【シーン別】エアコンの設定温度を徹底検証!省エネにもなる適切な設定温度とは?

この記事を執筆するにあたって

今回は、空調の快適さを定量的に評価できる指標、PMVを使いながら、エアコン設定の快適さを考えます。

Written By kikuchi d

目次

そのエアコン設定、快適ですか?

エアコン 設定 温度

エアコンは、快適な住環境を作る便利な道具ですが、一方で、エネルギー消費による地球温暖化への影響も取りざたされるところです。

そんな理由も有って、エアコンのスイッチを入れるたびに、どこか罪悪感を感じるという人も少なくないかも知れません。

エアコンは、どの位の温度の設定で使うのがベストなのでしょうか。

今回は、快適性とのバランスも取れる、合理的なエアコン温度設定について考えて見ます。

エアコンの温度設定の基準は何?

エアコン 設定 温度

資源エネルギー庁は、エアコンによる冷暖房の設定温度に、省エネの観点から推奨値を公表しています。

引用元:省エネポータルサイト

夏の冷房の設定温度

それによると、夏場、冷房による室温の基準(目安)は『28℃』という事になっています。

外気温31℃の日中に、定格2.2kW(概ね6畳用)のクーラーを、1日9時間使用する場合、設定温度を27℃から28℃にすると、年間で30.24kWh分の節電になるそうです。

ただし注意すべきなのは、資源エネルギー庁が出しているこの温度設定の基準は、『室温』であって、エアコン設定温度の基準ではない点です。

冷房時、室温を28℃にするエアコンの設定は、それより1℃程度は低く考えても良いかも知れません。

また、何故28℃なのか?、という点については科学的な論拠が少ない、という主張が有る事も事実です。

冬の暖房の設定温度

資源エネルギー庁によると、冬の暖房時、室温は20℃を目安にしましょう、という事になっています。

外気温度6℃の時に、冷房と同じエアコンを同じ使用時間とすると、設定温度を21℃から20℃に下げる事で、年間53.08kWhの節電になるそうです。

ドライの設定温度

端的に言って、エアコンの『ドライ(除湿)』モードは、冷房の一種という事になります。

例えば、氷をたくさん入れたガラスコップの表面に、びっしり結露が付く現象がありますが、あれを冷房の機能を使い再現し、空気中の湿度を集めるのが、ドライ機能です。

という事で、温度が設定できるドライモードが備わったエアコンであれば、(外気温度が高いのであれば)設定温度は28℃にする事が推奨されている、と考えても良いでしょう。

ドライの場合の注意点

エアコンのドライモードは、冷房の動作を少し変えて除湿をするもので、その目的は、室温を下げずに湿度だけを取り除く事です。

その動作モードには、大まかに言うと以下の2通りがあります。

  • 弱冷房式:冷房能力を低く抑えて、室温を下げ過ぎずに除湿をする
  • 再熱式:除湿と同時に空気を加熱して、室温を下がりにくくする。

ここで注意すべきなのは、弱冷房式の場合、室温より高く温度を設定すると、除湿機能がほとんど効かない場合がある事です。これは、設定温度が低いので、エアコンの冷房機能が動くチャンスが無く、したがって除湿も行われなくなるからです。

また、再熱式の場合は加熱エネルギーが余計に必要なので、設定温度を高くすると電力消費が増える事も考えられます。

空調の快適さとは?

エアコン 設定 温度

エアコンの設定温度を考える時、室内の快適さについても、しっかり考える必要があるでしょう。

事務所の場合、『労働安全衛生法における事業所衛生規則』というものがあり、空調環境が規定されています。

不快指数で考えると

上記の規則によると、事業者は『室の気温が17℃以上28℃以下及び相対湿度が40%以上70%以下』になる様、務める義務があります。

ちなみに、この上限28℃が、省エネ冷房のための目安温度に採用されたという事です。

ただ、この規定をそのまま鵜呑みにし、上限の室温と湿度に設定された場合、不快指数は78.4%となり、『暑くて汗が出る』環境のぎりぎり一歩手前となります。

引用元:不快指数 - 高精度計算サイト

もう1つの快適指標PMV

不快指数は温度と湿度だけで簡単に求まり、日本の天気予報でも良く聞くワードで馴染みが深いものです。

しかし、空調の快適さを考慮するにはやや大ざっぱな所があります。

もうちょっと詳しく空調環境を評価する指標に、『PMV』というものがあります。これは、国際標準化機構によって国際規格(ISO7730)に採択されている評価方法です。

