ノートパソコンのスペックやデザインについてはメーカーを含めて、様々な情報があります。
しかしながら、その寿命については触れる機会が少ないように思います。
ノートパソコンは昔に比べたら安くなりましたが、それでも決して安い買い物ではありません。
壊れるまで使う人も少なくないでしょう。
そこで今回は、ノートパソコンの寿命について紹介しようと思います。
寿命の原因や症状をはじめ、長く使うための対策も併せて紹介します。
ノートパソコンの寿命は、一般的には3~5年と言われています。
ノートパソコンは様々な部品で構成されていますが、この中で寿命が比較的短いのがハードディスクです。
3~5年という寿命も、このハードディスクの寿命のことを指しています。
他の部品は、故障しても修理や交換が可能です。
しかし、ハードディスクは完全に壊れてしまうと、保存したデータが元に戻りません。
さらに、持ち歩くことが多いノートパソコンは、デスクトップパソコンよりも寿命が短くなりがちです。
持ち歩けるようになっていますが、やはり精密機械であることには変わりないので、どうしても衝撃には弱いです。
とはいえ、使い方によっては5年以上持つこともあります。
ただ、そこまで時間が経過すると、OSやハードウェアの規格も変わってきます。
新しいOSやハードウェアを導入したいのに、スペック的に間に合わない事態も起こり得ます。
さらに、メーカーが部品を保有しているのは、7~8年程度です。
そこから先は故障しても、部品がないので使いたくても使えません。
中古品から部品を抜き取って使い続ける人もいますが、そこまで手間をかけるぐらいなら買い替えた方が安いでしょう。
ということで、長く見ても寿命は7~8年程度です。
カタカタとかコンコンといった音がしたら、ハードディスクの磁気ヘッドが不調になる前兆かもしれません。
磁気ヘッドとは、磁気ディスクにデータを読み書きする部品です。
この磁気ヘッドがくたびれてくると、目的のデータ位置までスムーズに移動できなくなります。
すると、磁気ヘッドが磁気ディスクに接触するなどして、異音が発生するようになります。
こうなったら、ハードディスクが寿命を迎える直前かもしれませんので、早めにバックアップを取った方が良いでしょう。
電源が入らない時は、マザーボードが故障している確率が高いです。
ノートパソコン内部に蓄積したホコリなどが原因で、排熱が上手くいかなくなり、マザーボードが故障してしまうことが良くあります。
ノートパソコンは内部を見るのも、部品を交換するのも、難易度が高く、慣れていないと難しいです。
しかも、部品がなければ交換もできませんので、必然的に寿命を迎えることになります。
液晶ディスプレイの寿命で、このような症状が起こることがあります。
最近のノートパソコンは、薄くて軽いことを競っています。
このため、液晶ディスプレイもひと昔前に比べるとかなり薄くなっています。
フレームレス仕様で、フレーム幅が2~3mm程度しかないものがほとんどです。
フレームレスはスッキリとして見た目は良さそうですが、強度的には劣り、破損しやすくなっています。
ほとんどの場合、液晶パネル交換で修理できますが、メーカーや修理業者に依頼すると万単位で費用がかかります。
さらに発売から時間が経過し、部品がなくなれば、修理もできませんので、寿命となります。
参考元:納得パソコン購入術!パソ兄さん、ドスパラ、ZOA
ノートパソコンの寿命は、ハードディスクの寿命と言っても良いぐらいです。
5年以上経過したハードディスクは、いつ故障してもおかしくないと考えた方が良いでしょう。
ハードディスクの故障の主な原因としては、振動や衝撃、熱、経年劣化などがあげられます。
精密機械にホコリは大敵です。
ノートパソコンの内部に溜まったホコリが湿気を帯びて、パーツがショートし、故障することもあります。
また、ホコリが溜まると、排熱が上手くできなくなります。
すると、ノートパソコンの内部が高温になり、マザーボードの故障などで最悪寿命になることもあります。
寿命を少しでも延ばすには、定期的に掃除した方が良いです。
キーボードや排気口についているホコリを除去するだけでも、違います。
カバーを外して内部を掃除すれば、さらに良いですが、慣れていないと難しいでしょう。
失敗すると、本当に故障してしまう恐れもあります。
確実に掃除するには、専門の業者に内部清掃を依頼した方が良いと思います。
費用としては、約3,000~5,000円です。
近くで雷が落ちた時に、高圧電流が発生することがあります。
そして、この高圧電流はコンセントや電話線、大気などを伝ってきます。
この時、ノートパソコンを使っていると、高圧電流によって故障してしまいます。
故障しなくても、部品の劣化を招き、寿命を縮めてしまうこともあり得ます。
できれば、雷発生時はノートパソコンを使わない方が良いでしょう。
それでも使う必要がある時は、雷ガード付きのタップを使うなど、対策をしましょう。
雷による破損は、メーカーの保証対象になりません。
例え保証期間内でも修理費用が発生します。
参考元:納得パソコン購入術!パソ兄さん、HP、BTOパソコン.jp、サンワサプライ
持ち歩けるノートパソコンですが、やはり精密機械ですので、衝撃には弱いです。
それでなくても、最近のノートパソコンは薄く軽くするために、強度が犠牲になっている部分もあります。
使わない時や持ち歩く時は、ケースに入れるのがおすすめです。
これだけでも衝撃がダイレクトにノートパソコンに伝わらないので、寿命が延びます。
