「携帯電話」と呼ばれ、メールや電話が主な機能だったのは昔の話。スマホは日々進化し、パソコン並みとは言わないまでも高性能な製品が競うように製造されています。さらに、最大の強みは圧倒的な普及率と携帯性。
最近特に言われるのが、「パソコンはもういらない、これからはスマホ一台で何でもできる時代になる」ということ。果たしてこれは本当でしょうか?
今回はパソコンがいらないと思う理由とあったほうがいいと思う理由を比較して検証し、私なりに「パソコンはいるのか、いらないのか」という疑問に結論を出したいと思います。
パソコンもスマホも突き詰めればただの機械です。機能を有効活用できなければ、無駄な買い物になります。パソコンに対して昔から感じていたのが、「自分も含めて普及率のわりに機能を使いこなせていない人が多く、コスパが悪くないか?」という疑問です。
多くの人がパソコンやスマホなどの情報端末に求める機能は、「知りたい情報をすぐに確認できること」、「自分が思ったことを誰かに向けて発信できること」、「映像や音楽、ゲームなどのコンテンツを気軽に楽しめること」の3つでしょう。
これらは全てスマホ一台あれば解決でき、さらにスマホは手軽に持ち運べる強みまであるので、「パソコンいらない派」の人にとっては議論するまでもない話題です。
デスクトップ型のパソコンであればモニター+本体+キーボード、マウスなど、使える環境を用意するまでに非常にお金がかかります。
ノート型だと一体型なので安く済むかと思いきや、小型化にコストがかかるので、同じ価格ならデスクトップの方が性能が高くなり、同じ性能なら安くなりがちです。
最新のスマホも本体価格は10万円を越えていますが、通信料とセットになることで割引が利き、負担が少ないことで価格面でもアドバンテージがあります。
スマホの利点は、できることを絞り込むことで、簡単に操作が可能なことです。パソコンの場合、何ができるのか?そのためには何が必要か?から調べなければなりません。また、ソフトの操作も慣れるまでは難しいものが多く、使いこなす前に挫折してしまう人も多いでしょう。
さらに、昨日まで普通に使えていたのにいきなりエラーが出る、しかも原因がよくわからないといったトラブルが割と頻発します。情報端末を気軽に使いこなしたいライトユーザーにとってはストレスにしかなりません。
日常で専門的な知識やソフトが必要なシーンは、実はそう多くありません。これは学校や仕事でも同じです。テキストを表示する、作業内容を書き込む、必要な情報を調べて共有するといった使い方がメインであれば、携帯しやすくコストもかからないスマホやタブレット端末の方が効率的です。
スマホの性能があまり高くなかった時代は、インターネットに接続するのも時間がかかり、さらに対応していないWEBサイトだと表示がおかしくなり閲覧できないといった問題がありました。
今では閲覧するばかりではなく、サイトそのものを運営し、ブログの記事などの必要なコンテンツをスマホで書き込み、更新することもできるようになりました。
インターネット利用におけるパソコンの優位性はほぼなくなっています。
スマホの大きなメリットは、小型でありながらパソコンの強みでもある拡張性をも兼ね備えるということです。現時点で不可能な作業でも、あとからアプリを導入することでさまざまな機能を付加することができます。
また、パソコンのソフトと違って起動に必要なものが1つのパッケージになっていることが多く、OSのバージョンさえ対応していれば、ファイルを開けない、どこにいったか分からないという事態が少ないです。
パソコンのソフトの代表的なものといえば、Microsoft Officeです。表計算や画像付きの資料作成など、特にビジネス面で非常に便利です。しかし、スマホ対応版も作られています。パソコンで作ったファイルを読み込んで閲覧するだけでなく、スマホ側から編集、新規作成まで可能です。
代用という意味では少し違いますが、「パソコンで使う代表的なソフトはスマホでも扱える」と言えるでしょう。
パソコンの強みとして、クリエイティブな作業が得意なことがあります。画像や動画、音楽を編集したり作成することができますが、スマホの性能が上がったため、アプリをインストールすることでこれらを代用することが可能です。
デザインソフトといえばAdobeの製品が有名ですが、スマホでもAdobe Premiere Clipというアプリがあり、簡単な編集作業が可能です。音源製作のDTMソフトでも、iPhoneに対応した非常に使いやすいアプリが有名でしょう。
また、ゲームをプレイしたい時でもスマホでしかできない多数のアプリがあり、一部のPC、家庭用ゲーム機のソフトにはスマホ向けに調整されたものもあります。
「パソコンいる派」がよく主張するのが、フリック入力よりタッチタイピングの方が慣れれば入力速度が速いということです。果たしてそうでしょうか?
