オーディオにこだわり始めると、やはりスピーカーやアンプは、聴きたい楽曲のジャンルや楽器、そして鳴らしたいゾーンなどによって使い分けたくなり、ついつい台数も増えがち。
毎回パネルとケーブルをつなぎ替えていては、時間がかかるだけではなく、抜き差しによるケーブルや接点の早期の劣化も心配。
こんな時にお勧めしたいのが、各種のオーディオセレクター。
中でも、とくにケーブルが長くなることも多いスピーカーのセレクター「スピーカーセレクター」は、直接配線を取り回しなおす必要がないことから非常に便利です。
今回は、当サイトおすすめの、厳選スピーカーセレクターと、その選び方をご紹介します。
スピーカーセレクター選びとひとくちにいっても、まずはその機能と役割、そしてどんな操作を普段行うかなどを知ることが大切。
順にみていきましょう。
「スピーカーセレクター」は、俗に「オーディオセレクター」「ラインセレクター」「アンプセレクター」「切り替え器」とも呼ばれ、複数のオーディオケーブルを、自分で抜き差しして切り替える工数を少なくするために使われるもの。
オーディオ機器の配線内のうち、複数枝分かれするポイントにそこから延びる複数の機材プラグや線などを接続しておき、ダイヤルなどで切り替えるタイプが一般的です。
オーディオ用ケーブルの切り替え器である以上、ノイズをできる限り少なくするためには、余計な構造や接点は極力少なく、コンパクトにまとめてシンプルで、この切り替え器の存在によって経路が伸びないことも大切です。
通常は、接続できる機材数などに応じて大きく値段が違いますが、中には、非常に繊細なシステムの中にあって、高品位の音色を実現できるといったタイプの切り替え器も存在します。
非常にシンプルな構造の機材ですが、それでも、少ないながらしっかりとチェックしておきたい、スピーカーセレクター選びのポイントがあります。
特に下の4項目については、しっかりとチェックしておくのがおすすめです。
非常にシンプルな構造だけに、最も気になるのはやはり操作部分。ダイヤル(=ロータリースイッチ)やボタンリモコンといったユーザーインターフェース部分です。
スピーカーセレクターの場合、やはり手軽に操作できることも大切。たとえば、リモコンによる切り替え操作などができれば、AVコーナーはすべて手元で、スマートに楽しむことができます。
音色にこだわりたい、スピーカーなどのエージングや、システム全体の消磁・磁気抜きなど細部までコントロールしながらを行い使うレベルの方では、消磁器による全体外部からの消磁では、いろいろ違いも感じがち。
こういった方では、シンプルな構造で、セレクター部分をアナログ的にダイヤルなどで操作して、気になる機材まわりだけ「ザリ取り」などを行えるタイプの機材がおすすめです。
スピーカーセレクターの中には、減衰防止やリモコン操作などの目的で、別途電源供給が必要なものもあります。
高級機種では配慮して作られてはいるものの、給電に際して取り廻す電源ケーブルが帯磁の原因になりやすいということもあり、とくに繊細でノイズ一つないサウンド空間を求めたいなら、この違いは大きなおすすめポイントになるかもしれません。
入出力系統の数は後から変えられないため、端子数を基準にする方は多くあります。ですが、その端子間の間隔などはよくチェックしておいた方がよい項目。
端子間が広ければ、Yラグやバナナプラグなどにも十分対応してくれます。
また軽量タイプのスピーカーセレクターでは、ケーブルを差し込んだらスピーカーセレクターが浮いてしまうということも・・・上に重りを置けばよいのですが、最初から、自分の使うシステムの位置や、設置場所のゆとりと、端子間などのサイズもよく確認して選んでおけば、こうした無駄もなくなり、おすすめです。
ケーブルの端子金属の素材については吟味する方が多いのに、セレクターの素材については全く気にしないという方も多いもの。
本当のマニアは、セレクターも納得のいく素材で作りたいということで、自作セレクター用キットや、秋葉原や日本橋をめぐってパーツを集めて自作という方も少なくありません。
以前、ケーブルの選び方の際にご紹介しましたが、金属同士の特性を知り、手持ちのケーブルと、セレクターの端子部分のメッキ部分の相性なども十分考慮して、スピーカーセレクターを選ぶのがおすすめです。
AT-HDSL2は、入力端子に2口の角形光ジャック、出力端子に4口の角形光ジャックを搭載したデジタルオーディオセレクター。DC9V、100mAの外部給電が必要なタイプです。
サンプリング周波数では32kHz・44.1kHz・48kHz・96kHzに対応。
非常にリーズナブルで、AV機器の中でも、ホームシアターなどにお勧めしたいのが、ELPAのAVセレクター ASL-S411。
S映像端子もあり、入力端子4、出力端子1系統(ともに映像・音声L/R対応)を備えたAVセレクター。もちろんスピーカーや、昔懐かしいタイプのステレオの切り替え用としてなど、いろいろ対応できます。
ちょっと残念なのは、複数音源を2つの端子にそれぞれつなぐと、音が若干混入するところ。非常にコンパクトで価格が安いということもあるので仕方ないかもしれませんが、リーズナブルなスピーカーやコンポなどを有効活用したいというときには、とくにお勧めです。
マスプロ電工と言えば、テレビアンテナ関連パーツだけだと思いがちですが、実は、入力1出力4系統ですが、入出力を逆に設定できるので、入力4出力1系統のソース、アンプ、スピーカーセレクターとしても使用できます。
