冷蔵庫市場は、日本では、パナソニック、シャープ、日立、三菱、東芝の5社で80%以上を占めています。世界市場では、ハイアール、ワールプール、エレクトロラックスがそれぞれ中国、アメリカ、ヨーロッパでシェアを占めている他、LG,サムソンの低価格の韓国勢が、日本勢を凌駕しています。東芝とシャープの家電は、経営では外資に株式を買われていますが、ブランドはそのまま残っています。ここでは、日本市場における5社の競合の中、東芝の冷蔵庫に焦点を当てて、評判、特徴および他社との違いを紹介します。
写真1.電気店の冷蔵庫売り場
家庭用冷蔵庫は、300リットル以上のものではどこのメーカーのものでも、冷蔵室、冷凍室、野菜室に分かれています。
各室の位置とドアの数をいうと東芝冷蔵庫では次のようになっています。
ドアの数では、400~600リットル以上で、冷蔵室ではフレンチタイプの2ドアの開き型、野菜室と冷凍室ではそれぞれ引き出し型、野菜室と冷凍室の間にある間口の半分の幅の製氷室と冷凍室ではそれぞれ引き出し型の計6ドア、または冷蔵室がフレンチタイプのドアでない5ドアになっています。
300~400リットルでは、冷蔵室、冷凍室、野菜室の各々が1ドアで、計3ドアになっています。
以下に東芝の冷蔵庫の特徴を並べてみましょう。主として、400~500リットルクラスを対象にしています。
東芝の冷蔵庫の構成は、冷凍室が一番下にあり、一番上は冷蔵室で、野菜室が冷蔵室の下で冷凍室の上にあります。
冷凍室と野菜室の間に間口半分の引き出しの冷凍室と製氷室があります。
野菜室が中央部にあるのは、東芝だけです。
冷蔵庫を冷やすための機械は大きく重いため下に置きますので、一番下の段の容器は機械の分、食材を入れるスペースが狭くなります。
東芝は、野菜室を広くとるために、一番下に置かず、中央にしています。他社は、野菜室を一番下に置いています。
東芝の冷蔵庫の野菜室は、高湿で野菜の鮮度を保つ設計にしています。
冷蔵室の中にあるチルドが、2段になっていて、速鮮チルドと普通のチルドに区別されているのが東芝の冷蔵庫の3つ目の特徴です。
東芝の冷蔵庫の冷蔵室は、低温高湿でうるおいがあり、乾燥しにくくなっています。
製氷室の小さい方の隣の冷凍室では、野菜が生のまま入れて冷凍できます。
東芝の冷蔵庫はドアをタッチするだけで開けられます。
東芝の冷蔵庫は、省エネ設計で年間消費電力が小さい目です。
写真2.東芝冷蔵庫の野菜室の位置
東芝の冷蔵庫の評判を、よい評判と悪い評判に分けてみましょう。
ニックネームをベジータと呼ぶだけあって、野菜を大事にする姿勢が現れています。実際、野菜がみずみずしいという声が多くあります
野菜の冷凍室は、野菜を下茹でせずに済むので便利です
野菜室が中央にあるのは使いやすいです
ドアがワンタッチで開けられます
エコに配慮していて、エコモードが活用できます
冷蔵室でチルド室が上下の二つに分けられていて重宝です
冷凍室で仕切りができます
棚やドアポケット、野菜室のスライド棚などすべて取り外せて手入れがしやすいです
前面がガラスできれいです
冷蔵室の棚も高さが変えられます
冷凍室が小さいです
見た目にパットしません
扉に卵置き場がありません
冷蔵室の一番下の段が前後に二分されてかえって使いにくいです
前面に磁石が付きません
内部のライトが暗いです
中国製で品質に不安です
故障対応に不満です
サービスマンの対応に不満です
東芝の冷蔵庫は、他社の冷蔵庫とどんな違いがあるでしょうか。また、他社はどんな特徴をもっているでしょうか。代表的なメーカーの冷蔵庫の特徴を比べてみましょう。
パナソニックは使いやすさを重視しています。冷却器を一番下ではなく、一番上にもってきて、一番上の段の奥にはものを置かないようにして、とりやすくしています。その分、下の野菜室が広くなります。東芝は野菜室が広い分、冷凍室が狭くなりますが、パナソニックは、冷蔵室の上部が狭い分、野菜室が広く、冷凍室も広いままになっています。さらに、パナソニックの特徴の一つには、チルドの温度が、他社のチルドの温度よりも低い点があります。
写真3.パナソニックの冷蔵庫
日立には真空チルドという引き出しが冷蔵室にあります。東芝では、真空ではありませんが、チルドに相当します。日立の真空チルドは、真空にしなければ通常のチルドとして働きますので、東芝にはない機能です。日立の冷蔵室では、棚の一部の高さが変えられます。これにより高さのあるものでも入れることが可能です。西瓜でも入ります、というキャッチフレーズがありました。東芝には、この機能がありません。さらに、日立の特徴は、野菜を新鮮なままスリープさせます。東芝の強みは、野菜室が中央にあって使いやすいことと、野菜を高湿度に保存することです。
写真4.日立の冷蔵庫の真空チルド
三菱は、冷凍に重視した設計です。カチカチに凍らせないで切れる冷凍にします。そして、速く冷凍させるという点が特徴です。冷蔵庫自体の幅が、同じ容量でも他社より少し狭く、スマートな感じであることと、冷蔵庫を入れるスペースで間口に制限のある家には好都合です。
写真5.三菱の冷蔵庫の冷凍室
東芝の冷蔵庫の評判と、東芝の冷蔵庫に対して、パナソニック、日立、三菱の各メーカーの冷蔵庫の特徴を抽出して比較した結果を示しました。各社はそれぞれ特徴を有して、冷蔵庫はどこも同じ、という考えは飛んでしまいます。購入する人の生活にあった冷蔵庫を選択すればよいわけです。東芝の冷蔵庫の評判は、なんといっても野菜室が高さの中央部にあって、かつ広いということです。しかも野菜の新鮮さを保つ技術が取り入れられています。ベジタリアンにはありがたい冷蔵庫でしょう。使い勝手もよく、大評判というわけでもないようですが、無難な冷蔵庫といえましょう。