たまたままだ寝室にアナログ放送受信が可能な2010年製のテレビがあり今も現役です。地デジ化は長いことCMでもやっていましたが、2011年の完全地デジ化(アナログ放送廃止)の瞬間を見ようと遅くまで起きていたことを覚えています。ホラー映画「貞子」等では欠かせない演出としても「砂嵐」は今では貴重な小道具ですね。
Written By 速水 雄一
テレビで「砂嵐」画面を見ることは現在ではほとんどなくなりました。ホラー映画「貞子」シリーズ等の演出効果で「砂嵐」画面が使われたりして、そちらのほうがむしろメジャーとも言えます。実際には、今現在発売になっているテレビ受信機で放送を見ていて、画面が「砂嵐」になることもあります。滅多に見られないけども急にテレビの画面が「砂嵐」になったらビックリしますよね。では、テレビで「砂嵐」画面が現れるケースを具体的に1つひとつ挙げて、その原因と対処法を述べていきます。
導入でも触れましたが、今現在のテレビ放送は全面的に地上デジタル放送、いわゆる「地デジ」です。
地デジでの放送を見ている限り、ごく普通には「砂嵐」の画面になることはないのです。そもそも「砂嵐」は、アナログ放送での「無信号」状態で、画面上に白黒の粒子のようなものが不規則に流れるような画面のことを指します。「地デジ」放送においては、「無信号」状態をテレビが受信した場合には、黒一色の何も映らない画面となります。あるいは有料課金の放送において、非登録者が受信すると「モザイク化」された画面が映ることもあります。この「黒一色」「モザイク化」の2通りを除いて、「砂嵐」画面は原理的にはありえない放送形式となっているのです。
アナログ放送は、2011年をもって基本廃止となり(東日本大震災の影響で一部は延期措置)、以後、通常にテレビ放送を見ていて「砂嵐」がないのは、アナログ放送が完全終了したことに起因します。
では、なぜ今もなお「砂嵐」を見かけることがあるのか?それを順に述べていきます。
原因がテレビの「故障」であることは比較的多いと思われます。例えばTVが古いもので、経年劣化によって内部のTVチューナーが故障しているというケースが考えられます。この場合、ビデオ入力だけ生きているならチューナ部の破損、ビデオ入力もダメなら映像回路ごと故障と推測できるでしょう。テレビの画像を作り出す部品の故障ですので、出力されるものが「砂嵐」ということはあり得ます。地デジ対応のテレビでは、「無信号」は黒一色と先に述べましたが、これは「無信号」ということに内部の回路が対応し、何もないということを黒一色画面で表現しているからです。この処理が部品ごと回路ごと故障したなら、全く信号を画面に送りこめず「砂嵐」が出現します。このケースでは「修理」の道を選ぶこともできますが、多くの場合は、「買い替え」したほうがむしろ安上がりなケースが多いと思われます。
貼り付けた画像は我が家のテレビのリモコンです。よく見ると、「アナログ」「地デジ」という、独立した切替ボタンがあるのがお分かりかと思います。実はこのテレビ、2010年製の製品で、この時期はまだアナログ放送も併用で電波に乗っていた時期なのです。こうした地デジ化過渡期のテレビには、アナログも地デジも、どっちの「チューナー」も内蔵している製品がありました。ゆえに、単なる誤操作で、今現在この「アナログ」ボタンを押してしまうと、テレビはアナログの電波を探しに行きます。結果、そのような電波は存在しませんので「無信号」となり、アナログでは「無信号」カットで黒一色画面を表示する仕様ではないため、今現在でも「砂嵐」は簡単に再現します。それを知ってわざと「砂嵐」画面をたまに見る、というようなノスタルジーなら良かったかもしれませんが、単なる誤操作でここを押してしまっていたら、「どのチャンネル番号に合わせても全て砂嵐」という、かなりパニックな状況は発生すると思います。
近隣で違法電波が発信されていて、これをアンテナがたまたま受信して、その結果が「砂嵐」の状態に見えることは実例として報告がされています。幹線道路沿いに家があり、そこを通る大型車などが、違法に強力な電波をまき散らして、TV受信に障害が発生することは稀にあります。
また、DVDデッキなどの別入力系統でのテレビで、画面は「砂嵐」だし、電源オフスイッチも切れない、などの状態に陥り、放送ではないですが、デッキからの信号が「砂嵐」になる現象はいくつかの機種で報告されています。この場合、電源コードを慎重に抜いて電源供給を停止し、しばらくして使ってみると復活することはあるようです。また、デッキの接続で、HDMIケーブルが安価で粗悪なものだったりして、テレビ側でHDMIの認識がなされない場合にも「砂嵐」が画面に出ることはあります。