最大で4台のスピーカー等と4台のアンプの組合せが可能で、DACなども接続可能。
オーディオ用のセレクターといえばお値段がなかなか高くて手が出にくいものですが、こちらは非常に安価。
数多くのマニアが、このAVセレクタをオーディオ用に使って、口コミ評価が非常に高い製品です。
入力1出力3系統ですが、入出力を逆に設定できるので、入力3出力1などとしても使えるスピーカーセレクター。リモコン付きで、AVコーナーの椅子の上から全部操作できるのも便利。しかも最大4台までのAS-50Rを1つのリモコンで操作できます。
電源が必要なタイプです。
昔懐かしい雰囲気で、日本製の大きなダイヤル型のセレクタボタンを持つスピーカーセレクター。入力1出力3系統ですが、入出力を逆に設定できるので、入力3出力1などとしても使えるスピーカーセレクター。端子間隔が非常に広く、穴径も6mmもあるため、縒り線とバナナプラグを1穴に接続することもできます。より線、叉幅8mm以上のYラグ、バナナプラグに対応できるほか、端子間ショートによるアンプ破損も防ぎやすい構造。端子間内部抵抗は6mΩと極小。真空管アンプやスピーカーにも対応できるほか、音質劣化/DFの低下の心配がほとんどない高級機種です。
ちなみにプロユースのHAS-3S PROもあり、お値段はほぼ2倍ですが、こちらのスピーカーセレクターもおすすめです。
ラックスマンのスピーカーセレクターの中ではベーシックグレードのモデル。
入力1出力4系統ですが、入出力を逆に設定できるので、入力4出力1などとしても使えるスピーカーセレクター。
セレクターですがヘッドフォン端子がついているので、いろいろ便利に使えます。
スイッチがばね式なので、あまり頻繁に使用していたら、いつのまにか弱って使用できないということにも・・・
ですが、このばね部分含めてた大切に扱える方には、かなりお値頃感のあるモデルでしょう。残念なのは、いま人気のバナナプラグには対応していないこと。
それでも、音質を重視したディスクトリート配線を採用し、2系統の並列同時出力が可能。また、同時でなければ最大4系統まで使用することができ、本体自体の繊細さを除けば、リーズナブルでおすすめできるスペックです。
接続端子にRCAピンプラグを採用したモデルのAS-4Ⅲもあります。
こちらのスピーカーセレクターもお値頃感がありおすすめです。
カラフルなスイッチの色の変化で、入出力が見分けやすい、リモコン付きで電源が必要なラインセレクター。
入力2出力5系統ですが、スピーカーの音質などを確認比較するのに便利な、自動連続切り替え機能を搭載。よく家電量販店のデモプレイなどで見られる、つぎつぎにかわるスピーカーによる演奏を楽しむこともできます。
サウンド系のプロユース機材では定評のある、ヤマハの超高級パワーアンプ&セレクターです。
1台でローインピーダンスとハイインピーダンスの両方に対応してミキシング機能を持つアンプのため、小さなステージをはじめ、商業施設などのスピーカーからサブウーハーまでをそれぞれ最適なバランスで設定することができます。
実売では20000円台から。さらにはシンプルで操作しやすいパワーアンプということもあり、自宅AVコーナーのスピーカーセレクターとして使用するマニアも多い製品。
やはりクラスDパワーアンプということもあり、通常のスピーカーセレクターにはないセッティングができる点、コストパフォーマンスからもおすすめの製品です。
電源不要のパッシブタイプ、薄型デザインで、ボタンを押すだけで簡単に切り替えられる、非常にシンプルな作りのセレクタ。
シンプルな分堅牢さがあり、長年使用している人も少なくありません。
非常にリーズナブルなのですが、入力3出力1系統もしくは入力1出力3系統という作り。
電子部品を使用していないタイプなので、ここからのアレンジベースとして購入するマニアもあります。
ハイエンドタイプの、ヘッドホン&スピーカーモニターのコントロールに非常に優れたモニタリングコントローラー。
入力2系統、出力3系統があります。
非常に繊細な設定で、ステレオ信号をモノラルに変換するMONOボタン、15dB減衰させるDIMボタンなどがあり、簡単に操作できます。左右のヘッドフォン・チャンネルをブレンドしてモニタースピーカーのステレオ・パノラマ特性をシミュレートしながら調整なども思いのまま。
音にこだわりを持つマニアに特におすすめ、スピーカーセレクターとしてだけ使うには、ちょっともったいないほどのスペックです。
いかがでしたか?
今回はスピーカーセレクター等各種セレクターとして使える評判機種をご紹介しました。
音にこだわりを持ち始めたら、アンプだけでアレンジするのではなく、セレクター位置等、オーディオシステム全体のどこでどの程度味付けをするかといったところに「特に嵌りたくなる」もの。
シンプルでわかりやすいスピーカーセレクターを選ぶもよし、アンプ機能や各種の効果が充実した機種を選ぶもよし、全体のオーディオシステムの構成で、好みの音空間を作れるのが一番。
ですが、正直、お値段もなかなかかかります。
アンプが充実しているなら、正直、もっとも安価なパーツがさまざま見つかるのはスピーカーセレクター。コストを一番下げられるポイントとしてもおすすめです。
今回はハイエンドモデルから、代用として使えるものまでご紹介していますが、ほかにも中華アンプなどでも同様のセレクター機能が充実しているものもあります。こういった安価なものと組み合わせるのも、一つの方法かもしれません。