筆者は家電量販店に勤務しています。実際にご質問のある部分について詳しく解説させて頂きます。
Written By ブレンディ 0120
皆さんは普段アイロンを使っていますか?
毎日のように家事を行い、洗濯からアイロンかけまで徹底している方は最近はあまり聞きませんが、社会人でスーツを着る方は毎日のようにワイシャツを使っていますよね?
また、服にも色々な素材があります。
最近はポリエステル素材の製品が多いですが、「麻や綿・シルクなど・・・時期や利用シーンに合わせて使い分けることが多い」と思います。
私の場合は、毎年一年ごしに服を引っ張りだすと、毎回あの押し入れの独特なニオイが苦手で一回は洗濯をしてから使うのですが、こういう時に限ってシワがついてしまうんです。
1年ぶりの服だと洗濯方法やアイロンかけの方法などを忘れてしまい、毎年悩まされています・・・。
アイロンも、ただかけるのではなく「正しい使用方法と使用する温度」があり、衣類の素材によってそれぞれ違うものなんです。
しっかりと素材と使用温度、そしてかけ方を理解しないで使うと衣類を痛める原因となりますので、今回はそういったアイロンのかけ方と、温度の違いについて解説していきます。
コード付きアイロンの温度で最も一般的とされる温度でご紹介します。
一般的に「80℃~120℃」と言われています。
・天然の動物繊維「シルク・絹」
・半合成繊維「アセレート」
・合成繊維「アクリル・ポリウレタン」が該当します。
共通して「熱に弱い素材」である為、アイロンをかける際は低温で使う事を推奨されています。
また素材自体に、元々シワができにくい素材でもある為、軽くアイロンをかけてあげるだけでもしっかりとシワを伸ばすことが出来ます。
一般的に「140℃~160℃」と言われています。
・再生素材「レーヨン・キュプラ」
・合成素材「ナイロン・ポリエステル」
・天然の動物繊維「ウール」が該当します。
合成繊維は衣類に光沢がある素材が多く、手触りがさらさらしています。
学生の体育着などがイメージとして近いものです。
一般的に「180℃~200℃」と言われています。
「天然の植物繊維」と言われる素材に向いています。
・植物繊維「綿・麻」などが該当します。
素材の特長としてシワがつきやすく、素材自体が縮みやすいのが特徴です。
シャツ類によく使われている素材で、高温で一気にアイロンをかけてあげれば、すぐにシワを伸ばすことが出来ます。
ポリエステルに適した温度は「140℃~160℃」です。
シワになりにくく、丈夫な素材である一方、熱に弱いという弱点を持っています。
ポリエステルは、合成素材です。科学製品によりできている人工的な繊維である為、高温のアイロンかけを行うと、素材が溶けてテカテカになってしまいます。
コツは「最初は低温で目立ちにくい場所からアイロンをかける」→衣類への変化が見られない場合に全体にかける。というのが最もベストです。
また、衣類が溶けないように「あて布」をすることで、さらに安全にアイロンかけを行うことが出来ます。
洗濯洗剤の洗い残しがある状態でアイロンかけを行うと、変色の原因となってしまう為、注意が必要です。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
絹に適した温度は「80℃~120℃」です。
吸湿性・通気性・保温性に優れ、UVカットにも一役買っているシルク(絹)。
一方で、水による変色などの弱点を持っています。
シルク素材は、アイロンかけの中でも非常に難しいと思います。
使用する際は、必ずあて布を使い、スチームを利用する時は蒸気の量を少なくし、アイロンを手早くかけるようにしましょう。
アイロンを一部に集中してかけるのではなく、素早く全体をかけるように行うのが最も重要です。手を止めないようにしましょう。
また使用する水の汚染で「シミができる原因」となってしまう為、水はきれいなものを使うようにしましょう。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
ウールに適した温度は「140℃~160℃」です。
弾力性や吸湿性があり、シワになりにくいという特徴があります。
また、シワになっても蒸気をあてるだけで簡単に元に戻ってくれます。
ウール素材のアイロンかけを行う際は、スチーム量を多く使いアイロンをかけると良いでしょう。
アイロンを強く押し付けてしまうと、繊維の変形につながってしまう為、「少しだけ浮かせる」という所がポイントです。
衣類の変形を気にする方は、スチームを行った後にアイロンではなくご自身の手でシワを伸ばしてあげると繊維がつぶれることなく、吸湿性を損なうこともないでしょう。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
綿に適した温度は「180℃~200℃」です。
肌触りがよく、水分やアルカリに強い一方、縮みやすく毛羽立ちし易いという弱点もあります。
綿は熱に強い素材の為、アイロンかけは比較的簡単に行えます。
スチームや霧吹きにて、水分を含ませた状態でシワを伸ばすようにアイロンかけを行います。
アイロンは優しくあててシワを取ります。アイロンをかけた後にハンガーにかけて熱を冷ませば完了です。
綿素材の衣類は、アイロンかけよりも「洗濯方法に注意が必要」です。
先述した内容で「綿は毛羽立ち易い」というデメリットがある為、他の衣類とまとめて洗ったり、過度な脱水を行う事で毛羽立つ原因となります。
洗濯後に少し湿っぽい状態でアイロンかけを行っても問題なく乾きますので、そういった方法もオススメです。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
麻に適した温度は「180℃~200℃」です。
ザラザラとした固い素材に、吸水・保湿性に優れており、吸水した水分をすぐに外に蒸発させる為、比較的「夏服」に多くみる麻素材。
一方、洗濯後はシワができやすいというデメリットもあります。
麻は丈夫な素材なので、高温のスチームでアイロンかけを行っても問題ありません。