掃除するだけでそんなに変わるのか、と思うかもしれません。
しかし、これが意外に効果があります。
ホコリは冷却ファンの動作を妨げる原因の一つです。
そして、冷却効率の低下は部品の破損を招きます。
破損した部品によっては、それだけで寿命になってしまう事態もあり得ます。
ですので、排気口やキーボード上に溜まったホコリを除去するだけでも良いので、定期的に掃除しましょう。
ノートパソコンを使う場所も一緒に掃除しておくと、なお良いですね。
ノートパソコンの寿命は、温度と湿度にも左右されます。
結露する窓の近くにずっと置いておくと、湿気で部品が故障してしまうこともあります。
また、ノートパソコンは、極端に暑いところや寒いところも苦手です。
暑すぎても寒すぎても、正常に動作できません。
なるべく湿気が少なく、一定の温度のところで使いましょう。
最近のノートパソコンは、軽く薄くなる一方です。
そのおかげで、液晶ディスプレイのフレーム幅も2~3mmと細くなっています。
見た目は良いのですが、強度的には劣ります。
なるべく両手で開閉した方が、寿命が縮まなくて良いでしょう。
タバコの煙に含まれるヤニは、ノートパソコンの大敵です。
このヤニが、ノートパソコンの内部に溜まったホコリに付着します。
すると、ホコリがヤニでベタベタになります。
これが冷却ファンやハードディスクの動作の妨げとなり、部品が故障しやすくなります。
ヤニを含んだホコリは、エアダスターでも吹き飛ばないし、掃除機でも吸い込みにくいので、かなり厄介です。
できれば、禁煙した方がノートパソコンの寿命のみならず、使う人の寿命のためにも良いでしょう。
参考元:ドスパラ通販、HP、ZOA、NAVER まとめ、ASCII.jp、納得パソコン購入術!パソ兄さん
シンプルですが、これが最も効果的です。
ノートパソコンで最も寿命が短いのは、ハードディスクです。
しかも、故障の仕方によっては、保存したデータの復元ができないこともあります。
それだけに日ごろからこまめにバックアップをとることが、とても大事です。
できれば、バックアップ用のハードディスクを2台用意しておくと良いでしょう。
2台で1日おきに交互にバックアップをとっておくと、万一どちらか片方が故障しても損害が小さくて済みます。
予算があれば、NASを導入するのもおすすめです。
日ごろからバックアップをとっておけば、OSのクリーンインストールを行うような事態になっても、すぐに取り掛かれるメリットもあります。
S.M.A.R.T. (以下、SMART)とは、「Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology」の略です。
ハードディスクやSSDといった記録媒体のほとんどに搭載されている、自己診断機能です。
エラーの発生率、不良セクタの数、温度などを測定・記録しています。
この数値を確認することで、ハードディスクの故障の前兆がある程度わかります。
すべての故障に対応できる訳ではありませんが、ハードディスクの寿命を把握する手段の一つとしておすすめです。
SMARTは、専用ソフトで見ることができます。
「CrystalDiskInfo」という、フリーウェアが良く使われています。
何もわからなくても、とりあえず表示される色でざっくりと状態がわかるようになっています。
青なら異常なしで、黄か赤は要注意です。
各項目の数値は、最悪値がしきい値を下回ると、故障の可能性があります。
この場合は寿命が近いかもしれませんので、早急にバックアップをとった方が良いでしょう。
バッファローの「みまもり合図」など、メーカー独自のハードディスクの自己診断機能を提供しているところもあります。
CrystalDiskInfoが難しいと思ったら、このようなサービスを利用するのも手です。
CrystalDiskInfoによるハードディスク測定値の一例
平成15年より資源有効利用促進法が施行され、ノートパソコンの処分はメーカーが行うことになりました。
このため、寿命を迎えたノートパソコンの処分は、自治体では行っていません。
手持ちのノートパソコンにPCリサイクルマークが付いていれば、メーカーが無料で引き取ってくれます。
2003年以前の古いノートパソコンや、法人モデルを個人で買った場合などは、PCリサイクルマークが付いていません。
この場合は、有料回収で3,000円(税別)の費用がかかります。
ただ、PCリサイクルマークがなくても、民間のパソコンリユース業者に依頼すれば、無料で引き取ってくれます。
メーカーもリユース業者も、ハードディスクなどの記録媒体のデータは消去してくれます。
心配であれば、改修前にトンカチなどで叩いて、物理的に壊しておくと良いでしょう。
ノートパソコンとしては、寿命で使えなくても、部品によってはまだ元気だったりします。
メモリやハードディスクなどは、他のノートパソコンでも使えます。
そこでノートパソコンを部品単位に分解し、オークションサイトなどに出品するのも良いでしょう。
補修用に部品を探している人などが、買ってくれるかもしれません。
ただ、分解する手間がかかりますし、確実に買ってもらえるとも限りません。
とはいえ、運が良ければ、寿命で使えなくなったノートパソコンがお金になる可能性があります。
参考元:パソコン廃棄.com
ノートパソコンのバッテリーは、消耗品です。
繰り返し充電して使っていくうちに、劣化して使える時間が短くなっていきます。
