スキャナーと聞いたら、どんなスキャナーが頭に浮かぶでしょうか。
コンビニやスーパーのレジで使われている、バーコードスキャナーでしょうか。
それとも、スマートフォンのQRコードスキャナー機能でしょうか。
どちらも装置を対象にかざすことで、その内容を装置に画像として取り込みます。
簡単に言ってしまえば、スキャナーとはそういったものです。
とはいえ、スキャナーも色々あります。
今回はそんなスキャナーの種類やプリンターとの違い、特徴などについて解説します。
また、初めて使うのにおすすめのスキャナーも紹介します。
個人で使うスキャナーには、主に以下のようなものがあります。
コピー機の上部分だけを、切り取ったような形状のスキャナーです。
透明な原稿台に原稿をのせ、その下から読み取りユニットが光を当てます。
そして、その反射光をセンサーが読み取ります。
スキャナーの読み取り方式は、主にCCDとCISの2つです。
CCDとは「Charge Coupled Devices 」の略で、光学縮小方式と言います。
CISとは「Contact Image Sensor」の略で、密着センサー方式と言います。
2つの違いは、反射光をセンサーに届ける方法です。
CCDは複数のレンズとミラーで届けるのに対して、CISはレンズだけで届けます。
CCDはレンズとミラーを使うために、構造が複雑です。
このため、本体サイズが大きく、価格も高めです。
一方、CISはレンズしか使わないので、本体はコンパクトですし、価格も安く抑えられます。
このため、個人向けの複合プリンターに搭載されているスキャナー機能のほとんどは、CIS方式です。
しかし、読み取り精度はCCDの方が優れています。
特に原稿台に原稿が密着していない状態でのスキャンは、CCDの方がきれいです。
フラッドベッドスキャナー キャノン CanoScan LiDE220(画像をクリックするとAmazonに移動します)
参考元
Wikipedia、日経トレンディネット
複数の原稿を、素早く読み取れるスキャナーです。
ADFという、ローラーで原稿を送る装置で読み取ります。
ちなみにADFとは「Auto Document Feeder」の略で、日本語では「自動原稿送り装置」と言います。
フラッドベッドスキャナーとは違い、厚みのある原稿は読み取れませんが、薄いものなら素早く大量に読み込めます。
構造がシンプルなので、基本的に本体サイズはコンパクトです。
プリンター複合機にも、同様の機能を備えているものがあります。
原稿は機械によってセットされますので、ズレが少なく、常に定位置を保って読み込めます。
このため、高解像度での読み込みが可能であり、読み込んだ画像をテキスト化するのにも適しています。
シートフィードスキャナー エプソン DS-530(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
電気スタンドのような形状のスキャナーです。
アーム部分の先端にカメラが付いており、これで原稿を読み取ります。
フラッドベッドスキャナーやシートフィードスキャナーとは異なり、本のような厚みのある原稿でも読み込めます。
また、本体サイズも電気スタンド並みにコンパクトですので、机の上に置いても邪魔になりにくいです。
要はスタンドにカメラが付いたものですので、スマートフォンをスタンドに固定すれば、簡易スタンドスキャナーとして使えます。
キングジム デスクショット DK800(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
参考元
ITmediaエンタープライズ
複合プリンターが個人向けに普及したので、プリンターでスキャンやコピーもできるようになりました。
ただ、その弊害なのか、スキャナーとプリンターの境界線があいまいになりがちです。
しかし、プリンターとは違い、スキャナーには印刷する機能がありません。
スキャナーは原稿を読み込んで、画像データとして取り込むための装置です。
つまり、コピー機のコピー機能だけを抜き取ったもので、印刷はできません。
プリンターは印刷するのに、インクが必要です。
個人向けのインクジェットプリンターは、インクタンクがそれほど大きくないので、結構消耗します。
消耗の度合いはプリンターの仕様や使い方で変わりますが、インクがなくなったら交換します。
つまり、プリンター本体の価格とは別に、インクの価格も含めたコストを考慮して買う必要があります。
これに対してスキャナーは、消耗品がほとんどありません。
フラットベッドスキャナーとスタンドスキャナーは、一度買えば、そのまま壊れるまで使えるものがほとんどです。
ただし、シートフィードスキャナーは、ADFの給紙部品が消耗品です。
一定枚数をスキャンしたら、交換する必要があります。
スキャナーのメリットとしては、まず手持ちの書類や本の内容を、デジタルデータ化することができます。
大量に書類があると保管場所に困りますが、データ化すればハードディスクやEvernoteのようなサービスを使って保存すれば、場所を取りません。
古い写真や子供が描いた絵などもスキャンしておけば、劣化せずに保存できます。
レシートをスキャンしてテキスト化すれば、簡単に家計簿が作れます。
また、絵の下書きをスキャンして、ペイントソフトで加工することも可能です。
パソコンで絵を描きたいけど、マウスやペンタブレットで下書きするのが苦手という人でも、簡単にCG作成ができます。
参考元
ASCII.jp
プリンターとは別に、スキャナーを単体で使う場合は、その設置スペースが必要です。
特にフラッドベッドスキャナーは場所を取るものが多いので、事前に寸法を確認した方が良いでしょう。
しかし、フラッドベッドスキャナーでも縦置きできるモデルもあります。
そういったスキャナーなら、それほど広いスペースがなくても置けます。
また、スキャナーで読み込んだ画像の色味は、原稿と全く同じにはなりません。
個人向けのスキャナーでも性能はかなり良くなってきていますが、細かな色味はやはり原稿とは微妙に違ってしまいます。
画像加工ソフトで後から調整することもできますが、それにも限界があります。