では、上述した4つのケースでの、それぞれでの対処法について
簡潔に触れてみましょう。
すでに述べたように、この状況までの「故障」となったら、やはり「買い替え」を考えることがベストではないかと思います。多くの電化製品の部品の保持期間の標準は、発売停止になってから概ね8年とされ、それ以下で部品品切れとなることもよくあります。しかもテレビ受信機は、内部では何万ボルトもの大きな電流が流れていますので、下手に触れて感電でもしたら只事では済まない可能性もあります。しかも、故障修理費分を出せば、今よりも優れたテレビが買えるかもしれません。家電は買い替え時期を見極めることがとても大事です。
これがおそらくやってしまいがちな一番のミスではないでしょうか。対処は至って簡単で、落ち着いて「アナログ」を「地デジ」に切り替えればそれでOKです。ご自身のテレビが、アナログ受信できるチューナー内蔵の製品であることを理解していれば、2回目からは復帰はラクラクだと思います。
これは自発的に改善することが難しい問題です。頻発する場合、自己防衛策としては、出費も伴いますが、地元のケーブルテレビと契約して常時安定した放送受信をするとか、最近ではインターネットの引き込み時に、テレビ受信の契約をオプションで乗せるとか、手段はいくつかあります。ただ、現象が明らかに「不法電波」だと限定できそうであれば、管轄は「総務省」なので、通報することも大事です。
参考:電波利用環境保護活動
電源コードを抜いて停止し、しばらくして使ってみて復活、というやり方でとりあえず治り、何年も使えたならばそれはそれでしょう。しかしこうした場合、保証期間であれば進んでメーカーの窓口と交渉し、無償修理や新品交換などを求めたほうがいいかもしれません。それは買い手の権利でもあるのですからです。型番によってはメーカー側が不具合情報を持っているような微妙なケースもありますので、一度で治まらないのであれば、メーカーの相談窓口に一度は電話をしてみましょう。また、デッキ接続でテレビ側のHDMIの認識がなされず「砂嵐」が出るようなケースでは、ケーブルを差し直すとか、別なケーブルを用意する(買い替える)とか、接続を替えることで改善できる場合があります。
ここまでで述べてきたように、本来は地上デジタルテレビでは、「無信号」の状態を感知しても黒一色の画像を出し続けるので、本来は「砂嵐」が出ることはないのです。あるとするなら上で説明した4通りが最も疑わしく、それぞれの対処法も明らかにできました。
「砂嵐」は、アナログ放送時代の「無信号」状態にのみ発生するといいました。確かに最近のテレビにおいても、こと「電波事情」というもの自体には変わりはなく、信号が弱すぎて受信できない、という状態は起きるのです。この場合、最近のテレビでは、「E202」というエラーコードで、「このチャンネルは受信しようとしても微弱すぎて映し出せない」という画面を出します。買ったばかりのテレビに、チャンネル割り当てをする時、近隣県の放送が入るか入らないかというギリギリの際によく見られるパターンです。つまり最近のテレビでは、無信号あるいは微弱すぎる信号の場合には「砂嵐」を出すことなく、エラーコード「E202」と黒一色の画面で返してくる仕様になっているのです。また、アナログ放送用のチューナーなど内蔵する必要性は皆無なので、存在しないアナログ電波を拾いにいくこともないのです。ゆえに「砂嵐」は極めて稀な現象となったのです。
まず、テレビで「砂嵐」に出会ったら、そのテレビの製造年と、リモコンから「アナログ」切替ボタンがないかどうか、探してみてください。2012年以降の機種であれば、アナログチューナーは通常搭載していないはずです。リモコンからの判別ならほぼ確実です。そして次には、テレビ自体の「故障」を疑います。新しいから古いから、ではなく、内部の基盤が故障すれば「砂嵐」が出る可能性はあります。ビデオ信号に切り替えてどうなるか、など数か所の点検は電気のプロでなくともできます。故障が疑わしいとなれば、メーカの相談窓口があればそこに相談するのが最も早いでしょう。そして放送ではなく、デッキなどの外部出力からの画像だけが「砂嵐」ならば、デッキとその接続ケーブルに目を向けます。デッキの電源も落ちないような状態(フリーズ)が起きていれば、まず電源を抜いて様子見。ケーブルの接続がしっかりしているかもよく見ます。大抵はこのどれかに該当するものと思われます。