さまざまな解説記事を見たときに使用している数値の根拠や出典が明らかではない記事だと自分でも試そうと思ったときに不便だったので、この記事を書く際はこの情報が古いのか新しいのか分かりやすいように現在の年度を、各数値の引用を行った場合には情報として信頼の置けるサイトへのリンクを張るよう心がけました。そのためややうっとうしいと感じる部分があるかと思いますがどうかご容赦ください。
Written By HN: トゥルーデは俺の嫁
ここ数年原子力発電への危機感から火力発電への依存が高くなっているため、燃料費の増加など一般家庭の年間電気代は毎年上昇の一途をたどっています。
景気は回復しつつあるようですが我々一般人はまだまだ恩恵にあずかれそうにないため、少しでも家計の負担を減らすために「家電や冷蔵庫の電気代を抑えたい!」と思われる人も多いかと思います。
結果LED照明などの省電力家電の需要が高まり、それを受けて各家電メーカーでも低消費電力を目指して製品開発が行われています。
冷蔵庫もエアコン同様にここ10~15年で大きく省電力化が進んでおり、同容量の冷蔵庫と消費電力を比べた場合、9年前の冷蔵庫より最新の冷蔵庫は20%ほど低くなっており、19年前の物と比べるとおよそ50%もの冷蔵庫の電気代は消費電力減となっています。(※1)
そうなると「今使用している冷蔵庫の電気代と、最新モデルの冷蔵庫の電気代はどれくらい違うのだろうか?」と気になる人も出てくるでしょう。
冷蔵庫の電気代などを調べるには『ワットモニター』などの計測機器を使用する必要があると考えがちですが、そういった機器がなくても冷蔵庫の仕様に記されている『年間消費電力量』を元にすれば、おおよその冷蔵庫の電気代を計算することが可能です。
今回は古い冷蔵庫の電気代一例や、2018年最新冷蔵庫の年間消費電力量やその数値を使った冷蔵庫電気代の出し方などを紹介してみたいと思います。
また、手っ取り早く冷蔵庫電気代を知りたい方へ結論をお伝えすると、年間で7000円〜古い機種などでは2万円ほどするものもあります。
以下では詳しく電気代の計算方法や冷蔵庫電気代を安く抑える方法などを解説していきます。
※1…冷蔵庫の年間消費電力量比較は
2009年製Panasonic『NR-F473TM-N (390kWh/年)』
1999年製SANYO『SR-33R (660kWh/年)』
Panasonicで同程度の庫内容量を持つ2018年時の現行モデル
『NR-F473XPV (315kWh/年)』と『NR-C32HM (333kWh/年)』
にて行いました。
記事参考:経済産業省 エネルギー庁 平成26年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2015)
仕様参考:Panasonic NR-F473XPV仕様、Panasonic NR-C32HM仕様
冷蔵庫の電気代は『定格内容積(容量・サイズ)』や『各メーカー毎に採用している断熱材や冷却装置の性能や効率』など冷蔵庫側の性能によって変化する部分もあります。
『利用している電力会社のプランと1kWhあたりの単価』『冷蔵・冷凍庫の庫内設定温度(弱・中・強)』『開け閉めする回数や時間(冷気を逃がしてしまう要因)』など利用者側の環境によっても左右されます。
また見落としがちですが室内(冷蔵庫の外)の温度にも左右され、室温が30度の時より20度の時の方が庫内を冷やすために使う電力は少なくて済むので冷蔵庫の電気代も低くなります。
その名の通り『1年間を通じて消費する電力量』を示し、kWhと書いて『キロワットアワー』または『キロワット時』と読みます。
単位のh(hour)が付くことで1時間あたりの量を示し『/年』は1年毎を意味しています。年間消費電力量を365で割れば1日分の、12で割れば約1ヶ月分の電力量となります。
冷蔵庫の電気代は『年間消費電力量』×『1kWhあたりの電力量料金(単価)』という方法で計算することができます。
冷蔵庫を開けっ放しの場合は電気代が計算より少し高くなります。