絵や写真をスキャンしたい人には、CCD方式がおすすめです。
現行の複合プリンターは、コストがかからずコンパクトに作れるため、ほとんどがCIS方式です。
最近はCIS方式でもかなりスキャン精度が良くなってきてはいるものの、やはりCCD方式に比べると劣ります。
とはいえ、構造が複雑なので、本体サイズが大きく、価格も最低でも2万円弱と高めなのがネックです。
CCD方式のフラッドベッドスキャナー エプソン GT-F740(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
何枚もの原稿を一度にスキャンするシートフィードスキャナーの場合は、読み込み速度が速い方が良いでしょう。
個人向けのエントリーモデルでは、1分間に30~40枚程度スキャンできるものが多いです。
フラッドベッドスキャナーや複合プリンターにも、シートフィード機能を備えているものがあります。
しかし、シートフィード専用機とは異なり、読み込み速度はそれほど速くありません。
ただ、読み込み速度に対して精度が追い付かないものもあるようです。
シートフィードスキャナー キャノン imageFORMULA DR-C225W(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
参考元
富士通 ScanSnap iX500のAmazonレビュー
フィルムスキャン機能とは、フィルム写真に使うネガフィルムをスキャンして写真画像として取り込める機能です。
古いフィルムを持っているなら、あると便利です。
10年ぐらい前なら、複合プリンターにも搭載されていましたが、現在は全くありません。
スキャナー専用機でも、CIS方式のエントリーモデルにはなく、ワンランク上のCCD方式のモデルに搭載されています。
しかし、個人向けでフィルムスキャン機能が付いているスキャナーは、あまりありません。
2018年3月現在、エプソンには3モデルありますが、キャノンは1モデルだけです。
フィルムスキャン機能搭載のフラッドベッドスキャナー エプソン GT-X830(クリックすると、Amazonに移動します)
個人向けのフラッドベッドスキャナーの入門機。
価格も1万円以下とお手頃です。
縦置きが可能で、場所を取りがちなフラッドベッドスキャナーの弱点を軽減できます。
しかも、縦置きしたままスキャンできます。
接続ケーブルもUSBケーブル1本だけで、コンセントがない場所でも大丈夫です。
CIS方式で、CCD方式とは読み込み精度では敵いませんが、個人で使う分には十分使えます。
エプソン GT-S650(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
参考元
エプソン
シートフィードスキャナーの定番。
ScanSnapシリーズには様々なモデルがありますが、その中のスタンダードなモデルです。
価格は約2万円で、シートフィードスキャナーとしては安い部類に入ります。
読み取り速度は、A4サイズの両面スキャンの場合、1分あたり12枚です。
本を1冊スキャンするようなことをしないのなら、これで十分でしょう。
GoogleドライブやEvernoteのような、クラウドサービスに保存すれば、異なる端末からもデータを見ることができます。
また、フラッドベッドスキャナーとは違い、本体サイズがコンパクトです。
電源にACアダプタが付いていますが、USBケーブルだけでも使えます。
ただし、付属のソフトウェアにMacOS上で動作しないものがいくつかあります。
富士通 ScanSnap S1300i(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
参考元
富士通
スタンドスキャナーの人気商品。
スタンドスキャナーとしては、ややコンパクトさに欠けますが、その分性能に安定感があります。
本や冊子のような、綴じられているものでも解かずにスキャンできます。
フラッドベッドスキャナーやシートフィードスキャナーは、原稿が原稿台やローラーなどに接触しますが、こちらはそういうことはありません。
このため、触ると色が落ちるクレヨン画や古い資料などをスキャンしたい時には便利です。
一定時間ごとにスキャンできる機能があり、本などを1ページずつめくってスキャンしやすいです。
とはいえ、シートフィードスキャナーと比べると読み込み精度は劣ります。
ズレやゆがみも生じやすいです。
求める用途に合致しないと、不満が残るかもしれません。
富士通 ScanSnap SV600(画像をクリックすると、Amazonに移動します)
参考元
富士通
一言でスキャナーと言っても、様々なものがあります。
今回この記事内で解説・紹介した内容は、そのうちの一部に過ぎません。
個人向けのスキャナー専用機は、複合プリンターの普及によって一時よりは衰退しました。
ちょっとした内容ならスキャナーを使わずに、スマートフォンのカメラで撮影して、それで済ませてしまう人も少なくありません。
とはいえ、現行で販売されているスキャナーは、とりあえず両手では数えきれないぐらいはあります。
そして、それだけあれば機能も様々です。
ですので、この記事ではフォローしきれていないことも、多々あります。
もしこの記事をお読みになって、何か疑問に思うことがあれば、お問い合わせフォームからお問い合わせください。
加筆・修正をして、対応に当たらせていただきます。
最近は、複合プリンターやコンビニのコピー機にスキャナー機能が付いています。
ちょっとしたスキャンなら、これらで十分事足りてしまいます。
ですので、個人向けのスキャナー専用機は衰退しています。
とはいえ、大量にスキャンするものがあったり、ペーパーレス化したいのなら、スキャナー専用機の方が便利でしょう。
複合プリンターは1台にプリンター、コピー機、スキャナーと3つも機能を盛り込んでいます。
便利ですが、1台に3つも機能が入っていると、無理が生じやすいという弱点もあります。
どのようなものを、どのくらいスキャンするのかをなるべく明確にすると、選びやすいでしょう。