PMVでは、『気温』『湿度』に加えて、『気流』、周囲から受ける『放射温度』『活動量』『着衣量』の6つのパラメータを使い、人が感じる快適・不快さを算出できることになっています。

例として、以下の様なパラメータでPMVを試算してみます。

  • 温度28℃
  • 湿度70%
  • 気流0.5m/s(扇風機の弱の1/2程度)
  • 放射温度30度
  • 活動量、通常の事務作業
  • 着衣、シャツとズボン

この場合のPMVは0.958という数値になり、これは2割強の人が不快に感じる環境です。

PMVを試算すると、温度や湿度が同じでも、気流などがあれば、不快感はかなり軽減される事も示されます。

引用元:快適性評価PMVPMV(Predicted Mean Vote)の計算

夏のエアコンの設定温度【冷房】

エアコン 設定 温度

ここでは、エアコンによる冷房設定温度を、快適さや健康への影響を基にして考えて見ます。

寝起き〜朝どきの設定温度

寝起きは、体の代謝も高まっていないので、冷房の需要はさほど高くないと考えられます。省エネを考るのであれば、国の言う目安より少し高めの、28℃~29℃にエアコンを設定するのも良いでしょう。

実際、東京における8月の最低気温を調べると、平年値が24.0℃という事になっています。また、首都圏の住宅で、6:00から11:50 の時間帯でのリビングの平均気温は27.9℃だという、東京都市大学環境情報学部の調査結果などもあります。

こういった数字をそのまま取り上げられたら、資源エネルギー庁からは「エアコンを切ってしのいでください」と言われてしまいそうです。

しかし現実には、もっと暑苦しいと感じている人が多いでしょう。

室温と周囲からの放射温度が供に29.0℃、湿度60%でも、扇風機の風がしっかり当たる環境であれば、上記のPMVは0.3程度の『快適』レベルを実現できます。

日中の設定温度

真夏の日中、室温を省エネ上の基準である28℃に維持するためには、おおむねエアコンは27℃~28℃の設定になるでしょう。

もちろん、シチュエーションにもよりますが、この場合も扇風機を上手く使う事で、快適さをかなり改善できます。

もう1つ、冷房で気を付けなければならないのは、外気との温度差です。

屋外と屋内の間で頻繁に出入りする人の場合、温度差が大きすぎると、いわゆる冷房病の原因になると言われています。

この面を考えると、最大でも、室内外の気温差は6℃程度に抑える様、エアコンを設定すると良いでしょう。

夜〜就寝の設定温度

夏場、就寝時のエアコン使用は、眠りの質を向上させる事に加え、熱中症の予防にもなり得ます。したがって、暑くて不快な場合は、適宜エアコンを使用する事にも意味があります。

快適な就寝中の室温については、1つの目安として、東京都市大学環境情報学部による調査分析も参考になります。

これによると、夏場の冷房をかけた時に最も快適に眠れる室温は27.4℃との結果が出ています。

これを基に考えると、夜〜就寝にかけてのエアコン設定温度は、26℃もしくは27℃にするのが、就寝時も含めた快適さの目安と言えそうです。

冬のエアコンの設定温度【暖房】

エアコン 設定 温度

寒い季節のエアコン設定温度はどうでしょうか。

寝起き〜朝どきの設定温度

冬場は、夏場に比べて室内外の気温差が大きくなります。

2017年の東京で、1月の最低気温は-2.3℃を記録、日の平均でも5.8℃という事で、日本の冬は想像するより寒いと言えそうです。

室内外の温度差が大きい場合、注意するべき1つのポイントが、健康面への影響です。人が10℃以上の温度差がある場所を移動する事は、血圧を高くし、心筋梗塞などの引き金になると言われています。