電気代の計算に必要な『年間消費電力量』は冷蔵庫本体に添付されている表示や公式ウェブサイトの仕様ページなどから知ることができます。
もう一つの計算に必要な『1kWhあたりの電力量料金(単価)』を出すには電気代の請求書を見るか、『くらしTEPCO』や『でんき家計簿』(東京電力)、または『よりそうeネット』(東北電力)いったウェブサービスを利用することでも知ることができます。
電気料金は段階的に単価が上がる従量制を採用しているため、そのままでは単価が分かりません。
『東京電力(TEPCO)』を例にとると一般家庭向けの『従量電灯B』あるいは電力自由化後の『スタンダードプラン』の場合は
『120kWhまで19.52円』
『120kWh~300kWhまでが約26円』
『300kWh以上は30.02円』
と段階的に単価が上がっていきます。(※2)
ですので冷蔵庫の電気代を算出するために必要な『1kWhの電力量料金(単価)』を請求書などからわり出す必要があります。
その月の『請求予定金額(電気代)』を『使用電力量』で割ることで1kWh単価を出すことができますので、たとえば1ヶ月の使用電力量が『428kWh』請求予定金額が『11,703円』と書かれていた場合の計算方法は
11,703÷428=27.34…となるので小数点3けた以降を四捨五入しておよそ『27.34円』がこの場合の単価となります。
ですが季節により冷暖房の使用量で月によって大きく電気代が変わる地域もあるかと思います。
その場合は『12ヶ月分の電気代を足した額』÷『12ヶ月分の使用電力量を足した物』で出すことでより正確な平均単価を出すことができますが、ハッキリ言って面倒ですよね?
※2…各料金、単価などは2018年7月時点のものです
そんな場合は一般的な電気料金の指針となる目安単価が『公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会』によって決められています。
2018年現在の目安単価は『27円/kWh(税込)』となっており、カタログなどに記されている冷蔵庫の電気代はこの数値を元に計算されています。
ですのでおおよその目安を知りたいだけであればこの値を目安に冷蔵庫の電気代の計算をするのがよいでしょう。
記事参考:東京電力 スタンダードプラン
記事参考:公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会Q&A 「カタログなどに載っている電気代はどのようにして算出するのですか?」
一般社団法人日本電機工業会 冷蔵庫専門委員会によると一般的な家庭(大人二人子ども一人)の三人暮らしの場合必要な冷蔵庫容量が430~480Lとのことなので、日立の430L冷蔵庫『R-XG4300H』を例に計算してみました。
R-XG4300Hの年間消費電力は287kWh/年なので上記目安単価である27円を用いて計算すると
『287×27=7,749』
と1年間の冷蔵庫の電気代はおよそ7,749円と予想できます。
ちなみに筆者宅の約十年前に発売されたPanasonic製470L容量の『NR-F473TM』の年間消費電力量は『390kWh/年』なので、計算すると『10,530円』となりました。
ですが5~10年以上前の冷蔵庫などはこの計算で出る電気代よりも実際の電気量は高い金額になると思います。
経年による冷蔵庫の性能低下も理由の一つですが、2015年に冷蔵庫のJIS規格が見直されました。
『冷蔵庫の格納容量』『年間消費電力量』『省エネ基準達成率』
などの数値がより実際の値に近い物、現実的な数値となるように計測基準などが変更されました。
それにより2015~2016年以前に製造された冷蔵庫とそれ以降に発売された冷蔵庫では『年間消費電力量』などの値が異なっているからです。
もちろんこの方法で出した冷蔵庫の電気代はあくまで目安に過ぎません。
「どうしても正確な消費電力や電気代が知りたい!」という方は以下のような『ワットモニター』などの消費電力を計測できる機器を使って調べてみると良いでしょう。
