寒い冬は、こたつで温まるとホッとしますよね。
つい忘れがちなのが、こたつの電源を切り忘れること。私は親からよく「こたつのつけっぱなしは火事になるから気をつけなさい!」と注意された記憶があります…。
実は、こたつのつけっぱなしで火災などの事故が起きていることをご存知でしょうか?
今回の記事では、こたつのつけっぱなしで火事になるのか、火事になる原因について解説したいと思います。
また、火事の危険性がある時の対処や火事にならないための防止策についても詳しくご紹介します。
こたつを起因とする火災がどのくらい発生しているのか調べました。
【火災件数】(2008年〜2015年/ナイト(製品評価技術基盤機構)調べ)
1月(57件)、2月(43件)、3月(27件)、4月(19件)、5月(8件)、11月(20件)、12月(43件)
実際に火災で燃えてしまったら原因の特定は困難です。この調査では、火災の原因が「こたつ」と判定された結果です。
調査結果から、こたつを使い始める11月頃から徐々に火災が起き始め、使用のピークである12月〜2月の間に火災が多く発生していること、3月や4月でも火災が起きていることが分かりました。
【こたつによる火災件数】(2016年1月〜12月/消防庁調べ)
44件(うち死者7人)
このように、火災にとどまらず死亡事故も起きているので注意が必要です。
実際の事例についてご紹介します。
●こたつを含む電気製品を延長コードに接続して使用していたところ、こたつ及び周辺を焼損する火災が発生し、3名が死亡、1名が軽傷を負った。(2015/01/14)
●当該製品を使用中、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生し、5名が軽傷を負った。(2016/05/30)
●こたつのヒーターユニット取付部品の不具合によるヒーターユニットの落下により出火。こたつ及び周辺を焼損する火災が発生(201704/05)
参考元:ナイト(製品評価技術基盤機構)、総務省
一番多い火災原因として、洗濯物から火災が起きるケースです。
主婦によくありがちなのが、洗濯物を早く乾かそうとしてこたつの中に入れてしまうこと。ところが、その洗濯物がこたつのヒーター部分に接触していると火事になります。
ナイト(製品評価技術基盤機構)では、こちらの動画で、ヒーターに接触している洗濯物から火が出ている動画を公開しています。
こたつの電源コードが椅子や机、こたつの足などに踏まれていると、電源コードに負荷がかかり発火の恐れがあります。
また、コードにねじれがあるとコードが断線(破損)して発火する可能性があります。
こたつのヒーターに直接、かけ布団があたると非常に燃えやすくなるため危険です。
掛け布団をこたつの中に押し込んだり、座いすをこたつの中に入れたりしたまま使用すると、掛け布団がヒーターに接触して火災の原因となります。
ヒーターの表面にホコリがたまっていると、ホコリがヒーターの熱で発火して燃える可能性があります。こまめに掃除をするように心掛けましょう。
こたつにはサーモスタット(温度調整機能)が備わっており、これにより温度が一定値を超えないように調整されています。この機能が壊れてしまうと、自動調整が行われず、温度が上がり続けて火災の原因となります。
こたつが熱いと感じたらヒューズが壊れていないか確認しましょう
たこ足配線とは、テーブルタップを使用して一つのコンセントに複数の電気機器が接続されている状態のことです。
一つのコンセントから取れる電気容量は、一般的には15アンペア、1,500W(ワット)までです。
これを超える電気を流すと絶縁物を焦がして火災の原因となります。
こたつの消費電力は取扱説明書に記載がありますが、300~500W以上という大きな消費電力を持つ家電です。できる限りコンセントを単独で使用するようにしましょう。
参考元:やべどうネット、ももの雑学!豆知識生活!、埼玉県公式サイト
こたつの電源を常時オンにしていると、温度調整ができずに発熱体(ヒーター)が熱くなって危険です。
こたつは、サーモスタットとよばれる「温度調整機能」を内蔵し、温度調整を行っています。
サーモスタットとは、バイメタルによる温度調整を行っています。
バイメタルとは、熱膨張率の異なる2枚の金属板を張り合わせた形状で、ある一定の温度以上になると片側の金属が湾曲して接点を切り離し、オフ状態になります。
オフ状態が続き、バイメタルが冷やされて元の形状に戻ろうとして、接点が接触するとオン状態に戻り発熱を再開する構造です。
このように、こたつの内部では発熱のオンとオフが繰り返されていて、温度を一定に保つように工夫されています。
こたつには温度ヒューズが内蔵されています。
温度ヒューズとは、一定の温度以上になると自動的に通電部分が溶けて通電しないようにするための安全装置です。
サーモスタットが壊れていて温度が上がりすぎた場合、安全装置のヒューズが落ちることで、こたつの電源を落としてくれます。
安全装置が作動することで安心に使用できるこたつ。こたつの間違った使い方をすることで火事になっているケースが多く見られています。
また、使用年数の長いこたつ、機種の古いこたつは、サーモスタットやヒューズの安全機能が壊れてる可能性があるので、使用前に点検を心掛けてください。
参考元:電気設備の知識と技術
突然の外出や外泊、1週間の出張や旅行などで家を空けた際、「こたつをつけっぱなしにしている」ことに気づいた時、どうすればいいのでしょう?
