第一級陸上無線技術士の免許を持っており、電気や信号などの知識が有ります
Written By kikuchi d
最近は、モバイルデバイスを使って音楽を聴く事が普及してきたので、必然的にイヤホンを使う事が多くなったはずです。
広いユーザー層に使われるようになったと言う事は、イヤホンにもさらなる高音質が求められる時代になった、とも言えそうです。
イヤホンメーカーは、それぞれに技術を競って高音質の製品をリリースしていますが、種類が豊富だと選択に困ってしまう人もいるでしょう。
今回は、高音質のイヤホンについて、技術的ポイントをふまえつつ解説しおすすめの高音質イヤホンもご紹介します。
それでは、ここでiPhoneにおすすめの高音質イヤホンをご紹介して行きましょう。
iPhone7以降の機種では従来の差し込みソケットがないので、イヤホンもApple独自の接続ポートであるLightningに対応していなければなりません。
ラディウス株式会社が販売するHP-NHL11Rは、Lightning接続の正規認証を受けているイヤホンであり、そのため安心してiPhoneに接続できます。
同社は、日本オーディオ協会の会員でもあり、音響技術の分野に真面目に取り組んでいる企業と言えます。
このHP-NHL11Rは、最大24bit、サンプリング周波数は48kHzという、高音質に必要なデータ量を再生する事が可能です。
構造的には、音響信号が電流として流れるボイスコイル周辺の磁力(磁束密度)を効率よく使い、音楽の低音域から高音域まできめ細やかな再現力を持たせています。
参考:メーカー公式ページ
パイオニアのLightning接続専用イヤホン、SE-LTC5R-Tは、iPhoneとの連携で音楽シーンを快適に楽しむための機能が備わっています。
その1つが、スマートノイズキャンセリング。使用者の耳の特性などに合わせて、ノイズキャンセルの調整ができる機能がこれです。
また、使用者がイヤホンを外すと、その瞬間音楽が自動で停止するオートポーズなども備わっています。
これらの機能は、すべてアプリで設定が可能で、自分の好みにイヤホンを動作させたい人には、おすすめの製品となっています。
参考:メーカー公式ページ
android端末にも、おすすめのイヤホンがいくつか有ります。
ソニーが製造販売するイヤホンIER-H500Aは、ハイレゾロゴ認証を受けた、おすすめの高音質イヤホンです。
この機種には、音を発生する振動版の駆動システムに、マグネットを外側に配置する外磁型を採用し感度を高めていて、鮮やかな高音質を楽しめるものとなっています。
イヤホン本体の材質にも、樹脂ではなくアルミを使って、余計な振動など音質を阻害する要素を少なく抑えているのも特徴です。
また、ケーブルには銀めっきを施した芯線を採用しているのも、音質への拘りの表れと言えます。
参考:メーカー公式ページ
ゼンハイザーが製造販売する、IE 800は、高音質再生に拘り抜いた高級イヤホンの代表選手と言える製品でしょう。
多くの従来型高音質イヤホンは、音響の広い周波数帯域を再生するために、振動板を動かすドライバを分割し、別々の帯域を受け持たせています。
ゼンハイザーは、このドライバーを単体にする事に成功(XWB技術)。これによって、分割された帯域ごとの細かなズレがなくなり、より繊細な音楽を楽しめるようになっています。
高音質化の技術としては、他に使用者の耳内部で発生する邪魔な共鳴を吸収する、D2CAというものも採用されています。これによって、音楽の繊細な部分が共鳴などにより覆い隠される事を防いでいる訳です。
参考:メーカー公式ページ
ゲーム機にイヤホンを使う場合は、音楽を聴く時と違う要素が求められるのではないでしょうか。
ここでは、アクションゲームその他の迫力をそのまま再現できるイヤホンをご紹介してみます。
エレコムのハイレゾ対応イヤホン、EHP-GB1000MWHは、高音質にプラスして重低音の再現性にこだわった製品であり、アクションゲームの迫力を感じたい人におすすめです。
音を発生する振動版には3重構造を採用し、それを駆動するドライバには磁力の強いネオジムマグネットを使っています。また、ドライバの前後に通気口を設けた構造も、重低音の再生にひと役かっています。
もちろん、そういった技術は、重低音から高音までのびのある高音質を再現するハイレゾ性能を、このイヤホンに与えています。
参考:メーカー公式ページ
DUALSのDU9239は、個性的な手法で重低音再生を実現した、高音質イヤホンです。
それを実現したのが、3Dフーファーと呼ばれる骨伝導を使った技術。これは、内臓した2基のダイナミック型ドライバーなどにより、ウーファーの振動を生み出すというものです。
