電気電子技術者として、エアコンのアンペアと契約電力との関係を解説します。
Written By えどう タロー
こんにちは、えどうです。
エアコンを使いながら電子レンジを使っていたらブレーカーが落ちてしまった!、というような経験はありませんか?
今回は、エアコンのアンペアについて解説します。
また、電力会社との契約の変更の目安についても紹介できればと思います。
そもそもアンペアって何?と思われる方も居るかもしれません。
アンペアは電流の単位です。
電流とは、1時間あたりにどのくらいの電気を消費しているかの1つの指標です。
アンペア数が高ければ高いほど、より多くの電気を消費します。その一方で、アンペア数が高ければエアコンとしての能力が高いと考えて良いでしょう。
ただし、アンペア数が高ければ能力が高い、というのは発売年が同時期のエアコンの中で、です。古いエアコンに対して現在のエアコンは電力効率が良くなっているため、より効率的に空調能力を発揮します。
また、多くの家庭の場合、電気の契約はA(アンペア)契約かkVA(キロボルトアンペア)契約になっています。
A契約は電流での制限、kVA契約は電力での制限がかかっており、それ以上の電流または電力を使おうとすると、ブレーカーが落ちてしまいます。
エアコンのアンペア数が分からない場合、エアコン本体などに書いてあるワット数からも計算することができます。
アンペア数(A) = ワット数(W) ÷ 100(電圧、V)
多くの場合はこれで計算することが可能です。
大きなリビングで使用されるようなエアコンの場合、200Vで動作している場合があります。この場合は、上の式の電圧を200に変更して下さい。
これで、エアコンでどの程度電流を消費しているのかを計算することができます。
では、実際にエアコンの冷房や暖房で消費するアンペア数はどの程度なのでしょうか?
経済産業省資源エネルギー庁が発行している「省エネ性能カタログ」を参考に調査しました。
(現在発売されている製品の平均値で評価)
概ね、アンペア数は冷房と暖房で大きな差はありませんが、ご参考頂ければ幸いです。
対象とする部屋のサイズ(冷房能力) | アンペア数 |
---|---|
6〜9畳用(2.2kW) | 5.1 |
7〜10畳用(2.5kW) | 5.9 |
8〜12畳用(2.8kW) | 6.6 |
10〜15畳用(3.6kW) | 10 |
11〜17畳用(4.0kW) | 11 |
15〜23畳用(5.6kW) | 18 |
対象とする部屋のサイズ(暖房能力) | アンペア数 |
---|---|
6〜9畳用(2.2kW) | 4.9 |
7〜10畳用(2.5kW) | 5.8 |
8〜12畳用(2.8kW) | 7.9 |
10〜15畳用(3.6kW) | 11 |
11〜17畳用(4.0kW) | 12 |
15〜23畳用(5.6kW) | 17 |
ここまででエアコンのアンペア数について解説しました。
では、エアコンを買い換えたときにどのような場合に電力会社との契約を切り替えないし見直した方が良いのでしょう?
10年以上前のエアコンから新しいエアコンに乗り換える場合、
同じ冷房能力・暖房能力であっても1A以上アンペア数が小さくなっています。
このため、10年以上前のエアコンから同等性能の最新のエアコンに買い換えた場合、低く切り替えられる可能性があります。
同じ部屋に設置するエアコンでも、元々のエアコンの空調能力よりも低い空調能力にした場合、消費電力が小さくなります。
例えば、12畳用のエアコンを9畳用に変更した場合、冷房時のアンペア数を1.5アンペア少なくすることが可能です。
このため、空調能力を下げた場合は、電力会社との契約を低く切り替えられる可能性があります。
家族構成が変化し、同居する家族が減った場合、他の家電との併用が減る可能性があります。この場合は、他の家電のアンペア数を確認して、電力会社との契約を見直すことをお勧めします。
リビングと居間を一つのエアコンで、 というように、設置するエアコンの空調能力を上げた場合は、場合によっては契約電力が足りなくなる可能性があります。
元々のエアコンのアンペア数と新しいエアコンのアンペア数を確認して、電力契約をどうした方が良いか、考えましょう。
生活の変化と共にエアコンを買い換えた場合、他の家電との併用が増える可能性があります。
この場合は、他の家電のアンペア数を確認して、電力会社との契約を見直すことをお勧めします。
購入してから10年以上経過したエアコンの買い換えは、同じ空調能力であっても、省エネ能力が向上していますが、その一方で、10年経過していないようなエアコンを買い換えた場合、アンペア数は確かに減りますが、電力契約を見直すほどにはなりません。
このため、10年経過前にエアコンを同じ空調能力の新しいエアコンに買い換える場合は、電力契約は見直す必要が無いでしょう。
空調能力が高い場合であっても、低いアンペア数でエアコンを使用するコツがあります。
冷房時なら1℃高め、暖房時であれば1℃低めに設定することで、しようアンペア数を10%削減することができます。
また、風量設定は「自動」が最適ですが、空調を入れはじめは風量設定を「強」にすることで、アンペア数を高くすること無く、空調効果を上げることができます。
エアコンはコンプレッサー(空気の圧縮をする装置)を使って温・冷を作り出していますので、こまめに電源をON/OFFすると、何度もコンプレッサーを動作させることになり、アンペア数の増大に繋がります。このため、電源を頻繁にON/OFFするよりも、設定温度を弱めにして付けっぱなしにした方が良いでしょう。
エアコンのフィルター
エアコンのフィルターが汚れた状態でエアコンを使用すると、最大で25%エアコンの省エネ性能が落ちます。省エネ性能が落ちると、空調能力を発揮するために、より多くのアンペアを消費することになります。
このため、エアコンのフィルターはこまめに掃除することをお勧めします。
参考元:富士通ゼネラル「節電のポイント」
この記事では、エアコンのアンペアについて全て解説できているわけではありません。
エアコンをより少ないアンペアで使用したいという方がおられましたら、エアコンの省エネについて解説した以下のサイトが役に立つでしょう。
この記事内ではエアコンとアンペアの関係についてわかりやすく説明したつもりではありますが、分かりづらい点などありましたら、問い合わせフォームよりご連絡下さい。記事の加筆・修正について検討致します。
この記事では、エアコンとアンペアの関係について解説しました。
要点をまとめます。
アンペアは電流の単位です。アンペア数が高ければ高いほど、より多くの電気を消費します。その一方で、アンペア数が高ければエアコンとしての能力が高いと考えて良いでしょう。
アンペア数(A) = ワット数(W) ÷ 100(電圧、V)
ざっくりと考えて、8畳タイプで6Aと考えれば良いです。
このような場合は、電力契約の見直しが必要かもしれません。
この記事が皆さんのお悩みの解決の一助になれば幸いです。