スピーカーのネットワークを作ってみよう!気になる作り方は?

目次

スピーカーのネットワークを作ってみよう

みなさんこんにちわ。
ここでは「スピーカーネットワーク」について書いてみたいと思います。

スピーカーネットワークと聞くと、最近はやりのBlue toothで複数のスピーカーを鳴らすこと?などと思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかしこれから紹介するものは、そういうコンピューターチックなものではありません。
いくつかの単純な電子部品を組合わせて、オーディオシステムの音をもっと良くしちゃおうというものなのです。

予算がそれほどかからず、難しい専門知識も不要。部品をいろいろ取り換えて音を細かく調整していくDIY的な楽しみもあります。

カーオーディオにも利用できるのですよ。

ではさっそく「スピーカーネットワーク」とはどんな仕組みで、どうやって作るのか見ていきましょう。

スピーカーのネットワークを作ろう!スピーカーのネットワークって何?

オーディオシステムのスピーカーはちょっとしたシステムだと、低域を担当する直径が大きいウーファーと、径が小さい高域担当のツイーターという2つのスピーカーが付いています。2 Wayシステムと呼ばれますね。

大きいエンクロージャーを持つスピーカーシステムだと、もうひとつ中域担当のミッドレンジスピーカーを備えたものもあります。3 Wayシステムです。

カーオーディオの場合でも、ドアパネルには低域担当のウーファーが、フロントピラーに高域担当のツイーターが取り付けられている車が多くなってきました。

こうしたスピーカーシステムの場合、スピーカーネットワークという電子回路が、アンプから流れてくる信号を低域と高域に分けて、それぞれの音域に適したスピーカーに振り分けているのです。

信号の整流器みたいなものですね。ちなみにひとつのスピーカーで全ての帯域をまかなうフルレンジのシステムでは、このようなネットワークは必要ありません。

スピーカーネットワークの仕組み

スピーカーネットワークは、これを駆動させるために電源を必要としないことから、パッシブ(受動的)ネットワークとも呼ばれます。

コンデンサーとコイルの電気的特性を利用して、アンプから流れてくる信号を特定の周波数帯域でフィルターする仕組みです。

コンデンサーの容量と、コイルのインダクタ(抵抗値)を様々に変えることで、フィルターする周波数帯域を調節できるわけですね。

コンデンサの特性

コンデンサーは2枚の電極版の間に絶縁物質(誘導体)を挟んだ構造になっています。充電と放電を繰り返すという特性があり、また直流を通さなかったりと、面白い性質を持つ電子部品です。

まずコンデンサーに直流を通すとコップに水を満たすように電気が溜まっていきます。しかしすぐ満タンになってもう流れなくなります。電流0(ゼロ)電圧は最大の状態です。この状態でコンデンサーの電極をショートさせると一瞬で放電します。この原理はカメラのストロボに使われていますね。

ではコンデンサーに交流が流れるとどうなるでしょう。交流は電気の流れる方向が常に切り替わっていますので、コンデンサーは充電と放電を繰り返します。コップに水を満たしてはひっくり返して空にすることが繰り返されるわけです。

従って周波数が高いほど繰り返しの回数が増えて、電気がよく流れます。すなわち抵抗値が下がります。一方、周波数が低くなると抵抗値が上がります。

この特性を利用して、コンデンサーをスピーカーに直列につなぐと、周波数の低い信号をさえぎって、高い周波数の信号を良く通すフィルターになります。これをハイパスフィルターと言います。

コンデンサーが電気をためることができる容量は、F(ファラッド)という単位であらわされます。ためることができる容量は大変小さいので、通常使われるコンデンサーの単位はμF(マイクロファラッド:μは百万分の1)であらわします。

コンデンサーの容量は誘導体を挟んでいる電極の面積が大きいほど増えます。部品を小型化するために、金属フォイルで薄い誘導体を挟んでサンドイッチ状にしたものを、くるくると巻いて円筒状にしてあります。

誘導体にプラスチックフィルムを使ったものをフィルムコンデンサー、ポリプロピレンを使ったものをポリプロピレンコンデンサーといい、スピーカーネットワークに適しています。

トランジスタラジオなどによく使われている電解コンデンサーは、スピーカーネットワークにはあまり向いていません。

コイルの特性

コイルはエナメルで絶縁した銅線をぐるぐると巻いたもので、電流を通すと磁力が発生し電気を蓄えます。コンデンサーが静電気によって電気を蓄えるのに対し、コイルは磁力によって電気を蓄える仕組みです。

