?

エアコンの温度センサーには様々な種類がある

実は、エアコンには複数の温度センサーが使われていて、省エネや安全のために重要な働きをしています。

ここでは、その種類を見て行きましょう。

温度センサー① 外気温サーミスタ

エアコンが、家の外の気温を測定するために使用しているのが『外気温サーミスタ』です。

エアコンは『ヒートポンプ』と呼ばれる仕組みを使っており、熱を部屋の内外で移動させる事で、冷房や暖房を行っています。

そしてその熱は、室外機にある熱交換器により外気とやり取りされます。つまり、外気の温度はエアコンの冷暖房能力に強く関係している訳です

また、熱力学的に言えば、外気と室温の差に比例した熱が、部屋の中へ入って来る(あるいは出て行く)事になるので、効率よく省エネ空調を行うには、外気温を知る事は重要です。

その情報を測定するのが外気温サーミスタです。

温度センサー② 配管サーミスタ

エアコンの室内機と室外機を結ぶ配管の温度を測定するのが、『配管サーミスタ』です。

エアコンは、ガスを圧縮・膨張させる事で熱を運んでいます。そのガスが通る配管の温度は、そのガスが適切に移送されているかを知るためにも重要です。

例えば、暖房時には配管の温度は気温より十分に高い必要がありますし、冷房時には可能なかぎり気温に近くなければいけません。

配管サーミスタは、その温度を測定しています。

温度センサー③ オーバーヒートサーミスタ

エアコンには、ガスを圧縮するコンプレッサーが内臓されており、その温度を監視するためについているのが『オーバーヒートサーミスタ』です。

コンプレッサが過剰な仕事をしていないかを、温度によって判断する目的でついているセンサーです。

温度センサー④ 室温サーミスタ

室内の気温を測定するためについているのが、『室温サーミスタ』です。

エアコンの制御システムは、このセンサーからの温度情報が、リモコンで設定された温度になるよう、各部の働きを最適化させます。

エアコンの温度センサーがおかしい・壊れているとどうなる?

エアコンの動作がおかしい時は

① 冷えすぎたり暖め過ぎたりする(コンプレッサーが止まらない)

例えば、エアコンを冷房モードにした時、温度センサーからの室温情報が、実際のものよりも高すぎると、エアコンの制御部はさらに冷房を強くしようとします。

暖房の場合は、その逆の事が発生し得ます。

② まったく動作しない

エアコンの温度センサーが故障し、異常に高い、あるいは低い温度の情報を送っていると、制御システムは警報モードになり、動作を止める可能性もあります。

あるいは、冷房モードの時に温度センサーが低い温度を検知していれば、エアコンは冷房の必要がないと判断し、動作を止めるでしょう。

③ 動作が安定しない

温度センサーの不具合などで、温度情報にノイズが混ざっている場合、エアコンの制御部が適切に動作できず、安定性を失う可能性もあります。

ノイズは様々な原因で発生し、電子機器のセンサー系に悪影響を及ぼす代表格のような存在です。

また、センサー自体は問題なくても、周囲の機器などから電磁波が発生していると、やはりノイズの原因になり得ます。

エアコンの温度センサーがおかしい・壊れる原因は?

温度センサーの故障

それでは、エアコンの温度センサーはどのように故障する事が考えられるでしょうか。

原因① 絶縁不良

サーミスタは、センサー本体に電線を接続した後、それを絶縁物に封入しています。
この絶縁も熱や振動など、様々な原因で劣化する事が考えられます。

絶縁不良により、センサー周辺に湿気などが侵入すると、サーミスタの電気抵抗が小さくなり、正確な温度測定ができなくなります。

サーミスタの原理上、絶縁不良が起きた場合は、(電流が流れ過ぎるので)測定した温度が高い方にずれる事が考えられます。

原因② コネクター不良

通常、エアコンの温度センサーは、電子基板などにコネクターで接続されます。

コネクタの接点が汚れたり、あるいはセンサーからのリード線が断線した場合も、温度センサーは正常に働きません。

この故障が起きた時は、サーミスタの電気抵抗が無限大になった事と同じで、温度センサーは測定できる最低値の温度を出力すると考えられます。

原因③ 経年劣化

サーミスタの材質も、年月で特性が変化する事が考えられます。この場合は、温度の変化に対して電気抵抗の変化度合がずれてしまう可能性が有ります。

この故障が起きると、エアコンの空調温度がリモコンの設定からずれるなどの症状が発生するでしょう。

ただ、温度センサーの経年劣化が起きても、エアコンがすぐに停止するなどの症状は、比較的出にくいとも考えられます。

エアコンの温度センサーがおかしい・壊れた時の対処

温度センサートラブルの対処は?

エアコンの温度センサーが壊れた時、どのような対処法が考えられるでしょうか。

対処① 自分で交換する

純粋に温度センサーだけの故障であれば、その部品を交換するだけで、エアコンのシステムは復旧します。

温度センサーの部品を入手できるのであれば、自分の手で修理する事も不可能ではないでしょう。一般的にサーミスタは高価な部品ではないので、自分で修理できれば経済的だとも言えます。

とは言うものの、エアコンは機種ごとに内部構造がまったく違い、センサーの取り付け方も違うので、そういった情報も部品と同時に入手する必要があります。

リスクその他を考慮した場合、一般ユーザーにはおすすめできないのが、この修理方法です。

対処② 業者に依頼する

確実な修理を望むなら、やはりメーカーのサービスセンターもしくは専門業者に依頼する事がベストです。

的確な情報を持った業者であれば、サーミスタの場所は分かっているので、交換の作業自体は数時間あれば終了するでしょう。

この場合はある程度の出費を覚悟しなければなりませんが、その内訳は部品代より主に技術料や工賃となり、数千円〜1万円程度が想定されます。

温度センサー以外の箇所にも不具合が有る事も考えられるので、その診断ができる知識と情報をもった専門家に依頼する事をおすすめします。

引用元:伊藤テクノの業務用エアコン修理

エアコンの温度センサーについて全てを解説できた訳ではない

エアコンが設定温度に対して適切に動作しない場合、不具合が想定される箇所は温度センサー単体だけではありません。

どのサーミスタも、何らかの電子回路に接続されているので、その回路の故障や経年変化などがあれば、温度センサーの測定した情報が実際とずれたりもします。

電子・電気機器の中では、特に繊細な部分でるのがセンサー系です。そして、電子回路は多くの要素の連携で成り立っているものです。

したがって、エアコンが適切に空調をしないという、外側の症状だけを見て、原因が温度センサーだと決めつける事は危険です。

あきらかに動作がおかしいと感じた時は、直ぐにエアコンの使用を止めてメーカーなどに問い合わせる事がベストだと言えます。

まとめ

エアコンが部屋の気温を快適に保ってくれるのは、温度センサーという部品がついているからです。温度センサーは、エアコンが省エネ運転をする上でも重要な要素です。

温度センサーは、温度に応じて電気抵抗という性質が変化するサーミスタと呼ばれるものが使われています。

温度センサー系が壊れた場合でも、壊れ方によって誤動作の仕方が変わるので、その点も注意してみる必要があります。

サーミスタ自体は、一般に安価な部品ですが、その取り換えにはある程度の技術は必要です。修理は、技術のある業者に依頼する事がベストでしょう。

皆さんもエアコンの仕組みを理解して、上手に空調をしてみてください。

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kikuchi d
実は深くて広い(?)家電の世界を探求しましょう!
家電やAV機器の中身や仕組みなども、できるだけ明確に解説できたら良いなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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