ちなみに筆者宅の古い
SANYO製冷蔵庫『SR-33R(年間消費電力量660kWh/年)』
の計算上の年間電気代は『17,820円』。
ワットモニターで調べた値を元に計算したら『22,272円』と予想通り冷蔵庫の電気代に結構な差が出ました。
これは夏に計測したので冷却にかかる消費電力が多くなっていることや、経年により冷却効率が落ちていることが原因です。
さらにはJIS規格見直し前の古い計測基準による数値(年間消費電力量)がもとになっている事なども原因だと思われます。
(画像は24時間計測時の値)
記事参考:経済産業省 電気冷蔵庫及び電気冷凍庫のトップランナー基準等の見直しについて
手持ちの2018年冷蔵庫カタログや、各メーカーの公式ウェブサイトに記載されている仕様表をざっとまとめてみたところ、基本的にはサイズ(定格内容積)が130L~380Lくらいまで容量に比例する形で上がっていきます。
400Lに達するとぐっと下がり500L以上になるとまた徐々に上がる傾向があるようです。ですので2018年の現時点では容量400~500Lサイズの冷蔵庫が一番冷却効率が良く、冷蔵庫の電気代が安くなっていると考えて良いでしょう。
2018年7月現在のラインナップの中で年間消費電力量が最も高いものと最も低い物をピックアップしてみました。
中でも三菱やAQUAの冷蔵庫は最新機種の方がぐっと消費電力が下がっているものが見受けられました。
高:容積451Lの『NR-FV45S3』390kWh/低:容積450Lの『NR-F453HPX』259kWh
高:容積370Lの『MR-C37C』540kWh/低:『MR-B46CやMR-WX47Cほか数機種』250kWh
高:容積265Lの『R-S2700HV』370kWh/低:容積520Lの『R-HW52J』239kWh
高:容積363Lの『GR-M36S』385kWh/低:容積462Lの『GR-M460FW(X)』241kWh
高:容積350Lの『SJ-W351D』430kWh/低:容積502Lの『SJ-GX50D』240kWh
高:容積275Lの『AQR-SD28F』490kWh/低:容積415Lの『AQR-SV42G』290kWh
シャープには容積545Lで515kWhというサイズに見合わない高消費電力量の『SJ-55W』という冷蔵庫があるのですが、参考にならなかったので例外としました。
他の冷蔵庫との違いは『高濃度プラズマクラスター7000』をうたっていることですが「他社大容量冷蔵庫に付いている自動製氷や高速冷凍機能がないどころか、チルドルームすら付いていない消費電力の高い冷蔵庫に需要はあるのか?」と個人的には興味を持ちました。
その代わり同容量帯の冷蔵庫において2018年7月現在8~10万円程度と容量単価がもっとも安いのがメリットとなっています。
AQUAの容積75Lの冷蔵庫『AQR-8G』の年間消費電力量は177kWhと非常に低いのですが、直冷式で霜取りが必要なモデル故の低消費電力と判明したので、こちらも例外としました。
上記ピックアップや冷蔵庫のカタログを見て分かるとおり、ある程度の大きさ(400L~)を備えた冷蔵庫の方が消費電力量が低いのは、一定の厚みのある断熱素材を冷蔵庫の扉や筐体に使用することができること、庫内容量と冷却器のバランスが良くなり効率的に内部を冷やすことができるようになっているからです。
もちろん値段が高くなることで高性能な冷却器を使用できていることも要因の一つでしょう。
サイズが大きく高級な冷蔵庫ほど様々な機能が付き、冷蔵庫の電気代もそれに合わせて高くなるように思いますよね。
そういったオプション機能に使う電力は冷却に用いる電力に比べるとかなり小さいので、カタログ数値を見る限りでは冷蔵庫の電気代への影響は少ないと思われます。
ただ…プラズマクラスターの濃度を上げるとそんなに消費電力高くなるのでしょうか?個人的にかなり気になります。
冷蔵庫を開けっぱなしにした場合はどれくらいの電気消費量になるのでしょうか?