鉄芯があるコイルのほうがより強い磁力を持ちます。また巻き数が多いほど強い磁力を発生します。

コイルには「インダクタンス特性」というものがあって、流れる方向が変わらない直流では抵抗が少なく、常に流れ方向が変わる交流では高い抵抗値を示します。

この特性を利用して、コイルをスピーカーに直列につなぐと、低域の音声信号をよく通過させ、高域の信号はさえぎるローパスフィルターとして機能します。

インダクタンスの単位は、H(ヘンリー)であらわされます。スピーカーネットワークに使われるコイルは、mH(ミリヘンリー)単位のものが使われます。

クロスオーバーネットワーク

ここまでの説明で皆さん、もうお分かりになったのではないかと思います。

2Wayスピーカーシステムの高域を担当するツイーターには、コンデンサーを使ったハイパスフィルターをつなぎます。

そうすることで、ツイーターの再生能力を超えた低音信号が入るのを防ぎます。音がスッキリしますし、ツイーターが焼きつくのを防止します。

スピーカー 仕組み

低域担当のウーファーには、コイルを使ったローパスフィルターを使います。
シンプルな構成では、ウーファー側はネットワークを付けない「スルー」とし、ツイーター側だけハイパスフィルターを通しても良い結果が得られます。

スピーカー 仕組み

ハイパスフィルターとローパスフィルターの組み合わせをクロスオーバーネットワークと言います。低域と高域をクロスさせるポイントをどこに持ってくるか、それによって音の印象が変わってきます。

スピーカー 仕組み

スロープ特性を変えてみる

クロスポイントを境として信号が減衰し、グラフ線が降下していくのがわかると思います。この減衰の傾斜度合いをスロープ特性と言います。

1オクターブの間に6dB減衰するスロープ特性の場合、6dB/octのフィルターと呼びます。
比較的ゆるやかなスロープ特性で、雑味がない自然な音になります。
スピーカーに直列でコンデンサーやコイルを一素子だけ入れた場合は、6dB/octのフィルターになります。

スピーカー 仕組み

1オクターブの間で12db減衰するスロープ特性を持つ12dB/octのフィルターは、下の図にあるように、コンデンサーやコイルを並列に追加し、信号をバイパスさせます。

スロープが急峻となって中域のクロス部分が少なるため、ボーカルがスッキリと聞こえるフィルターになります。市販されているスピーカーユニットのほとんどが、12dB/octを採用しているとされています。

スピーカー 仕組み

どこにクロスポイントを持ってくる?

どの周波数でクロスさせるかは、ツイーターのF0値、すなわち再生可能な最低周波数が重要になります。ツイーターのF0値より下にクロスポイントを持ってきたのでは、ウーファー側と交差しません。中域の音がすっぽり抜けてしまいます。(ミッドレンジのスピーカーを追加して3Wayにする解決策もあります)

エモーション社によるパッシブネットワークの作り方を参照すると、-6dBの減衰率ではツイーターF0値の3オクターブ以上、-12dBでは2オクターブ以上、-18dBでは1オクターブ以上のところに、クロスポイントを持ってくるのが良いとされています。

スピーカー ネットワーク

上図の例では、ツイーターのF0値が900Hzだったとして、-12dBの減衰率にする場合クロスポイントは4kHz、-6dBでは6kHzに設定するのが、とりあえず良いかと思います。

スピーカーのネットワークは初心者でも作れるの?

簡単な回路の為初心者でも作れる

これまで見てきたようにスピーカーネットワークの回路はとてもシンプルなので、初心者でも簡単に作れます。

ミニマム構成では、アンプとスピーカー間に直列でコンデンサーやコイルを入れるだけなので、基板も要らないくらいです。

とはいえ、容量が違うコンデンサーを付け替えては、音を聴きながら調節したいですし、アンプやスピーカーからの線を差し込む接続端子もあると便利なので、自作用のプリント基板か、配線ターミナルがあったほうが作業しやすいと思います。

