冷凍食品のストックや生鮮食品の長期保存に欠かせないのが冷凍庫です。
ところで、冷凍庫の温度は何℃に設定すれば良いのかご存知でしょうか?
今回の記事では、冷凍庫の適正な温度について、家庭用と業務用に分けて詳しく紹介します。
また、冷凍庫の温度が上がる原因と温度が下がらない原因、そうなってしまった時に最適な温度を保つ対処法について、分かりやすく解説していきたいと思います。
家庭用の冷凍庫の適正な温度とはどのくらいなのでしょう?
日本の家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は、国家標準のひとつである日本工業規格(JIS C 9607)に規定された試験条件で試験したときの冷凍負荷温度(食品温度)となっており、-18℃以下と決められています。
食品の劣化の原因とは、食品が空気にふれることで酸化が進んだり、食品に含まれる酵素作用によってタンパク質が分解されてしまうために起きるといわれています。庫内温度を-18℃以下にすることで、劣化の原因を防ぎます。
低温に強い細菌や微生物の増殖を停止させて、食品を約12ヶ月保存することができる目安が-18℃となっています。
参考元:日本工業規格
業務用の冷凍庫とは、家庭用の冷凍庫よりも低温に設定されており、-20℃から-30℃という温度設定が一般的であることがわかりました。その理由として、業務上、冷凍庫のドアの開け閉めを頻繁に行うことが想定されており、庫内の温度がどうしても上がってしまうため、業務用の冷凍庫は常時-18℃以下を保つことができる温度に設定されています。
業務用冷凍庫のメーカーであるダイレイの場合、魚の長期保存などで-20℃であっても劣化が進んでしまう対策として、-60℃近くにまで温度設定ができるようになっています。
食品の腐敗とは、細菌や微生物が増殖して食品内の成分を分解して発酵させることで起こります。庫内の温度を-18℃まで低下させることで、細菌や微生物の活動を抑制し、腐敗を防ぐことができます。
したがって、JIS規格で定められた温度ではないと食品の腐敗が進みやすくなってしまい、安全な食品保存ができなくなってしまいます。
葉物野菜などは、鮮度が落ちる前に茹でて冷凍する人が多いですよね?
食品を冷凍するメリットは、食品の栄養素を購入時に近い状態で保存することにあります。
適正な冷凍温度ではないと、食品の酵素の分解作用が止まらないため、野菜などの栄養価の減少を防ぐことができなくなります。そのため、野菜などの栄養価が破壊されてしまいます。
肉や魚、野菜などの食品は、平均で60%ほどの水分を含んでいます。これらの食品を冷凍保存し、食品内の細胞の水分を凍結させることで食品の持っているうまみや栄養素を閉じ込めています。
JIS規格に定められた最適な温度を外れてしまうと、細胞内の氷が溶けて水となり、うまみや栄養素が一緒に溶け出してしまいます(ドリップ)。そのため、風味がぐっと落ちてしまいます。
参考元:ベターホーム
冷凍庫の温度が上がってしまう原因、温度が下がらない原因についてまとめました。
冷凍食品の特売があると、ついつい庫内に入るだけ保存しようと思ってしまいませんか?食品を入れすぎでしまうことで、庫内のスライド棚などに当たっていたり、冷凍食品の包装袋がドアにはさまったりするなど冷凍庫のドアがしっかり閉まっていないことで、庫内の温度が上がってしまい、下がらなくなります。
庫内の冷気をしっかり封じ込めるのに大切なのはドアについているパッキンです。このパッキンがゆるんでいたり汚れてしまうなどの劣化が生じると、常に半ドアの状態になり、すき間が生じて冷気が外に逃げてしまうため、庫内の温度を上げてしまいます。
庫内の温度が上がったり、下がらない原因として、ドアの開閉が頻繁だったり開閉時間が長いことが挙げられます。
冷凍庫の奥にある冷却装置には、冷媒ガスが入った冷却パイプが並び、そこに大量の霜や氷がつきます。
最近の冷凍庫に関していいえば、霜取り機能がついているため冷却パイプの表面に付着した霜を自動で溶かしてくれます。
しかし、ドアがしっかり閉じていなくて隙間があった場合、外気とともに湿気が入ってしまうため、冷却パイプに大量の霜が付着して氷状になってしまいます。この状態では、霜取り機能では対応できなくなります。
氷が付着していることにより、庫内の空気と冷媒ガスの熱交換が低下してしまうため庫内の温度が下がらなくなります。
つまり、冷凍庫の冷気の吹き出し口に霜がついていると、庫内に冷気がいきわたらなくなるため庫内の温度は上がってしまうのです。
冷凍庫は24時間電気を使う家電なので、常に本体から放熱しています。冷凍庫の背面や側面に、各メーカーが推奨する壁面離隔の距離がないと、熱が外部に逃げず、放熱が不完全になります。そうなると、内部機器の周囲温度が上がってしまうので、庫内の温度が下がらなくなります。
参考元:macaroni
冷凍庫のドアを頻繁に開けたり、開けっ放しの時間が長いと、せっかく冷えた庫内から冷気が逃げてしまいます。
庫内の温度を最適な温度に保つ対処法として、ドアの開閉は速やかに短時間で行うよう心がけましょう。
また、ドアのパッキンの汚れや劣化により、気づかないうちに半ドアの状態になっていることもありますので、パッキンにゆるみなどがないか確認し、劣化があった場合は速やかにパッキンを交換してください。
茹で野菜などの常温の食品、冷蔵している食材を冷凍させようとして、一度にまとめてたくさんの量の食品を入れてしまうと、庫内の温度は一気に上昇してしまいます。そうなると、庫内を最適な温度に下げるために時間がかかってしまいます。
対処法として、常温や冷蔵食品の冷凍については、まとめずに少しずつ庫内に足していくのがよいでしょう。
霜ができてしまい、庫内温度が下がらなくなってしまった時の対象法として、霜取り機能では取りきれていない霜ができていないかチェックすることです。もしも霜ができてしまった場合は、霜取りを行います。
はじめに、庫内の食品をすべて取り出して、食品が溶けないようにクーラーボックスに移します。霜が溶けてくると水が出るため、冷凍庫の周辺にタオルなどを敷いておきましょう。
冷凍庫の電源をプラグから抜いて切ります。機種によっては、霜取りモードにしてください。
冷凍庫のドアを全開にします。少し時間をおいて、霜の表面が少し溶け出す程度になったら、張りついた霜をドライヤーでゆっくりと溶かしていきます。
ヘラなどで霜をはがすように取り除く場合は、絶対に銅管パイプを傷つけないようにしてください。冷媒ガスが漏れて故障します。
庫内の温度は、食品の出し入れなどで変化をしますが、夏など室内温度が高いと冷凍庫の本体も熱くなり庫内温度が上がる傾向になります。
夏は、通常よりも庫内温度を低めに設定しておきましょう。反対に、冬は室内温度が低いため、冷却モードを「弱」にするなど、設定温度を調整してみてください。
参考元:macaroni
冷凍庫の適正温度とは、JIS規格に基づいた食品の安全の観点から、細菌や微生物が増殖できない温度である「-18℃以下」と定められていることがわかりました。
冷凍食品に保存料不使用や添加物無しの商品が存在しているのも、食の安全を守る温度下で保管されているからです。
今回の記事では、冷凍庫について知りたい人に向けて、家庭用冷凍庫と業務用冷凍庫の適正温度について、冷凍庫の温度が上がってしまったり、温度が下がらない原因について解説しました。
もしも温度のトラブルが生じた際、最適な温度を保つ対処法をお試しいただけたらと思います。