火事になるかもしれない危険性があるので、以下の対処を行いましょう。
実家暮らしの人は、こたつのつけっぱなしに気づいたら家にいる家族に電話しましょう。
一人暮らしの人は、こたつのつけっぱなしであることを大家さんに連絡してください。または、物件を管理していて部屋の鍵を持ってる不動産屋に連絡してください。
こたつの消し忘れがないように、出かける際は電源を確認することが大切です。
一人暮らしの人の場合、外出先で大家さんや不動産屋の連絡先がわからないこともあるかと思います。その場合、お住まいの管轄の電力会社に連絡をして電気を止めてもらいます。この場合、家全体の電気をすべて止めることになることを念頭に置きましょう。
電気の使用停止と使用開始の手続きは、電話やインターネットですぐに行えます。
電力メーターがスマートメーターの場合、電力会社は遠隔で電力供給の開始・停止が行えます。ただし、電気の使用開始の手続きを行わないと電気は再開されないため、帰宅のタイミングで電気を再開してもらうよう併せてお願いしておきましょう。
また、スマートメーターではなく、古いタイプの電力メーターの場合、電気を停止した後、ブレーカーを「入」にすれば電気が使えます。家に戻ってから電気の使用開始の申し込みをすることもできます。
参考元:selectra
こたつの天板やこたつ布団がない状態で使用しないようにしてください。
温度調整機能(サーモスタット)が適正に作動せず、常に発熱体(ヒーター)が通電状態となり、温度ヒューズが切れてしまったりするなど発火の原因になります。
また、こたつ中で洗濯物を乾かしたりするなど可燃物を入れないようにしてください。
こたつとは、人間の体を温める暖房器具です。取扱説明書に記載の通り、正しい使い方を心掛けましょう。
ヒーターの表面にホコリがたまっていると、ホコリがヒーターの熱で発火して燃える可能性があります。
こたつを使う前に、掃除機でヒーターの周囲や表面に付着したほこりを吸い取りましょう。
また、使用中もこまめに掃除することをおすすめします。
電源スイッチがこたつの中にあると、こたつに出入りする際に電源コードを引っ掛けるなどで断線やショートを引き起こし、火災の原因になります。
電源スイッチは、こたつの掛け布団の外に出して使用しましょう。
参考元:ニトリ
こたつを使っていて、いつもと何か違うと感じたら取扱説明書を見て対応してください。
それでも改善されない場合は、自己判断せずにメーカーのお客様相談窓口で相談されることをおすすめします。
また、使用しているこたつが安全な製品なのか、火災などの事故が起きていないか不安に感じた場合は、製品事故に関する情報を下記のサイトから調べることができます。
製品安全ガイド(経済産業省)、ナイト(製品評価技術基盤機構)
火災の原因に挙げられている「こたつの掛け布団が中に入り込んでしまう」といった心配がない布団レスこたつを検討されてみるのもよいかもしれません。
布団レスこたつについてはこちらの記事で紹介しておりますので、是非合わせてご覧ください。
今回の記事では、こたつの中で洗濯物を乾かしたり、電源コードの損傷やヒーターのホコリや故障が原因で火事になることが分かりました。
こたつをつけっぱなしにした場合でも、安全装置が正常に作動すれば火事を未然に防いでくれますので、定期的な点検を行うことをおすすめします。
長期不在でこたつのつけっぱなしをした場合は、家族や大家さん、電力会社に連絡して電気を止めるなどの対処を行ってください。
こたつのつけっぱなしで火事になるか知りたい人にとって、この記事が参考になればと思います。