ゼンハイザーのヘッドホンを2本持っていますが、どれも納得のいく素晴らしい音を鳴らしてくれます。 ゼンハイザーの音造りは個人的に好きなので、イヤホンも近いうちに所有してみたいです。
Written By あずま ようへい
おそらく、一般の方は「ゼンハイザー」という名前には聞き覚えがないかと思います。筆者自身、オーディオの世界を知るまでは聞いたこともなく、何このちょっと強そうな名前の会社は?と、何をしてるメーカーなのか全く知りませんでした。
ヘッドホンやイヤホンを作っている会社といえばソニーやオーディオテクニカ、BOSEくらいしか当時は知らず、少し音楽にこだわる人はそこにbeatsが加わる感じでしょうか…?平たく言えば、オーディオに興味がない方にとっては(個人的に)マイナーな会社と言えます。
しかし、ゼンハイザーは音楽関係者や音楽好きな方、オーディオマニアの間では知らない人はいないと言ってもいい程の知名度を誇るメーカーです。
その実力も知名度に劣らぬ非常に高い水準にあり、過去何度も歴史に残る名機を生み出してきた事でも知られています。特に、世界で初めて開放型のユニットを採用したヘッドホンHD414は当時としてはかなり衝撃をもって受け入れられたようで、以来ゼンハイザーは常に開放型ヘッドホンの最先端を歩み続けています。
時代へ「革新」を与え続ける「パーフェクト・サウンド」 ゼンハイザージャパン
開放型ヘッドホン以外にもゼンハイザーは密閉型ヘッドホンやスタジオマイクの分野で名機ともいえる製品をいくつも生み出しており、それゆえに世界中の音楽好きの間から熱い支持を得続けています。
本記事では、そんなゼンハイザーの製品群の中から特に外せないヘッドホンをいくつか紹介していきます。
独特の色合いから、オーディオマニアの間では「プリン」「プリンちゃん」といった愛称で親しまれているヘッドホンです。HD598はゼンハイザーの開放型ヘッドホンの中ではミドルクラスの立ち位置にあるモデルで、価格と性能のバランスが非常に優秀な事から高音質ヘッドホン入門用としてまさにうってつけであり、癖のない自然な音作りは一部でヘッドホン選びに迷ったらとりあえずHD598を選ぶと良い、とまで言われています。
インピーダンスも比較的低めでスマホやDAP直挿しでも音量を取れるため、アンプなどの周辺機材を用意しなくても使える点も素晴らしいです。まさに入門用としてはこの上ないおすすめのヘッドホンの一つと言えます。
なお、HD598はHD599が後継機種として発売されているため現在ディスコンとなっています。
2004年に発売されて以降10年以上に渡り高い支持を得続けているゼンハイザーを代表するヘッドホンです。HD650はオーディオマニアの間からハイエンドヘッドホンの基準、定番とも呼ばれるほどの信頼を持たれており、ヘッドホンの一つの到達点とさえ言われています。音質は低音が少し多めですが広域にわたって非常にクオリティが高く、「濃厚」とも「芳醇」とも呼ばれる中高音は特にオーケストラなどをゆったり聞くようなシチュエーションで真価を発揮するとされています。しかし他のジャンルの音楽もハイクオリティで鳴らしてくれるため汎用性もあり、HD598からのステップアップに最適です。
ハイエンド入門として最もおすすめできる機種の一つです。
ただHD650はインピーダンスが高く(300Ω)、しっかり再生するにはアンプが必要になってきます。
すでに再生環境が整っていてアンプやDACといった機器がある方は問題ないのですが、オーディオ趣味を始めて最初に買うヘッドホンとしては初期投資が大きくなりがちで、少し敷居が高いと言えます。
HD650も、HD598同様に後継機種が発表されており、ディスコンになってしまいました…
近いうちに在庫も無くなってしまうと思われるので、HD650の音を聞きたい方は早めに入手しておくことをオススメします。
上記にあるゼンハイザーHD650の後継機種に当たるのがこの、HD660Sです。2017年に発売された最新モデルですが、外見性能ともにHD650に非常に近いものとなっており、音造りに微妙な違いはあるものの明確な差はなく、よほどHD650の音が好きな方でなければこのヘッドホンでも十分に音楽を楽しめます。音質としてはHD650の濃密なサウンドが少しあっさりした代わりに解像度が若干上がったと言われており、HD650から下げられたインピーダンスと相まってDAPでの使用も可能な現代的な音質だとされています。
ただ、このクラスのヘッドホンとなるとHD650同様できればアンプを通して最適化させた方が性能をより発揮できます。
HD800は2009年に発売されたゼンハイザーのフラッグシップモデルです。