しっかりとスチームや霧吹きを使い、表面を濡らしたうえでアイロンかけを行うと素早くシワを取ることが出来ます。
あて布を使うことで、衣類の変色を防げます。
麻は予想以上に頑固な素材の為、アイロンかけを行った後は熱が抜けるまで乾燥させてあげると良いでしょう。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
サテンに適した温度は「80℃~120℃」です。
サテンの種類は幅広く、一般的に「ウェディングドレス」に使用されることが多い素材です。
手触りが非常によく、光沢があることで知られています。
アイロンをかける際は必ず「霧吹き・あて布」を使いましょう。
スチームは少なめに行い、シミが出来るのを防止します。
アイロンは一方にすばやくかけましょう。シミや変色を防止する為、一か所に集中してアイロンをかけるのではなく、全体的にまんべんなく行いましょう。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
またこちらの記事ではサテンの素材でアイロンがけについて詳しく解説しているので、きになる方はこちらも合わせて読んで見てください。
レーヨンに適した温度は「80℃~120℃」です。
レーヨンは水に弱く伸びやすいという特長がある為、「ドライ」でアイロンをかけます。
この時に必ずあて布をしましょう。
アイロンをかける際は、繊維の向きにそってアイロンを動かしましょう。
繊維の向きに逆らってアイロンをかけてしまうと、レーヨンの素材が伸びてしまう場合がある為、注意が必要です。
素材によって判断するのではなく、必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
スーツの素材は実に様々です。使用素材によってアイロンかけの温度も違うため、間違ったアイロンかけを行うとスーツが傷んでしまいます。
必ず「絵表示」を見てからアイロンかけの判断を行いましょう。
上記の素材を元に、該当する素材に適した温度でスーツのアイロンかけを行いましょう。
スチームを吹きかけ、表面のシワを取りましょう。
スーツはアイロン台にのせてアイロンかけを行う前に、スチームだけを浮かせた状態で吹きかけ、手でシワを伸ばすことで、ある程度のシワ取りを行う事ができます。
次に、アイロン台にのせ「あて布を使いながら」アイロンかけを行います。
この時に、アイロンは力を入れずに本体の重さのみで軽く滑らせるくらいが丁度いいでしょう。
スチームを使うことで、全体的にシワを伸ばすことができ、脱臭効果も発揮します。
毎日スーツを使っている方は、スチームをしっかり当てることで、スーツについた臭いを取ることが出来ます。
アイロンかけを全体に行った後は、細かい部分に移ります。
袖や襟のアイロンかけですが、スーツの折り目をなぞるように上からアイロンかけを行います。
同じくスチームを使い、しっかりと折り目にアイロンをかけていきましょう。
最後にスーツをハンガーにかけて折り目にスチームをあてて軽く手で引っ張ると、なお仕上がりが綺麗になります。
アイロンをかけた後は必ず、温度が下がるまでしばらくはハンガーにかけたままにしましょう。
上記の素材を元に、該当する素材に適した温度でワイシャツのアイロンかけを行いましょう。
ワイシャツのアイロンかけを行う場合は、必ず霧吹きなどで表面を濡らしてから行うと良いでしょう。
ワイシャツはシワを伸ばすイメージで一方向にアイロンを進め、スチームを使いながら進めていくときれいにシワを取ることが出来ます。
全体的にアイロンかけを行いつつ、シワが取れにくい部分に関しては、両手を使い片方を伸ばしながら、もう片方でアイロンかけを行うときれいに仕上がります。
襟などの生地が厚い部分に関しては、ワイシャツの両面からアイロンかけを行うと折り目をしっかりと綺麗につけることが出来ます。
ワイシャツのアイロンかけをおこなった後は、必ずワイシャツをハンガーにかけて熱を逃がしましょう。
スチームをかけたまま、床などに置きっぱなしにするとシワの原因になり、同時にカビの発生原因ともなる為、スチーム後は必ず熱を逃がして乾燥させるように心がけましょう。
アイロンの温度とかけ方について解説を行ってきましたが、実際にクリーニング店が行っている方法と、一般の方のアイロンかけでは内容が大きく異なります。
素材によって判断するのではなく、必ず絵表示を確認し、アイロンかけの温度とあて布が必要かどうかの判断が必要です。
また、大事なシーンで使う礼服などは自分でアイロンかけを行うよりもクリーニング業者に依頼することをオススメします。
理由としては、クリーニング業者はクリーニング後のメンテナンス・保管期間も踏まえて、ハンガーかけやカバーなどをかけてくれますし、業者によっては防腐剤などの処置をしてくれるところもあります。
年に一回や限られた期間のみ使用する礼服に関しては、使わない期間のことも加味してクリーニングを行うと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?普段の生活にアイロンが必要な方や毎日スーツを着るお仕事をしている方には必需品のアイロン。
アイロンかけを行う素材や取り扱い方法により、使用する温度も全く違いますので、この記事をみて、大事な衣類を傷めないように正しい使い方の参考になればいいと思います。
また、アイロンの使用前後に関しては、必ず使用者が近くにいる状況を常に作りましょう。
年に数件は、必ずアイロンの放置による火災が発生しています。
炎のように目に見える危険がないので、余計に危機感が分かりづらいですが、使用温度は最大で200℃近くになる為、使用する際は十分に注意して取り扱いましょう。
また、火傷によるケガも考えられますので、火傷をした際はすぐに使用を止め、病院へ行きましょう。
正しく使用すれば生活がより便利になる為、正しい使い方を意識しましょう。
文中でも出て来ましたがサテン素材のアイロンがけについてこちらの記事で紹介しています。もし気になった方はこちらも読んで見てください!