その振動は、骨や皮膚などに音響を伝えるので、従来のものより鼓膜への負担を軽くしています。その上で、雄大な低音が楽しめるというのが、この製品のおすすめポイントとなっています。
ワイヤレスイヤホンの場合は、Bluetooth接続が必須となりますので、高音質を楽しむためには、上記のように通信方式がハイレゾに対応している事が大切です。
そんな中でおすすめのイヤホンは、以下の2機種です。
エレコムのLBT-HPC1000は、LDAC、aptX、さらにその上位規格であるaptXHDにも対応しており、高音質再生のための設計がなされている、おすすめのイヤホンです。
イヤホン本体の構造としては、無駄な変形などをしない高剛性振動板の採用や、振動版の前(耳よりの位置)にマグネットを配置する工夫などがされていて、効率の良い音の伝わりを実現しています。
また、イヤホン全体を支えるハウジングは真鍮製で、異常な振動などを起こしにくいものとなっているのも、音質向上に貢献しています。
参考:メーカー公式ページ
オーディオテクニカのワイヤレスイヤホンATH-DSR5BTは、Bluetoothからのデータを極力ダイレクトに音響へ変換する技術を搭載したイヤホンです。
この製品は、通信から送られてくる音響データをイヤホンの振動版まで直接伝えています。デジタルデータと音響(空気の振動)の返還は、ドライバと振動版によりダイレクトに行われます。
これによって、無駄な情報のロスが少ないピュアな高音質を実現している訳です。
また、音波を発生する振動版をイヤホン内部で前後2つに分け、ひずみなどの少ない音響を再現している点も、個性的です。
このイヤホンは、様々な新技術や工夫が活かされており、Bluetooth機器に高音質を求めるユーザーには、おすすめと言えるのがこの製品でしょう。
参考:メーカー公式ページ
オーディオ機器の音質は、聴く人の好みや心理状態によって評価がかなり変わるものです。技術的な側面から見ると、メーカーは、そういった印象だけを押し出す事で、高音質を訴求する訳にも行きません。
ここではまず、イヤホンが高音質である事を示す、技術的な要素について簡単に解説します。
イヤホンには、ハイレゾロゴが表示されているものと、されていないものがあります。
このロゴは、該当するイヤホンを定められた方法で測定を行い、そのデータがハイレゾに適するものである時だけ、日本オーディオ協会が、認証・付与するものです。
具体的には、イヤホンが40kHz以上の周波数を音として再生できる事が、ハイレゾである事のポイントとなっています。
これは、Bluetoothを使うワイヤレスイヤホンを選ぶ際のポイントです。
元々、Bluetoothは高音質のオーディオデータを伝送するには、最適とは言えない通信方式でした。aptXは、そういった技術的問題を解決する、新しい通信方式です。
Bluetooth必須のコーデックであるSBCが高音質データを通信しにくい、大きな理由の1つが、ビットプール(Bitpool)というものによる影響です。
ビットプールは、音響信号の周波数をいくつかの帯域に分割して、それぞれに通信データ量を割り振るという通信方式。問題なのは、そのデータ量が機器ごとに個別設定となっている点です。
それぞれの機器は、Bluetooth接続する際に相手の設定を確認しあい、データ量の少ない方の設定を通信に使うようにします。
つまり、高音質(つまり大量の)の音響データを伝送しきれない帯域が頻繁に発生する訳です。
aptXは、このビットプールは使用しないで、音響の全帯域を均等にに処理します。
また、通信の際に行うデータの圧縮も、過去に伝送したデータとの差分だけを通信するADPCMを基本とした技術を使い、SBCに比較すると音響の再現性を飛躍的に向上させたものとなっています。
LDACはソニーが開発した、Bluetooth通信のオーディオ機器を高音質化する技術です。
これは、上記のaptX同様に音響データの周波数帯域やデータ量(ビット数)を落とさずに、Bluetooth通信させるものとなっています。
SBCコーデックは、ハイレゾ音響データであっても、通常のCDレベルのクオリティまで変換し、さらにビットプールの影響などで伝送しきれない情報は削除(つまりデータを圧縮)して通信します。
こういった、高音質には邪魔となる要素をなくし、従来のBluetoothオーディオに比べ、約3倍の音響データを伝送できるようにしたのが、このLDACという事です。
最近では、イヤホンでも低音から高音までクオリティの高い音質が楽しめるものが増えてきました。
とはいえ、本当に高音質を出す製品なのかどうかは、購入前に一度検討する必要が有るでしょう。
みなさんも、ここでご紹介した事などを参考に、好みに合った高音質イヤホンを選んで、音楽ライフをより楽しんでください。