音楽をヘッドホンで聴く時に、純粋に音質の良さを求めるならオープンエアヘッドホンを選ぶべきだと言われます。
しかし、オープンエアヘッドホンとはそもそも普通のヘッドホンと何が違いどのような時に使うのか、また音質が良いのは本当なのか?といった疑問が出てきます。
そこで、今回はオープンエアヘッドホンとは何かということやメリット、選ぶ際のポイントや活用法を解説し、オープンエアヘッドホンについて詳しくご紹介します。
ヘッドホンの購入を検討している方や種類について詳しく知りたい方はぜひ読んでみて下さい。
ではまず前提としてオープンエアヘッドホンとは何かを知っておくために、ヘッドホンの構造について解説しましょう。
オープンエアヘッドホンとは別名、開放型ヘッドホンと呼ばれ、ヘッドホンを構造から分類した二つのタイプのうちの一種類です。もう一種類はクローズド(密閉型)ヘッドホンと呼ばれ、区別されています。
何で分類されているのかをわかりやすく解説するため、ヘッドホンの構造について考えてみます。
ヘッドホンは音が鳴る部分(スピーカーユニット)をプラスチックや金属などで覆い、耳に当たる側にクッション性の高いイヤーパッドを取り付けて使用されます。
このスピーカーユニットを囲うプラスチックなどの部分はハウジングと呼ばれ、主に音の方向を決める役割を持ちます。
このハウジング部分を密閉し、音を閉じ込めて一つの方向に進みやすくしたものをクローズド(密閉型)ヘッドホンと呼び、反対にあまり囲わずにメッシュ加工などをほどこし、音を拡散しやすくしたものをオープンエア(開放型)ヘッドホンと呼びます。
↓密閉型ヘッドホン
↓開放型ヘッドホン
両者の違いを見てもらうため、リンクを貼り付けましたが、耳に当たる部分の外側の構造に違いがあるのが確認できると思います。
もちろん意味もなく開いたり閉じたりしているわけではなく、特に音の聴こえ方に大きな違いがあります。
オープンエアヘッドホンは構造上、ハウジング部分が開放されたヘッドホンであることをご紹介しました。
ここでは、開放することによってどんな特徴があるのか、メリットを挙げながら解説していきましょう。
スピーカーの裏側を開放することで、音が耳の方に集中せず空間に拡散しやすくなります。このことにより、密閉型よりも臨場感のある音の広がりを感じやすくなることが最大のメリットです。
狭い空間で音楽を聴くよりも、コンサートホールなどの広い空間で聴くほうが残響効果などで臨場感を感じやすいのと同じで、耳を覆う形状ながらそれ以上の空間を演出してくれるのがオープンエアヘッドホンの魅力です。
それゆえ本格的なオーディオシステムを組む人からも愛用されやすく、そうしたニーズに応えるため高品質のヘッドホンが製造されていることも事実です。
音が多方向に拡散され耳に集中しにくいことで、長時間使用しても耳が疲れにくいこともメリットです。
ある程度の音量でじっくりと音楽鑑賞をしたい時に、ずっとヘッドホンを装着していると鼓膜が疲れてしまい、一時的に音が聴き取りにくくなりがちです。
高品質な音を静かにゆっくりと楽しみたい方にオープンエアヘッドホンはおすすめと言えるでしょう。
ここまで、オープンエアヘッドホンとはスピーカー部が開放されたタイプのヘッドホンであること、音の広がりを感じやすく長時間利用しても耳が疲れにくいメリットがあることをご紹介してきました。
じっくり音楽鑑賞したい方にはおすすめのオープンエアヘッドホン。ここでは、購入時に気をつけるべき選び方のポイントをご紹介します。
オープンエアヘッドホンの特徴である空間の広さは、音の抜けやすさ、逃げやすさにも直結します。
特に低音部分は音が拡散した時に減衰しやすく、良く言えば伸びやかで広がりのある中高音が感じやすい、悪く言えば低音の迫力に欠ける特性があります。
ただし、高品質なオープンエアヘッドホンになるほど低音の減衰を計算に入れて設計されており、中高音の豊かさに加えて低音の迫力もしっかりと感じ取れるものが多くなります。
また、構造上の特徴やニーズから手軽さや携帯性をある程度切り捨てているタイプがあり、この場合はスピーカーユニットやハウジング部分が大型になる場合が多いです。
スピーカーユニットは大きくなるほど低音が出やすくなり、小さくなるほど高音の出力特性に優れる傾向があります。