と言う訳で、寝起きから朝にかけてのエアコン設定温度は、省エネ基準よりやや低めにする事にも、一定の意味があると言えそうです。

室温を18℃にするようエアコンを調節するとして、PMVの値を計算してみましょう。

着衣をジャケット&ズボン(と同等)として、事務作業程度の活動を想定すると、湿度が40%しかない場合でもPMVは-0.802(やや寒い)となり、おおむね18%の人間が不快に感じる程度となります。

日中の設定温度

暖房時のエアコン設定温度について、省エネ上の目安は20℃という事になっています。

しかし日中は、様々な用事があり活動量が増える事を考えると、もう少し低い室温でも快適性が確保できます。

仮に気温と放射温度が共に19.0℃でも、事務作業より少し負荷のある仕事をしていれば(ジャケット&ズボン着用)、湿度50%でもPMV値を0.152程度に確保できます。

これは、5%程度の人しか不快感を感じないとされる値です。

夜〜就寝の設定温度

一般に、夜は活動量が減るので日中より寒さを感じやすくなると考えられますが、就寝中は布団によって体温が維持されます。

東京都市大学環境情報学部の調査分析では、冬場、就寝前の快適な室温は21.8℃、就寝後は21.6℃という結果も出ていますが、もう少し低く設定する事も可能でしょう。

夜起きている間は、室温が19℃から20℃となるようエアコン設定を調整し、寝る前に18℃以下の設定に変える事で、省エネにも貢献できるはずです。

エアコンの設定温度【ドライ(除湿)】

エアコン 設定 温度

ドライは基本的に冷房の一種ですが、エアコンの機種によると湿度を設定できるものもあり、工夫しながら空調する事も可能です。

寝起き〜朝どきの設定温度

2017年の東京において、8月平均湿度は83%でした。

室温と平均放射温度が共に29℃、着衣は半そで半ズボン程度、気流は0.1m/Sとして、湿度80%のPMVを試算すると1.343となり4割強の人が不快に思う環境です。

湿度のみ50%に抑えた時のPMV試算値は、1.075となり3割弱の人が不快に思うレベルへ改善できます。

日中の設定温度

活動量が増え、気温も上がる日中は、冷房に対する要求も高くなります。

そして、そんな時間帯こそ、エアコンのドライ機能を活用したい所でしょう。湿度を下げるとどの程度快適性が増すか、冷房時省エネの目安である28℃で、上記と同じ様に試算してみます。

結果としては、湿度80%で0.977(2.5割の人が不快)、湿度50%で0.725(1.6割弱の人が不快)というPMV値になりました。

夜〜就寝の設定温度

就寝にかけての夜の時間帯は、省エネなどを考えて、エアコンを弱めの設定にしたい人も多いと思います。

実は、PMVの値は、湿度より気流によって改善するので、ドライと扇風機を組み合わせるのも効果的です。

室温29℃、湿度50%で、気流が0.3m/S(扇風機が弱の時の半分より少し弱い程度)になるとPMVは0.351となり、8%弱の人が不快に思うレベルにとどまります。

まとめ

エアコン 設定 温度

省エネを目的に、資源エネルギー庁が推奨する、夏は28℃冬は20℃という室温は、快適さをある程度犠牲にしています。

部屋の快適さを想定する時、便利なのが国際標準となっているPMVの算出です。

PMVは、温度・湿度だけでなく、着衣や活動量、そして風量なども考慮して、室内環境の指標を与えてくれます。

みなさんも、家庭やオフィスでエアコンの設定温度を決める際、PMVの様な定量的な評価方法を活用して、省エネにも配慮しつつ、皆が納得できる環境を見つけてください。

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この記事を書いた人

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kikuchi d
実は深くて広い(?)家電の世界を探求しましょう!
家電やAV機器の中身や仕組みなども、できるだけ明確に解説できたら良いなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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