開けっ放しにするということは、温度が下がらないので冷気が延々と出ている状態になります。
ずっと冷蔵庫はフル稼働になっていて、冷気を出し続けているので冷蔵庫の電気代は高くなりそうですよね。
しかし、下の写真のサンヨーの冷蔵庫で計算をしてみましょう。
※あくまでも開けっ放しの状態で24時間フル稼働で計算します。
月55000wということは1日あたり1840wですので、目安単価27円で計算します。
※27円の単位がキロなので、ワットで計算するため1000で割ります。
1840×27/1000=約50円 となります。
意外でしたが、冷蔵庫という家電はコンプレッサーが稼働していてもしていなくても、消費電力はコンプレッサーが稼働している状態で記載されているので、約50円となります。
しかし、1か月間開けっ放しにしているとなると、冷蔵庫の電気代が約1500円となりますので、金額的には高くなってしまいますね。
それよりも当然冷蔵庫の中の食品に関しては悪くなっている可能性が高いので、食材を廃棄することが高くついてしまうので開けっ放しには注意しましょう。
電気代の計算にはお使いの冷蔵庫の年間消費電力量を知る必要があります。
説明書やウェブサイトから調べても良いですが、大抵の冷蔵庫は冷蔵室のドアを開けた裏側に仕様一覧として『年間消費電力量』が表記されています。
そこに書かれている数値を元にさきほど紹介した目安単価である27円、または請求書から算出したより正確な単価を使って『年間消費電力量×単価』の計算をして冷蔵庫の電気代を出してみましょう。
これから買おうと思っている候補冷蔵庫の電気代を計算してみて、どの程度電気代が安くなるかシミュレートしてみるのも良いかもしれませんね。
エアコンが設定温度を低くしすぎたりすると電気代がかさむように、冷蔵庫も稼働の際には熱が発生しその熱の発生分も含めて温度を下げるためかなりの電気を使わなくてはなりません。
設定温度を下げすぎて必要以上に電気を使ってしまえば電気代が上がってしまうのは詳しく説明するまでもないですよね?
全く入れないよりある程度の物を入れた方が空間が狭まるので冷やしやすいのですが、物が多すぎると今度は冷却した空気の通り道が狭くなるため冷蔵庫内に冷気が循環しにくくなり、結果冷却効率が落ちて電気代が上がってしまいます。何事も適量が大事と言うことは冷蔵庫でも変わりありません。
この状態で開けっ放しにしていると、冷蔵庫の開けっ放しの電気代より食材の代金が高くなることは間違いありません。
近年エアコンは15分~30分程度の外出ならいちいち電源を切らない方が冷蔵庫の電気代が少ないと言われています。
いったん部屋の温度が上がってしまうとその温度を元の設定温度に戻すためにより多くの電力を消費するという理由からです。
理屈を知ってしまえば「ああ、確かに!」と納得できるでしょう。
冷蔵庫も同様に扉を開けている時間が長かったり、開閉回数が多かったりして庫内の温度が上がってしまうと元の温度に戻すために消費電力が上がります。
お子さんなどが遊びで冷蔵庫を空けたりしないよう、空けたらきちんと締めるよう家族皆に言い聞かせることが大切です。
まぁ筆者も食材を出し入れする手際が悪かったり、一年を通して冷やしているおやつをつまんだりするために頻繁に冷蔵庫を開けがちなので、あまり人のことは言えないのですけどね。
でも冷蔵庫の開けっ放しの電気代を考えるとそこまで気にしなくてもいいかもしれませんが、中の食材はダメになってしまいます。
基本的に冷蔵庫は1度買えば10年以上使える物も多く、買い替えることの少ない家電の一つでもあります。
しかし冷却用機器の劣化や使用している電源の能力低下などにより冷却効率が落ち、電気代計算の一例とした筆者宅の古い冷蔵庫のように、購入当時や現在想定の電気料金よりも高くなってしまうことがあります。
また前述したとおり400Lより小さい容量の冷蔵庫だと筐体に使用できる断熱材、冷却器や放熱器の性能や大きさにも限界があるため消費電力が高くなりがちになっています。
冷蔵庫もエアコン同様、強より中、中より弱運転の方が使用する電気量は少なくてすみます。
かといって何でもかんでも弱にすれば良いというものではなく一定の温度になるように設定するのが望ましいです。
本来であれば温度計を使って冷蔵庫の適温である4℃より高いか低いかを計って4℃に近づけるよう設定するのが最良ですが、一般家庭で行うには面倒以外の何物でもありません。
前述したように冷蔵庫は置かれている場所の温度によっても影響を受けるので『暑い夏には強(4~5)』『寒い冬には弱(1~2)』に設定するだけでも『適正温度を保つ≒電気代を下げる』効果は得られます。