バッテリーの寿命は使っている環境によるので、一概に何年とは言えません。
使える時間が以前よりも短くなったと感じたら、それが交換時期だとお考えください。
とはいえ、バッテリーもそんなに安いものではありません。
なるべく寿命を縮めないように使いたいものです。
バッテリーの寿命を長くするには、次の2点に気を付けると良いでしょう。
第一に、高温にしないこと。
現在、ノートパソコンのバッテリーは、ほとんどがリチウムイオン電池です。
この電池は熱に弱いので、なるべく涼しいところに置くと良いでしょう。
第二に、フル充電にしないこと。
使う側としては、ノートパソコンの駆動時間を長くしたいので、バッテリーはフル充電したくなります。
しかし、フル充電はバッテリーが劣化しやすくなるので、80%程度の充電に留めておいた方が良いでしょう。
メーカーから提供されている専用アプリを使うことで、フル充電になる前に充電を終了できます。
参考元:ノートン
Thinkpad X270(LENOVO)(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
ThinkpadはLENOVOのビジネス向けノートパソコンで、堅牢な作りで有名です。
メンテナンス性にも優れています。
バッテリーは着脱できるので、交換が簡単です。
補修用部品は個人でも入手できます。
しかも、マニュアルに分解手順が記載されており、分解しやすいです。
使っているユーザーが多いので、分解を解説した動画も数多く公開されています。
どこかが故障したら、他のメーカーなら替えの部品が手に入らずに、寿命を迎えてしまうことがありますが、Thinkpadならそういった事態を回避しやすいです。
今回紹介しているX270は、Xシリーズの最新版です。
B5サイズのモバイルノートでありながら、ハイスペックなので、長い寿命が期待できます。
価格も10万円程度で、比較的お手頃です。
LENOVOというメーカーのイメージさえ嫌でなければ、おすすめです。
Let's note CF-SV7(パナソニック)(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
こちらもビジネス向けのノートパソコンです。
机の上からの落下や、満員電車での圧迫などを想定した、厳しい耐久試験を行っています。
本体は独特のデコボコした形状で、これにより高い強度を実現しています。
故障率が低いと言われており、早々に故障して寿命を迎えることも少ないでしょう。
ただし、内部構造は複雑でメンテナンス性には優れていません。
補修用部品も個人で入手するのは難しいです。
さらに、価格が20万円以上と、高価で手が届きにくいのもネックです。
しかし、その分サポートは手厚いので、自分でトラブル解決をする自信がない人には良いでしょう。
Dynabook RX73(東芝)(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
頑丈さがウリのモデルです。
前項で紹介したLet's noteよりも耐久試験が厳格な部分もあり、強度に期待が持てます。
バッテリーは着脱式で、バッテリーが寿命を迎えても交換できます。
メンテナンス性も良く、底面のカバーが比較的簡単に外れます。
このため、ハードディスク搭載のモデルでも、SSDへの換装が簡単です。
冷却ファンの掃除もしやすいです。
ただ、補修用部品は入手しにくいでしょう。
参考元:物欲ガジェット.com
ノートパソコンの使い方は、人それぞれです。
それ故に、寿命も一概には言えない部分があります。
寿命に至る不具合の症状や対策も、様々です。
今回記事の中で紹介したのは、その中の代表的なものであり、すべてをフォローしきれていません。
症状が現れても、即座に寿命とならないこともありますし、掃除するだけで不具合が改善してしまうこともあります。
また、今回の記事でS.M.A.R.Tを紹介していますが、各項目がどの程度になったら要注意と見るのかは、人によって微妙に異なります。
例えば、ハードディスクの温度が50℃を越えたら要注意とする人もいれば、60℃を越えても大丈夫だと判断する人もいます。
あくまでも目安として活用するものと、捉えていただければと思います。
この他、記事について疑問点などご意見やご指摘があれば、お問い合わせフォームからご連絡ください。
加筆・修正して対応に当たらせていただきます。
ノートパソコンは持ち運べて便利です。
しかしその一方で、ノートパソコンはメンテナンス性に優れないという弱点があります。
さらに精密機械で衝撃に弱く、小型なので排熱効率も悪いです。
すると、どうしても寿命が短くなりがちです。
ですが、それも掃除をしたり、保管方法に気を付けることで、ある程度は軽減できます。
メンテナンスしやすいノートパソコンを選ぶのも、手です。
ただ、そういったメンテナンス性に優れたノートパソコンは、大体高価です。
ですから、中古で買う人もいます。
ネットとメール、SNSをする程度なら、2~3年ぐらい前のモデルでも支障ありません。
基本設計が良いので、中古でも寿命は長いです。
他にも気になる家電製品の寿命について解説している記事がいくつもあるので、気になった方はぜひ読んで見てください。
更新日時 | 更新内容 |
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2018/08/03 | 関連記事の更新 |