つまり、大きなヘッドホンほどたくさんのスピーカーユニットを積むことができ、低音と高音を別のユニットに担当させることで全ての音域で豊かな音を鳴らしやすくなります。
さらに多機能なヘッドホンの場合、構造が複雑になりスペースを圧迫することで音質が犠牲になりやすい傾向があります。
もちろん全てに共通する特徴ではなく、小型でも音質の良いヘッドホンもありますが、オープンエアヘッドホンを音質重視で選ぶ場合、大型で有線であり、機能がシンプルであるというのは一つの目安にはなります。
先ほども少し触れましたが、せっかくの高品質なヘッドホンでもすぐに耳が痛くなったり、疲れてしまうと宝の持ち腐れです。
一つはイヤーパッドの素材が低反発のものを選ぶ方法があります。クッション性の高いナイロン製のものだと耳が痛くなりにくい一方、暑くなりやすい難点もあります。
いっそのことイヤーパッドだけを好みのものに交換するという方法もあります。この場合は規格があっているのかを確認する必要があり、聴こえ方も変わりやすいので慎重に選ぶ必要があります。
見た目でわかりやすいものに、オンイヤー型を選ぶという方法もあります。オンイヤー型とは耳を覆うのではなく、乗せるような形で使用するタイプのヘッドホンのことで、耳が痛くなりにくいですがサイズ感を間違えるとこめかみなどに負担がかかる場合もあるので、ヘッドバンド部分のサイズにも注目するべきでしょう。
音質や用途が決まると気持ちが先走りがちですが、サイズ感まで気を配ったほうがのちのち長く使えることが多いのでぜひ注目してみて下さい。
音の特性や音質というのは好みもあり、満足度を大きく左右するにも関わらずカタログスペックから読み取りにくい情報です。
そんな時にはメーカーの持つ特性や信頼度で、ある程度あたりをつけるのもおすすめです。もちろん開放型か密閉型か、あるいは価格帯やグレード、年代によってばらつきはありますが、予算が同じでオープンエアヘッドホン限定であれば、ある程度目安にはなります。
ドイツの老舗メーカーで数々の名機を送り出すSENNHEIZER。暖かくふくよかな中音と、オープンエアヘッドホンの弱点である低音もしっかりと出る特性があり、信頼度の高いメーカーです。
日本が世界に誇る音響機器メーカーであるaudio-technica。丁寧な仕事が光る信頼性の高いメーカーで、コスパに優れた製品が多いことも特徴。
全体的に弱点がない非常にフラットな音特性を実現し、細かな音も聴き取りやすい傾向があります。
オーストリア発の音響機器メーカーであるAKG。こちらも固定ファンが多く、信頼性の高いメーカーです。特に中高音の伸びが素晴らしく、低音もかなり下の方まで埋もれずに聴こえる製品が多いです。
もちろんそのほかにも高品質なオープンエアヘッドホンを製造するメーカーは多く、SENNHEIZERと合わせドイツの御三家を形成するULTRASONE(ウルトラゾーン)やbeyerdynamic (ベイヤーダイナミック)、マイクでも有名なSHURE(シュアー)あたりがコスパも信頼性も高いメーカーと言えるでしょう。
ここでは、オープンエアヘッドホンとクローズド(密閉型)ヘッドホンとの違いも解説しておきます。
オープンエアヘッドホンは広がりのある音と耳が疲れにくいことが長所ですが、音漏れが大きく屋外での使用感が密閉型に比べて劣るという短所があります。
対して密閉型は、音が集中するので細かい音が聴き取りやすく遮音性の高さから屋外でも使用しやすい反面、耳疲れしやすく音空間が狭く感じやすいという弱点があります。
また、音の特性的にはオープンエアヘッドホンが高音に特徴が出やすく、密閉型では低音が強調されやすい傾向にあります。
高品質になればなるほどお互いの弱点を補完する製品が多くなりますが、傾向として覚えておくとヘッドホンを選ぶ時の目安になりやすいです。
オープンエアヘッドホンは音に臨場感が出やすく耳疲れがしにくく、高音や中音の表現力に優れる反面、遮音性の低さから屋外で使いにくく低音が埋まりやすい弱点があります。
このことから、屋内でじっくりと音楽鑑賞をしたい人に向けた音質重視のヘッドホンと言えるでしょう。
今回の記事では、オープンエアヘッドホンとは何か?という点や特徴、密閉型との違いを解説し、どのように選べば良いのかということをご紹介してきました。
音楽が耳の中を飛び越えて空間に降り注ぐような臨場感を感じたい方に、ぜひおすすめしたいのがオープンエアヘッドホンです。