これは昔から言われていることですが、現在の冷蔵庫でも変わりありません。ある程度の空間がないと冷蔵庫内にまんべんなく冷気を送ることができないので冷却効率が下がり、その結果電気代が上がってしまうからです。電気代を気にするのであれば食材の詰めすぎには注意しましょう。
冷蔵庫が『壁から最低○○cm離して設置してください』と表記しているのは放熱スペースを確保するためです。背面はもちろんですが左右もある程度余裕を持たせて設置することで放熱器から発生した熱をスムーズに逃がすことができるので冷却効率が上がります。
放熱しきれず冷蔵庫の周りに熱い空気が残ってしまうことも電気代が上がる要因となるので、電気代を安くしたいのであれば指定された数値以上に余裕を持たせるよう、壁から離して冷蔵庫を設置しましょう。
冷蔵庫に冷たい空気を送る『冷気の吹き出し口(冷風口)』前に物を置きすぎると冷却効率が下がってしまうので、吹き出し口の位置を把握しておきその前を少し空けるようにしてみましょう。
なおPanasonicの一部冷蔵庫などで採用されているトップユニット式など、物を置きにくく塞がれにくい位置に吹き出し口がある場合はそれほど気にする必要はありません。
実際に見れば以下画像のように最上段の天井付近や冷蔵庫奥の送風ダクト側面など塞がれにくい位置に冷気の吹き出し口があるのが確認できると思います。
『50~80℃前後の熱を持った料理を急速冷却でおいしさを保ったまま冷凍する』という機能を持った冷蔵庫も近年では珍しくありませんが、説明書などをよく読むとこの機能を使うことで5~15%程消費電力が上がるのです。
冷蔵庫の電気代を優先するのであれば、従来通り温かい料理は充分冷ましてから冷蔵庫あるいは冷凍庫に入れるようにしましょう。
先にも述べましたが一般家庭(3人家族で大人二人子ども一人を想定)に最適な冷蔵庫のサイズは430~480Lと言われています。
「より大きい冷蔵庫を買って欲しい!」という冷蔵庫メーカーの意向も多少は汲んで(今風に言うと忖度して)いるのでしょうが、ミネラルウォーターなどの飲用水の保存や、冷凍食品などの普及により、10年前に比べれば現在の方が多めの容量が必要となっているのは間違いなく事実でしょう。
ということで今回は『一般的な3人家族向けの400~500Lサイズの中から2021年省エネ基準達成率が100%を超えているもの』を基準に選んでいます。家電量販店によっては在庫品で2016年製の冷蔵庫も買える場合があります。
ここ1~2年でぐっと消費電力の下がったモデルを販売しているメーカーもあるので消費電力を抑えるのが第一の目的であればなるべく新しいモデルの冷蔵庫を買うほうがおすすめです。
型落ちで値引きされた価格分と今後かかる電気代を天秤にかけ、値引き額の方に気持ちが傾くのであれば型落ちモデルを買うのも筆者個人としてはアリだと思いますけれどね。
粉飾決済でシャープ同様白物家電はもちろん一番の稼ぎ頭であるメモリ製造部門も売り払ってしまったため、やや東芝というメーカー自体に不安は残りますが、白物家電も黒物家電(AV機器)も製品自体はシャープより良い製品を作っている(注:筆者の主観です)ので、これからも実直な製品を作っていって欲しいという期待はあります。
冷蔵庫も2段式チルドルームの採用で食材が見えないことによる使い忘れを防ぐようにしたり、名前こそついていないものの切替式冷凍室はゆっくり冷凍と急速冷凍が可能で熱のある物も冷凍できるようになっています。
火傷と容器変形を避けるため『55℃まで』と説明書に書かれており、使用時は三菱同様5~10%ほど消費電力が上がると注意書きがきちんとなされているあたりは信用がおけます。
マジック大容量と言う割にはPanasonicや三菱と比べて野菜室以外の庫内容積は普通ですが、野菜室を真ん中にすえ野菜の格納量、出し入れの使い易さを重視したと思えば充分頑張っていると言えるでしょう。
切れちゃう冷凍とか消費者に分かりやすいキャッチーな名前とか付ける企業努力(アピール)が足りなかったゆえの現在の状況なんでしょうか?でも東芝の冷蔵庫『VEGETA(べジータ)』って名前がドラゴンボール視聴者にしてみれば一番キャッチーだとも思うんですけれどねぇ。
仕様参考:東芝 FWシリーズ仕様一覧
切れちゃう冷凍を使わない場合は切替で普通の冷凍庫として使えるのも特徴の一つです。
『熱いまま瞬冷凍(-7℃)』機能により炊いた直後(80℃まで)のご飯をそのまま入れて冷凍させることができますが、15%ほど消費電力が上がるそうなので電気代を気にするならご飯はやはり冷ましてから冷凍した方が良いようです。
ちなみに切れちゃう冷凍とパーシャルの違いは三菱の公式Q&Aでも説明されていますが、比較するなら氷点下ストッカーDの方ですよね?