コンデンサー容量とコイルのインダクタンス値を求める

回路に挿入するコンデンサーの容量とコイルのインダクタンスは、計算によって求められます。ここでは、エモーション社のパッシブネットワークの作り方を参照しました。

スロープ特性によって計算式で使うパラメータが異なります。
-6dB/octでは次のようになります。

スピーカー 仕組み

仮にスピーカーのインピーダンスが4Ωだった場合、クロスオーバー周波数を6kHzに設定したとして、コンデンサーとコイルは次の値になります。

C1 = 159000 / (4 × 6000) = 6.63μF
L1 = (159.2 × 4) / 6000 = 0.11 mH

次に、-12dB/octの場合を見てみましょう。回路図と計算式は以下のようになります。

スピーカー 仕組み

スピーカー 仕組み

スピーカーのインピーダンスが4Ω、クロスオーバー周波数を4kHzに設定したとして、コンデンサーとコイルは次の値です。

C1 = 112500 / (4 × 4000) = 7.03μF
L1 = (225 × 4) / 4000 = 0.23 mH

最後に-18dB/octの回路図と計算式です。
スピーカーに直列で、コンデンサーやコイルを2段で入れます。

スピーカー 仕組み

スピーカーのインピーダンスは4Ω、クロスオーバー周波数を2kHzにして値を求めると次のようになります。

C1 = 106100 / (4 × 2000) = 13.3 μF
C2 = 318300 / (4 × 2000) = 39.8 μF
C3 = 212200 / (4 × 2000) = 26.5 μF

L1 = (1194 × 4) / 2000 = 2.39 mH
L2 = (238.7 × 4) / 2000 = 0.48 mH
L3 = (79.6 × 4) / 2000 = 0.16mH

ちなみに、クロスオーバー周波数とスピーカーのインピーダンスを入力すると、必要なコンデンサ-とコイルの値を算出してくれる便利なサイトもあります。

参照:ネットワーク設計プログラム

実践!スピーカーのネットワークを作ってみよう!

さて、スピーカーネットワークについて大体のことがわかったら、実際に回路を設計して作ってみましょう。あれこれ考えていても始まりません。実際に作って音を聴いてみて、自分の好みの音になるようにカスタマイズしていくのが、DIY的スピーカーネットワークの楽しみでもあり、奥深い世界でもあるのです。

手順①:ネットワーク回路を設計する。

先ず、使用するスピーカーユニットのデータを知る必要があります。先に書いたF0値(再生可能な最低周波数の値)とか、再生可能周波数帯域、インピーダンスの値ですね。

これらの値は、クロスポイントをどこにするか決めたり、コンデンサー容量とコイルのインダクタンスを計算するのに必要です。

スピーカーユニットのカタログに書いてありますので、よく見ておきましょう。中古のユニットを手に入れた場合などでカタログがなくても、本体に張り付けてあるシールの型番をネットで検索すれば、情報が得られるかもしれません。

ちなみにですがユニットの型番を見て、ハイフンで区切られた末尾の数字はインピーダンスを表していることが多いと思います。たいていは4Ωか8Ωです。

スロープ特性は先に書きましたが、-12dB/octが扱いやすいと思いますので、迷ったらとりあえずそれで始めてみましょう。

クロスポイントは2Wayシステムだったら、2khzから6khzの間で決めるのが良いと思います。

手順②:部品を集める

ここでは、自分で部品を集めてスピーカーネットワークを自作する方法について書いてみたいと思います。

そこまでするのは大変だ!という人は、今取り付けられているスピーカーネットワークのコンデンサーをちょっと良いものに交換するだけでも、音が変わるのを実感できると思います。

メーカーが最初から組み込んでいるスピーカーネットワークは、コスト重視で部品を選んでいますので(そうじゃないものももちろんありますが)、1点豪華主義でコンデンサーやコイルだけをグレードアップするわけです。

まずは、現在ついているコンデンサーと同じ容量のものと、容量違いのものをいくつか買いましょう。ポリプロピレンのフィルムコンデンサーが、1000円以下でネット注文できると思います。

計算値と一致した容量のコンデンサーが見つからない場合は、複数のコンデンサを並列つなぎにすると、単純に足し算した値になります。これは、あとからスロープ特性やクロスポイントを変更したいときにも応用できます。今ついているコンデンサーにおんぶして導線をはんだ付けしてすればいいわけです。

コイルのインダクタンスを変えたい場合は、巻きを少し戻すことで可能ですが、インダクタンスを測定するテスターがない場合は、何巻き変えたかを記録しておくようにします。忘れてしまうと元のインダクタンスに戻せなくなります。

コイルは空芯コイルで検索すると、スピーカーネットワーク用のものが見つかります。鉄芯コイルより空芯のほうが、巻き数を変えるのには都合がいいと思います。

コイルを自作することも可能です。とにかく銅線を巻けばいいので簡単です。やはりインダクタンスを測定するテスターが必要ですが、コイルの直径、巻き数、コイルの長さの情報を入力すると、インダクタンス値を算出してくれるサイトもあります。

参照:ソレノイド・コイル 設計 ツール

ただしこのサイトではコイル導線の線径を入力することができないので、計算結果は実際の値とは多少異なってくることを理解しておく必要があります。

その他として、アンプとスピーカからの導線をつなぐターミナルはあったほうが良いと思います。途中でネットワークを何度も外して、部品を交換したりして音をチューニングしていくので、そのたびにはんだ付けをやり直すのは面倒。簡単に線を抜き差しできる接続端子はあると便利です。