重要なのが、「慣れれば」という点です。ある程度のスピードを出すためにはキーの配置を半ば暗記してしまうことが必要で、かなり習練しなくてはいけません。慣れない内は手書きより遅い、ということがほとんどです。
スマホなら慣れていない方でも、かな表記を見ながら打つことで最初からある程度のスピードを出すことができるでしょう。両手でフリック操作することでさらに効率化します。そして最も重要なのが、ローマ字入力では2ステップの動作がフリックでは1入力で終わるという点です。
少なくとも普段あまりパソコンを触らない方にとっては、スマホの入力の方がはるかに速いと言えます。
Amazonや楽天などのECサイトを利用して商品を購入する際でも、スマホが有利です。出先でも手軽にお気に入りの商品を探すことができ、思いついたらすぐに買えます。
ここまで、思いつく限りのパソコンがいらないと思う理由を列挙してみました。ここからは反対に、パソコンが必要な理由を考えてみたいと思います。
スマホを利用していてよく困るのが、データが一杯になる、急なトラブルでデータが消失してしまうことです。普段は使わないが消去したくないデータをパソコンに移動させたり、定期的にバックアップをとることでスマホをより快適に有効活用できます。
外部ストレージを利用しても良いですがパソコンの方がデータの管理、整理がしやすく、クラウドストレージに保存したくない機密性の高いデータ(個人情報、写真など)を保存しておく際に有効です。
地上デジタルのチューナーを接続したり、内蔵されているパソコンを買うことで、テレビを見ることも可能です。また、地上放送だけでなく月額の動画配信サービスに加入することでさまざまな作品が視聴でき、テレビのコストやスペースを削減できます。
これらはスマホでも可能ですが、やはり画面の大きさでパソコンの勝ちです。
市販のDVDやブルーレイを視聴したい、スマホで撮影した動画を記録したい。これらはパソコンにしかできないことです。再生機器を購入することなく、無料ソフトをインストールすれば誰でも利用することができます。
プレイヤーとスマホを接続して視聴することも可能ですが、そこまでするならパソコンを利用するでしょう。
ハイスペックで多機能のパソコンを買おうとすると20万円前後が必要になってきますが、用途をきちんと限定すればかなり安価で購入することができます。
例えば「ゲームはしない、簡単な動画編集と基本的な作業ができれば良い」ということなら5万~7万円程度で十分な性能を持つパソコンがたくさんあります。
現状キーボード方式の入力は世界の主流で、タッチパネルのシェアが伸びていっても、入力方法は大きく変わらないことが予想されます。さらに会社によっては特定のパソコンソフトの使用が前提になっている場合もあり、キーボード操作になれておきたいものです。
入力スピードを比べると、特に慣れない内はスマホの方が効率が良いでしょう。しかし、キーボード入力はフリック操作と比べアルファベット、かな、記号変換を素早く行えるという強みがあり、大きさの関係でミスタッチを起こしにくいことも見逃せません。
そして、パソコンとスマホの最も大きな差は処理能力です。便利で多機能なソフトほど高い処理速度を本体側に要求します。パソコンのソフトはスマホのアプリと比べ、圧倒的にできることが多いです。
さらに、複数の作業をマルチタスクで並列に行えることも利点です。一部のスマホでもできますが、「WEBサイトで資料を集めながら、音楽を聴いて作業する。」といった使い方は、パソコンの方がはるかに便利です。
パソコンがいらない理由、いる理由を思いつくままに書いてきましたが、結論は「ライフスタイルによる」です。正確に言うと普段の使い方によっては必要ないので、使い分けが重要です。
パソコンは、スマホに比べて専門分野に特化した機器です。例えばアプリやホームページを作るなどの作業はスマホでは行えません。また、プリンタを繋ぐ、オーディオ機器と繋ぐといった拡張性が魅力です。
スマホは、アプリなどソフト的な拡張性には優れますが、ハード面から見ると自由度が低いです。
大画面でマウス操作できる、ソフトを瞬間的に切り替えることができるなど、スマホと比べてより精密で自由な作業が可能です。書いた文字を編集して画像を挿入し、サイトにアップするといった複合的な作業効率では、スマホと比べて圧倒的な差があります。
スマホ→タブレット→ノートPC→デスクトップPCと並べると、左に行くほど手軽になり、右に行くほど性能が上がります。WEBサイトや動画を見るといった基本的な操作で十分なら、パソコンを買う必要はなく、より深く掘り下げたい場合はパソコンが必要です。
しかし、どうしてもできない製品より、その気になればできる製品を持っていたほうがやりたいことが見つかりやすいという利点もあるでしょう。
今回はパソコンはいらないのかいるのかという観点で、それぞれの理由を比較して検証しました。
絶対にいらない、絶対にいるということではなく、用途によっての使い分けが肝心です。
皆様もスマホとパソコンの違いを理解して、より快適な生活を送ってください。