仕様参考:三菱 MR-B46C仕様
どちらかというと『加工前の食材を保存する』と言うよりは、『調理済みの料理や使いかけの食材を保存する』のに向いているように思えますね。
三菱の熱いまま瞬冷凍と同じような、炊いた後直後のご飯なども瞬間冷却でおいしさを保てる『デリシャス冷凍』機能など類似機能はおおむね備えています。
デリシャス冷凍が可能な温度や使用時の電力低下の目安が説明書などに記載されていないこと、Panasonicや三菱に比べ各庫内の実容量が少ないのが少し気になります。
冷蔵室側の説明に『温かい物を入れるときは火傷と容器変形を防ぐため50℃以下に冷ましてから』と書いてあるのでいいですね。
仕様参考:日立 XGシリーズ仕様一覧
特筆するような性能は無いけれど万人向けに仕上がっていて目立った欠点もないので、誰にでもお勧めできる冷蔵庫と言えるでしょう。
他社が真似をしないニッチ機能や逆転の発想で需要や使い易さに定評のあるPanasonicですが、この冷蔵庫もトップユニット式を採用しているおかげで一番下にある冷凍室の実容量が他社冷蔵庫より一見で分かるほどに広く、冷蔵室の冷気吹き出し口が塞がれにくくなっているのが特徴です。
Panasonicもシャープのプラズマクラスターに似たような『ナノイー押し』をしていますが、シャープほどナノイーに全てを託している訳ではないようなのが救いです。
鴻海傘下になってからは経営は回復しているようなので、程々に頑張って欲しいと思っています。
あんまり売れすぎるとメリットである『(売れないので)値段が下がりやすい』という点がなくなってしまうところが痛し痒しですね。
仕様参考:SHARP SJ-GT42D仕様
去年のカタログを見る限り、消費電力の点で上記メーカーに大きく劣っていたAQUAの冷蔵庫ですが、最新のモデル(型番の最後がGのもの)は一つ前のモデルより40~50kWhほど下がっており上記メーカーに比べるとまだ一歩劣る物の充分使えるレベルになっていると思います。
AQUAの冷蔵庫は他のジェネリック家電メーカーよりは安定性があること、上記の大手国内メーカーより値段が安いこと、赤系統などあまり他社が扱わないカラーの冷蔵庫もあるので、それらに重きを置くならば充分選択肢になり得るレベルに到達しつつあるのではないかと筆者も思い始めています。
あとは耐久性が上がっていることに期待したいですね。
AQUAといえば値段の安さとシンプルさがウリでしたが、この冷蔵庫を含めいくつかのモデルには旬鮮チルドや旬鮮フリーザーなどの日本メーカー冷蔵庫によくある機能を備え実用性も増してきているので、今後数年でシャープ製冷蔵庫の対抗馬になるのではないかな?と予想しています。
仕様参考:AQUA AQR-SV42G仕様
2011年の東日本大震災以降、各種省エネ家電の普及で一般家庭の消費電力は下がっているのにもかかわらず毎年の電気代は年々上昇しているため、今後のことを考えるのであれば購入から15年を超えるような古い冷蔵庫の場合、エアコン同様買い替えを検討した方が良いと言えるでしょう。
ですが冷蔵庫のように毎日使う家電の場合、使い易さや搭載されている機能を頻繁に使うかどうかも非常に重要になってきます。
冷蔵庫の電気代を左右する『年間消費電力量』の小ささも大切ですが、買い換えの際には家電量販店などで現物の冷蔵庫を一度見てみて『設置サイズ』『各庫内の実容量』『食材の置きやすさ取り出しやすさ』などを十分吟味してから購入することをおすすめします。
他にも気になる家電製品の電気代について解説している記事があるので、気になる記事があった場合はぜひ合わせて読んでみてください。