100均で売られているDIY工作用の木の板。これをベースとして部品を固定します。音が決まるまでは両面テープで部品を仮留めしておき、これで良し!となったら、ホットメルト(樹脂を溶かして接着するもので手芸店とか100均にある)で固定します。

コイルとかコンデンサーは、ベース板に小さな穴を2か所空けて、細いタイラップで固定する方法もあります。確実に固定できるし、取り外すのも簡単なので良いと思います。

端子類はねじ穴が開いているので木ねじで固定しましょう。

注意しなければならないのは、これらの部品はすべて2セット必要なことです。スピーカーは左右ありますからね。ここ肝心なところです。

手順③:部品をはんだ付けする

ベース板に部品を並べてレイアウトが決まったら仮固定し、回路図をよくみて導線をはんだ付けしていきます。トランジスタのような熱に弱い部品はないので、それほど神経質にならなくてもよいでしょう。

あとで部品を付け替えすることを考えたら、互いの導線はよじらずに、交差させるだけにしてはんだ付けしたほうがいいと思います。

手順④:スピーカーにつないで聞いてみる

さあ、自作スピーカーネットワークは、見た目にもカッコよくできたのではと思います。

最終的にはエンクロージャーの中にスピーカーネットワークを格納しますが、まずは外に出した状態で、アンプとスピーカーにつないで音を出してみましょう。間違った配線でスピーカーに大きな信号が流れて壊してしまう可能性もありますので、まずはボリュームを絞って始めます。

また、プラスとマイナスの線を間違えないように注意します。アンプのプラス出力がスピーカーのプラス側に入るようにネットワークをつなぎます。これを正相接続と言います。プラス出力をマイナス入力につなぐことを逆相接続と呼んでいます。

左右の間違いもよくあるミスですので注意しましょう。特に片側が正相接続で、もう一方が逆相接続になっていると、左右の音が打ち消し合って変な音になってしまいます。

上手くスピーカーネットワークが機能すると、音の輪郭が際立って、今まで聞こえなかった楽器の音とか、ボーカルの息づかいが聞こえるようになります。

手順⑤:スピーカーネットワークのチューニング

ここからがスピーカーネットワークの神髄です。スピーカーから流れてくる音を聴いて、修正を加えていきます。しかし修正はあわててはいけません。エイジングといって、エンクロージャーに組み込んだネットワークが馴染むのに、しばらくスピーカーを鳴らすことが必要です。最初は、失敗した!と感じても、数日聴き続けていると良くなってくることがあるのです。

次に修正が必要なよくある例と、その対策を書いておきますので、参考にして下さい。

ツイーターがキンキンうるさい

ハイパスフィルターで、スピーカーと並列に3Ωくらいの抵抗器を入れてみます。ようするに固定式のアッテネーターというわけです。これを可変抵抗器にすると、回転操作で簡単に調節できるようになります。

ボーカルが弱くなった

低域と高域がクロスしていないか、クロスする部分が極端に少ない可能性があります。コイルの巻きを戻してインダクタンスを下げるか、コンデンサーを追加して容量をあげてみます。

低音がこもっている

これはスピーカーネットワークだけの問題ではないかもしれませんが、ネットワークの修正としては、クロスポイントを下げて低域を少なくしてみる方法が考えられます。コイルをインダクタンスの高いものに変え、コンデンサーを追加することになります。

スピーカーネットワークを作るメリットとは?

スピーカーネットワークのメリットはなんといっても、安いコストでオーディオの音をはっきりと違いがわかるレベルで改善できる点にあると思います。

家にあるフルレンジのスピーカーユニットに、スーパーツイーターを追加するだけでも、高音が伸びやかになり、キレが良くなります。

その場合は、そうここまで読んでくれた人はもうおわかりですね。スーパーツイーターにはコンデンサを使ったハイパスフィルターを組み込んで、低域をカットします。

まとめ

さて、スピーカーネットワークについて簡単にまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?ネットで検索すると難しい理論が山ほど出てきますが、あれこれ考えずとにかくやってみることです。

スピーカーネットワークの良いところは、DIY的な楽しさを手軽に味わえる点にあると思います。自分ではんだ付けしたネットワークを通して、音が変化するのを実感できますし、抵抗値やコンデンサ容量の計算などを通して、電子回路の勉強にもなります。

これをきっかけとして、エンクロージャーから自分で作る自作スピーカーの世界に入っていくのも楽しいと思いますよ。

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