開発に10年という長い期間をかけて生み出されたHD800はゼンハイザー最高の開放型ヘッドホンにふさわしい圧倒的なサウンドを特長としており、特にヘッドホンとは思えないような広大な音場はまるでヘッドホンというよりスピーカーに近いとさえ言われています。あまりにも非常に性能が高いゆえに音源の粗も容赦なく再生してしまうため、音楽を再生する環境によってはむしろ不快に感じるという人もいるようで、再生環境も整えないといけない点で非常に敷居が高いと言わざるを得ません。そういった面では気軽に手が出せないモデルと言えそうです。
長らくゼンハイザーのフラッグシップとして君臨していたHD800ですが、さらに上位機種としてHD800SとHD820が登場したため現在は最上位モデルの座を譲りました。
フラッグシップモデルHD800と有名なHD650には価格と音質面で大きな開きがあったため、その間を埋める目的で開発されたのがHD700です。
HD800で培われたノウハウを反映させることで高いクオリティを持つ音の再生に成功しており、見た目もHD800との関係を強くうかがわせます。音の性質はHD800よりもHD650に近いと言われており、性能も十分に高いのですが、HD800とHD650の存在があまりにも大きいためかいまいち話題にならない少しかわいそうなヘッドホンでもあります。
ゼンハイザーのヘッドホンを紹介するうえで欠かせないモデルがもう一つあります。それがこのHD25です。
HD25は今から25年以上前に発売されてから現在に至るまでほとんど姿を変えていないのにもかかわらず高い支持を維持し続けている伝説的なヘッドホンです。元々業務用に作られたHD25は耐久性を重視した質実剛健な作りが特徴で、見た目はシンプルでかなり安っぽいのですがそれゆえとても頑丈で、少々ラフに扱ったくらいでは故障するそぶりすら感じさせないほどです。またパーツの大部分が交換可能になっており、万一劣化したり故障した場合でも交換することにより性能を維持できます。
上記の面もHD25の特徴ですが、最大の特徴は独特な音質にあります。HD25はゼンハイザーの中ではかなり独特な音造りをしており、豊富かつ反応のいい低域はロックやダンスミュージックと非常に相性が良く、合う人にはとことん気持ちのいいサウンドとなっています。インピーダンスも低く、携帯用におすすめなヘッドホンです。
ゼンハイザーを代表するヘッドホンHD650の前身にあたるモデルです。発売は1997年と今から20年以上も前ですが、現在も販売され続けている息の長いモデルです。20年以上も発売され続けているだけに音質面のクオリティはとても高く、特に海外においてスタジオモニターなどの業務用途で愛され続けているようです。モニターヘッドホンで使用されるだけあって非常にフラットで、忠実に音源を再生するようです。
評価の高いHD600シリーズの始まりの機種という点で、紹介せずにはいられないヘッドホンです。
HD599はプリンのような色合いで有名なHD598の後継機種に当たるモデルです。高音質ヘッドホン入門用として高い評価を得ているHD598ですが、もう一つ大きな特徴がありました。それは装着感の良さです。
ゼンハイザーは音質面では素晴らしいモデルがたくさんあるのですが(HD650やHD25など)、装着感の良さではHD598が特に優秀で、頭をやさしく覆うようなHD598の間隔は以前より高い評価を受けていました。後継機種のHD599にもその長所は受け継がれています。
HD598と入れ替わりで登場したHD599は、ミドルクラス入門におすすめです。
結論から言うと、かなりおすすめできます。
ゼンハイザーのヘッドホンは値段と音質のバランスが良く、比較的低価格なモデルでもその価格帯の基準とも呼べるような高品質なヘッドホンを複数揃えています。中でもHD598とHD650は長い期間にわたって高い評価を受け続けているヘッドホンの基準とも呼べるまでのクオリティを誇っており、ヘッドホンを選ぶ際には常に比較対象に入るほどです。
ゼンハイザーのヘッドホンは全体的に万人受けしやすい音造りをしていますが、HD25など一部のヘッドホンはかなり独特な音質で、一筋縄ではいかないのも魅力的です。
また1万円以下の手ごろなモデルから10万円を遥かに超える高級機種までまんべんなく揃った幅広いラインナップは、ヘッドホン選びにおいて選択肢を広げてくれます。
そういった点で、試しにヘッドホンを買ってみる層からマニア向けの高音質ヘッドホンを求める層まで対応できるゼンハイザーはかなりありがたいメーカーとなっています。
ゼンハイザーはヘッドホン選びにおいて定番とさえ呼べるヘッドホンをいくつも出してきたメーカーとしてとても著名であり、音質面でのクオリティはかなり高いと言えます。文句なしにおすすめできるヘッドホンメーカーと言えます。
ヘッドホンを選ぶときは実際に試聴するのが一番なのですが、その際はぜひゼンハイザーの製品を試してみてはどうでしょうか?